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Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

Removal of innocence and tears

颯空が逃げ出してしまってすぐ、俺は雪斗さんや黒咲さん、百瀬さんからの取り調べを受けていた。

「...で、お前はなんで藤堂の首を絞めた?」
「分かりません」
「身に覚えは?」
「ありません。...寝ようとした一瞬、霊に体を貸す感覚がありました」
「そこからは何か覚えてるの?」
「...いえ、何も...目が覚めたらここにいたことくらいで...」

3人とも頭を抱えた。
それはそうだ。俺は自分のメサイアを殺そうとした。それが霊の仕業であってもやってしまったことに変わりはない。

「困ったわねぇ...。処罰決められないわ…」
「まぁそうだろうけど…」

すると颯空の力が大きく解放されたのが分かった。
霊の1人が慌てて来て、状況を教えてくれた。それを聞いた瞬間、雪斗さんや黒咲さんの制止を聞かず俺は医務室を出て礼拝堂に向かった。

颯空が俺の体を乗っ取っていた霊と対峙して力を解放した。生死に関わるほど解放していて、颯空が危ない—。

俺のせいで...!
俺のせいで颯空が...!

「颯空!」

礼拝堂に着くと、颯空が倒れていて、周りでは颯空を取り巻く霊達や、白い九尾が寄り添っていた。辺りには颯空の力だけがあって、俺を乗っ取っていた霊は颯空の力で消滅したらしい。
顔色が悪くて、力が入っていない。でも泣いた跡がある。

「颯空!目を開けて!颯空!」

颯空は目を開けなかった。俺は強く抱きしめた。颯空に俺の体温が伝わるように、ただ抱きしめた。
その間に全てを教えてくれた。

今日騒がしかったのは、1人危ないやつが入ってきて、そいつを追い払おうとするためで、なのに全然居なくならなくて、俺を乗っ取る機会を伺っていたらしい。そして夜寝る時の一瞬の隙を見て乗っ取り、颯空の首を絞めた。それを知った颯空は力を解放して消した。

これが事の顛末だ。
力を使い果たす寸前の颯空はスリープに入っているんだと思う。とりあえず雪斗さんのところに連れて行って...それから...!

雪斗さんの所にいくと、案の定颯空はスリープで、今回ばかりは目覚めるのがいつになるか分からないらしい。それでも、俺は待つつもりだし、力を分けていくつもりだ。
部屋に連れ帰っていいと言われ、部屋に連れて帰り寝せる。颯空の白い肌に俺の指の跡がはっきり残っている。

あの時気を許さなければ…。気を抜かなければ良かった...。後悔ばかりが募っていく。
でも、出来ることはただ目が覚めるのを待つしかない。目が覚めないわけがない。だから...。颯空...!

スリープが数ヶ月経ち、そろそろ心配になってくる頃。今日も颯空のそばで手を握ると、微かに握り返してくる感触があった。

「...ん...」
「...颯空...!」
「...雅志...?」

ぼんやりした目でこっちを見ている颯空は特に怯えたり怖がったりしている様子はなかった。

「...ごめん、颯空...俺...」
「...気にしないでいいよ、大丈夫。ちょっと怖かったけど、でも皆が教えてくれたから…」

数ヶ月経っても指の跡はうっすらと残った。
あんなことをしなければ...。
気を許さなければ...と本当に心の底から思う。
それに、颯空は大丈夫と言っていてもやっぱり少しは怖いだろう。あんなふうになった俺を見るのは、多分初めてだ。

「...本当にごめん...」
「大丈夫だってば、責めないで、雅志」
「...そうだけど...」
「だって僕は生きてるよ?長い間寝ちゃったけど、生きてる」
「...うん」

そっと颯空が頭を撫でてくれた。
颯空がいる。ここにいる。

「...ごめん」
「だから大丈夫だってば、気にしすぎだよ」

颯空が俺を引き寄せて軽く口付けた。

「それに、今度あったら皆が追い払ってくれるって。皆が言ってたよ」
「...そっか」
「だから大丈夫。ね?」
「...うん」

改めて誓った。
俺は二度と颯空に手をあげないという事を。何があっても颯空を守ると。
何があっても離れないと。

俺は颯空の証言もあって無罪放免、がしかし、颯空が完全に落ち着くまで手出し禁止になったのは言うまでもない。

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