Bouquet of flowers to Messiah
It is my duty to protect
昴が伊織に安定剤を打つと、伊織は力なく倒れてきた。俺はそれを支えて寝かせる。
「...昴...伊織はなんで...?」
「記憶が戻って混乱してるんだろう。安定剤を打った、少しすれば落ち着くだろうし目も覚める」
昴はそう言うと少し研究室に行くと言って出て行った。
「…ここはどこ?
俺は誰だ、あんたは…?」
覚えていない事は知っていた。でもショックだった。
俺の事がわからないなんて、と泣きたくもなった。
でも、1番混乱してるのは伊織だ。伊織はかなり混乱していた。
昴が声をかけると伊織の目には明らかに「恐怖」があらわれる。
怯えている。それは俺でもわかる。
伊織に全てを話すと、記憶が戻ったのか伊織が叫んだ。
「…思い出した、全部…私は…俺は記憶を…衛を殺そうと…!」
急に思い出したことにパニックになったのか、俺は落ち着かせようと伊織を抱きしめた。
「違う、あれは本当の伊織じゃない!伊織は何も悪くない!
大丈夫だから、伊織…!」
「俺が衛を殺そうとした…衛は私を殺した…私は倒れて冷たくなっていく…俺は死を知ってる…俺は、私は…!」
...あの時の記憶が戻っている。
殺そうとした事も、俺が殺した事も、全て思い出した。
そして今に至る。
「...ごめんね、伊織...」
伊織の手を握って呟く。
目覚めたとしても、伊織には恐怖がついてまわる。でも、それは俺じゃなきゃなくしてあげることは出来ない。
「...ん...」
伊織が目を覚ました。薄らと目を開けて、俺を見る。でも、その目は恐怖に満ち溢れていた。
「...伊織、大丈夫?」
「...すみません...」
「...俺が怖い?」
伊織は少し考えて微かに首を縦に振った。
怖くないわけがない。そんなの知ってる。
「...大丈夫、ここは怖くない。フォークス機関とは違う。伊織は俺が守る。だから大丈夫」
「...衛...」
「目が覚めたか、伊織。気分はどうだ?」
昴が入ってきた。伊織は更に恐怖を滲ませた。
「...僕は何もしない。検査はするけど。でもそれは衛がいる前でしかしないから」
「...衛がいる前だけで...?」
「その方が怖くないだろ?何かあれば衛が伊織の事を守ってくれる。だから大丈夫。記憶は全部戻った?」
伊織は首を縦に振った。
「...全て思い出しました。俺が衛を殺そうとしていたことも、衛が私を殺した事も...」
「でも、お前は今ここにいる。俺が全て治した。でも、心の傷は俺でも治せなかった。一生残る。だけど、衛がいるから救われる部分もあると思うんだ。あんなに大泣きしている衛は初めて見た。衛に感情を植え付けたのは紛れもなく伊織だ」
そう。
大泣きしてずっとそばにいた。
目が覚めない恐怖。
いなくなるんじゃないかという恐怖。
初めての事にただ怖くて毎日泣いて塞ぎ込んだ。それは多分のちのち昴が話をするんだろう。
「...衛、涙の跡が...?」
はっきり残っている涙の跡。これは隠しようがない。
ふいと顔を逸らすと、伊織はいつもの伊織だった。
「...ずっと俺のために泣いてくれてたんですね…」
「...うん」
「ありがとう、衛...」
疲れたのか伊織はそのまま目を閉じた。俺は離れることはなかった。
ただ、伊織を守りたい。
次こそは守ってみせる。名前に恥じないように、ちゃんと。
「...昴...伊織はなんで...?」
「記憶が戻って混乱してるんだろう。安定剤を打った、少しすれば落ち着くだろうし目も覚める」
昴はそう言うと少し研究室に行くと言って出て行った。
「…ここはどこ?
俺は誰だ、あんたは…?」
覚えていない事は知っていた。でもショックだった。
俺の事がわからないなんて、と泣きたくもなった。
でも、1番混乱してるのは伊織だ。伊織はかなり混乱していた。
昴が声をかけると伊織の目には明らかに「恐怖」があらわれる。
怯えている。それは俺でもわかる。
伊織に全てを話すと、記憶が戻ったのか伊織が叫んだ。
「…思い出した、全部…私は…俺は記憶を…衛を殺そうと…!」
急に思い出したことにパニックになったのか、俺は落ち着かせようと伊織を抱きしめた。
「違う、あれは本当の伊織じゃない!伊織は何も悪くない!
大丈夫だから、伊織…!」
「俺が衛を殺そうとした…衛は私を殺した…私は倒れて冷たくなっていく…俺は死を知ってる…俺は、私は…!」
...あの時の記憶が戻っている。
殺そうとした事も、俺が殺した事も、全て思い出した。
そして今に至る。
「...ごめんね、伊織...」
伊織の手を握って呟く。
目覚めたとしても、伊織には恐怖がついてまわる。でも、それは俺じゃなきゃなくしてあげることは出来ない。
「...ん...」
伊織が目を覚ました。薄らと目を開けて、俺を見る。でも、その目は恐怖に満ち溢れていた。
「...伊織、大丈夫?」
「...すみません...」
「...俺が怖い?」
伊織は少し考えて微かに首を縦に振った。
怖くないわけがない。そんなの知ってる。
「...大丈夫、ここは怖くない。フォークス機関とは違う。伊織は俺が守る。だから大丈夫」
「...衛...」
「目が覚めたか、伊織。気分はどうだ?」
昴が入ってきた。伊織は更に恐怖を滲ませた。
「...僕は何もしない。検査はするけど。でもそれは衛がいる前でしかしないから」
「...衛がいる前だけで...?」
「その方が怖くないだろ?何かあれば衛が伊織の事を守ってくれる。だから大丈夫。記憶は全部戻った?」
伊織は首を縦に振った。
「...全て思い出しました。俺が衛を殺そうとしていたことも、衛が私を殺した事も...」
「でも、お前は今ここにいる。俺が全て治した。でも、心の傷は俺でも治せなかった。一生残る。だけど、衛がいるから救われる部分もあると思うんだ。あんなに大泣きしている衛は初めて見た。衛に感情を植え付けたのは紛れもなく伊織だ」
そう。
大泣きしてずっとそばにいた。
目が覚めない恐怖。
いなくなるんじゃないかという恐怖。
初めての事にただ怖くて毎日泣いて塞ぎ込んだ。それは多分のちのち昴が話をするんだろう。
「...衛、涙の跡が...?」
はっきり残っている涙の跡。これは隠しようがない。
ふいと顔を逸らすと、伊織はいつもの伊織だった。
「...ずっと俺のために泣いてくれてたんですね…」
「...うん」
「ありがとう、衛...」
疲れたのか伊織はそのまま目を閉じた。俺は離れることはなかった。
ただ、伊織を守りたい。
次こそは守ってみせる。名前に恥じないように、ちゃんと。
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