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Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

The half of the body which came back

「...僕の体に...雪の魂を...ってことですか...?」
「えぇ、そうよ」
「...僕は...そんなことしません」
「え?」
「...雪は...必ず帰ってきてくれる、僕は雪を信じます」

僕は雪を信じる。

それはメサイアを組んで、年月が経って、たくさんのことを乗り越えて来た中で僕はずっと雪を信じてきた。
これはもう、僕しかできない。

「...そう、分かったわ」

それから僕はずっと雪のそばにいた。
任務が終わったらそばに来て、ずっと抱きしめてあったことを報告して名前を呼んで。
何日も何日も繰り返した。ドクター達に「諦めろ」と言われても絶対に諦めたくなくて、ずっとずっと繰り返した。
もう何日繰り返したか分からない。
その日も僕は雪のそばで話し続けた。

「雪、ただいま」

おかえりと言ってくれる声はなくても、信じて待つ。辛い事ではあるけれど、待ってあげられるのは、もう僕しかいないから。
他愛のない話から任務の話、情勢の話。たくさん話をした。

「...雪...早く起きてよ...雪!!!」

名前を呼んで抱きしめる。雪の体は本当に雪のように冷たかった。
ふと、雪が動いた感覚があった。擦り寄ってくる、微かな感覚。

「雪...?」
「どうしたの、尋くん?」

そこに百瀬さんが様子を見に入ってきた。

「...今、動いたんです」
「...有り得ないわ、ドクター10が二度とその身体では動けないって」
「でも動いたんです!」

抱きしめたからわかる。
抱きしめた時に触れた頬に微かに動いた感覚。病室だからこそ風が吹くわけでもない。まして窓が開いているわけでもない。
すると雪の瞼が震えてゆっくり目が開いた。

「目が開いた、雪が起きた...!」

その瞬間、僕は思わず声が震えた。

目が覚めた...!雪が...帰ってきてくれた...!

ゆっくり雪が僕の方を見る。目が合って雪の目に僕が映るのが見えた。

「...あ、ったか...い...」

久しぶりに聞く雪の声は変わらなくて、それに安堵した。僕の頬を涙が伝って雪の頬を流れた。

「...よ、かった...よかった、雪...!」

ねぇ、雪。

僕の事、覚えてるかな。
話したい事がたくさんあるよ。
行きたい場所が沢山できたよ。
たくさん、たくさん話をしよう?
雪が思い出してくれるように、僕もたくさん話をするから、雪もたくさん話してくれるよね?

僕は、この人とじゃなきゃ死ねない。死ぬつもりもない。
もし、「一緒に死んでくれ」って言われたその時は...僕は一緒に死ねる。
だって、僕はこの人の半身で、メサイアだから。

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