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Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

I will protect

「演習場に行きますね、1時間ほどで戻ります」
「うん、分かった」

最近伊織は演習場によく行く。
どうしてと聞くと、「私も衛を守れるようになりたいからです」と話した。
十分俺は守ってもらってると思う。俺が伊織を守らなきゃいけないのに。でも、伊織は言った。

「それ以上強くなられては出番がなくなります」

って。

それよりも次に伊織と行く任務を確認しておかないと。
伊織が帰ってくるまで任務の確認をした。
国内の潜入任務。
照る日の杜の潜入。確か、伊織や昴のいる製薬会社も繋がっていると聞いた。だからこそ気にかけないと。
でも、伊織は1時間経っても戻らなかった。

...遅い。遅すぎる。もしかしてまた何か...?

俺は嫌な予感がして演習場に向かった。

もしもまたなにかされていたら。

そう思うと気が気でなかった。
演習場に入ると辺りには誰もいなくて伊織が何かしていた。

「...伊織?」

近づくと伊織は自分の左腕をナイフで刺していた。その目には光がなかった。
俺は急いで駆け寄って、伊織を止めた。

「伊織、伊織!」

腕からナイフを取ってそのナイフを少し遠くに捨てて抱きしめた。

「...大丈夫、俺がいる...」

少しずつ落ち着いたのか、目に光が戻り始めた。

「...衛...私は、何を...」

自分がやったとはきっと思ってない。でもきっとわかってる。

「...戻りが、聞いてたより遅いから見に来た。そしたら、伊織が暗い目をしてて…自分を傷つけてた。痛いでしょ、手当してもらおう」
「...そう、ですね…」

伊織の左腕は刺傷だらけで、何度刺したのかわからないほど傷ついていたし、腕は血で真っ赤なのに顔は白くて、今にも倒れてしまいそうだった。できる限りの止血をして、歩き出したとこで伊織がふらっと倒れそうになったのを支えて、結局抱き上げて連れていった。
案の定雪斗には怒られたけど、でもそんなに強く怒るわけじゃなかった。
しばらく腕は動かすなと言われ、部屋に戻ると伊織は話し始めた。

「...夢を見たんです」
「...夢?」
「眠っていなかったかもしれません、幻かもしれません…夢現、というものでしょうか。
私は私自身を組み敷いて、何度も刺していました。
とっくにその私は事切れていて、ピクリとも動きませんでした。
なのに、私は刺しながら叫んでいました…『お前さえいなければ』と…」

話しながら伊織は震えていた。それほど怖かったんだろう。感情がなかった俺でも最近は学習して少しずつ分かるようになった。
俺は伊織の右腕を引っ張って抱き寄せた。
こうすれば伊織は落ち着く。それを知ってる。

「...大丈夫、俺だけ見てて。こうしていれば悪い夢なんて見ない」
「…そうですね…ありがとうございます、衛」

少しずつ落ち着きを取り戻したのか、伊織の体の震えが収まる。伊織には俺がついてる。絶対に守る。

それは命令だからじゃなくて、俺の意思だ。

伊織は俺の大切だ。だからこそ守る。

そう改めて誓った。

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