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Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

The need to hide

卒業するにあたってそれぞれコートを作ってもらえることになった。

「衛ちゃん、コートどうするの?フードつける?」

確かに昔は目立ちたくなくてフードを被っていた。
今は...被らなくてもいいかとも思った。

「...伊織に聞く」
「草薙君に相談するの?」
「...うん、伊織はなんて言うのかなって」
「分かったわ、決まったら教えてちょうだいね」

そう言って百瀬さんはいなくなった。
本当は自分で決めるものなのかもしれないけど、伊織はなんて言うだろう。
またフードを被りたいって言ったらがっかりするんだろうか。
部屋に戻ると、いつも通り伊織はクッションに埋もれていた。音を立てないように入ってきたはずが、どうやら伊織にはバレてしまうらしく、起こしてしまった。

「...衛...?」
「ごめん、起こした?」
「いえ、来る頃だと思っていたので…」

起き上がって座ると、俺は隣に座った。

「...百瀬さんに、コートをどうするか聞かれた」
「そういえば、私も聞かれました」
「...フード被ってたら、伊織はがっかりする?」
「...なぜですか?」
「...そのままがいいって言ってた」

フードがないことにもすっかり慣れた。
だからこそ聞いた。

「私は好きにすればいいと思います。私の前でフードを取っていただけるのであればフードは被ってても構いませんよ?元々フードをつける約束だったのでは?」

そう。
元々フードをつける約束になっていた。それはずっと俺がフードを被ってきたから。
髪色が目立つ。そういう理由で被ってきた。

「...うん、そう」
「つけてもらってもいいと思いますよ?」
「...じゃあつけてもらう」

そうして俺の新しいコートにはフードがついた。
そして伊織との約束も忘れていない。
伊織に会う時はフードを取る。
この約束は絶対だ。

もう伊織の前では隠す必要がない。

俺がフードを被る時は、闇に潜む時だ。

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