Bouquet of flowers to Messiah

有賀尋

Body hijacked

「おやすみ、颯空」
「おやすみ、雅志」

いつもの様にキスをして寝たはずだった。
その日はどうも周りが騒がしくて、何かあるのかと聞いたけどただただ騒がしかった。それは颯空も感じていたようで、どうしたのか2人で気になっていたところだ。

...もう寝るし、大丈夫だろう。

そう思って気を抜いた一瞬が命取りになってしまった。
体に何かが入っていく感覚、体を貸す感覚がした。そんなつもりは一切なかったのだが、結果として意識まで乗っ取られた。だから正直記憶がそこで途切れている。
翌朝気がついた時には医務室のベッドの上で、縛られていた。
黒咲さんが見つけてくれたらしく、話を聞かせてくれた。話によると、俺は颯空の上に乗って颯空の首を絞めていたらしい。それに気がついた黒咲さんが俺の首の後ろを叩いて気絶させ、颯空の呼吸を戻し、俺をこうして縛った。ということだ。

「悪いな、ちょっとそうしてろ」
「いえ、大丈夫です。すみません、ご迷惑を...」
「いや、それはいいけど…」
「目が覚めたか、ドアホ」

入口の方を見ると雪斗さんと、その後ろに颯空がいた。明らかに怯えている。

「雪斗さん...颯空...」
「ったく、首絞めるとかどういうこったよ。お前いきなりだったってこいつ起きてからずっと泣きっぱなしだし、俺から離れないんだけど?」

雪斗さんが拘束を解いている間は黒咲さんの後ろに貼り付いていた。余程俺が怖がらせたと見える。

「...颯空...ごめん...」

そう声をかけると颯空は逃げ出して行った。

...まずい。

「あーあ、お前嫌われたな」
「そうみたいだな」

嫌われた。

その言葉を聞いて俺は頭を抱えた。

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