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Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

Ear of the doctor, eyes of the crow

─いいか、梓音。
医者ってのはな、ただ見るだけが医者じゃない。
耳を使うんだ。
どんな時でも音を聞け。そして、お前には鴉として優れた目がある。
両方を駆使しろ。


チャーチの見回りに歩いていると、前谷が自分の部屋に入っていくのが見えた。

そういえば、雪斗に「雛森がいなくなったから前谷から目を離すな」って言われてたっけ。

今は百瀬さんが動いている。俺は俺でやることをやるまでだ。
しばらく部屋の前で耳を立てていたが特に何も無く離れようとしたその時、部屋の中から倒れる音がした。
俺はノックをせずに扉を開ける。

「前谷!」

部屋に入ると前谷が倒れていた。
呼吸の仕方がおかしいのはすぐに分かる。

「前谷、前谷!しっかりしろ!」

返事がないことから意識を失っていると思われる。
俺は急いで医務室に戻った。

「雪!前谷が...!」
「過呼吸を起こして意識を失ったか、すぐに酸素マスクをつけろ、声をかけてやれ」

そう言うと雪は酸素マスクをつけた。
しばらく様子を見ていると呼吸が落ち着いていき、目を開けた。

「...ここ...は...?」
「目が覚めたか、過呼吸で倒れたんだよ」
「過呼吸...」
「少し落ち着いたら部屋に戻っていい、大丈夫ならな」
「...はい...」

少しの間呼吸を落ち着けて休んで、前谷は部屋に戻って行った。
雪には百瀬さんが出たことだけは伝えている。
だが、この後に起こる事は誰一人として想像ができなかった。

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