Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

If I can walk once again

もしももう一度歩けたら。

隣に立って歩きたい。
手を繋いで歩きたい。
立ってキスがしたい。

君といろんな所に行きたい。
いろんなものを見て、いろんな所に行って、たくさん美味しいものを食べたりしたい。

だけど、僕はもう叶わない。

新しく来たドクターなら叶えてくれるのかなって思った。

「もう一度歩けるようになりますか」

だけど出かけた言葉は声に出せなかった。

怖かったんだ。

「もう歩けない」

それを聞くのが怖くて、僕は口に出せなかった。
これさえなければ、僕は今頃きっと隣を歩いてるはずだったのに。
だけど、君はこう言った。

─はっきり言っていいかな、俺からすると、それ結構くだらねーんだ。歩けなくたって、手を繋げなくたって幸樹は幸樹だし。

その言葉に僕は救われた気がした。
救われたと言うより、望んでいた言葉なんだと思う。
この世に1人、僕は僕だと認めてくれる人。その人がそう言ってくれることが、僕にとっては望みだったんだと思う。

優樹は...同じように言ってくれるのかな。

今のメサイアは結月で、僕は結月に認めて貰えるならそれでいい。
いつかは背負わせてしまった重い十字架を、僕も一緒に背負いたい。

もう一度歩けたら。

ううん、歩けなくても、僕はずっと隣に居続ける。

僕は君の命綱で、君のメサイアだから。

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