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Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

Today what kind of story

雪の目が覚めてからというもの、僕は慌ただしく任務に追われていた。
本当は今すぐにでも飛んでいきたいのに、僕を遠ざけたいみたいに次々と任務が入る。

でも今日こそは...!

任務を早く終えて、僕は雪の病室に向かった。
落ち着くまでは病室で、とドクターが話をしていたからだ。部屋に戻ればきっと雪は苦しんでしまう。今でも苦しんでいるのに。
僕はどうにか休暇をねじ込めないかと考えながら向かうと、雪は体を起こして壁を見つめていた。
いや、正確には壁なんて見ていない。自分の中を彷徨っているんだ。
目が覚めた当初、雪は何も覚えていなかった。
覚えているのは自分の名前だけ。
僕の名前も、他のサクラの名前も、この場所が何なのか、自分が、何をしてきたのかも全て忘れていた。
だから僕は1から全部話すことにした。

貴方の名前は雛森雪、ここはチャーチと言って、僕達の...いわゆる家です。
僕達はここに来る時に存在を抹消されました。戸籍や、自分に関わるもの全てです。
僕は前谷尋、貴方の半身、メサイアです。
雪の方がここに来たのが早くて、先輩なんですよ。
鉄の掟を守ったすごく仲のいいメサイアなんです。
分からないことがあったら聞いてくださいね、僕答えますから。

それでも雪の記憶は呼び起こされる気配を見せないまま、少し時が経って今に至る。
僕はできるだけ明るく振舞った。
雪が心配しないように、怖い思いをしないように。
だからずっと名前で呼ぶ事も変えていないし、今まで通りに話すことにした。少しでも、苦しい思いをしない方法を探したかった。
苦しんでいるのはよく分かる。雪を長く見てきた僕だからこそ分かる変化がある。

「...雪」
「...前谷...」
「やだなぁ、名前で呼んでよ」

助けを求められる人は誰もいない。
僕でさえもその存在にはなれない。
それは多分、僕より大事にしてきた、前のメサイアの存在があるからなのかもしれない。
だけど、今のメサイアは僕だ。雪を支えるのも、全部僕の役目だ。

「今日はどんな話をしよっか、雪」

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