Boy's wish 1

元に戻りたい。

これを今ほど強く願ったことはない。
転生して子どもの姿になって、幸樹に甘えられるようになってよかったと思う反面、任務では役に立たない。これは事実。

｢...元の大きさに戻れないかな...｣

俺は庭にある大きな桜の木の下に寝転んでぼそっと呟いた。大体は今任務に出ていていないし、悔しいけど幸樹も朝陽の任務についている。

生きてたら...幸樹と任務につけたのかな。

俺はそんな邪念を吹き飛ばすように首を横に振った。
こんな事を考えてる暇はない。

｢あーー！やめだやめ！｣
｢何叫んでんだ暁あきら｣

タイミングよく雪斗がやってくる。喫煙所じゃないけどよくここに煙草を吸いに来るらしい。

｢雪斗かー｣
｢なんだ、そのガッカリ感｣
｢別にー？雪斗は煙草？｣
｢そんなところだ｣

隣に座って煙草をふかし始めた。もちろん煙は俺のいない方に吹いているところは流石だと思う。

｢...なぁ雪斗｣
｢なんだ｣
｢...元の大きさに戻れないかな｣

そう言うと、大きく煙を吸って吐き出した。
そしてしばらく何かを考え込んでから口を開いた。

｢...戻りたいのか｣
｢任務で使い物にならなかったら俺のいる意味が無い。幸樹を守るために転生したのに、守れてない｣
｢お前幸樹に甘えられるって大喜びしてたろ｣
｢それはそれこれはこれ！とにかく俺は幸樹を守りたいんだよ！｣

少し考え込んで、大きくため息をついた。どうせバカバカしいと思ってんだろ、知ってるよ。
でも返ってきた返事は意外なものだった。

｢...できないことは無い｣
｢...できんの!?｣
｢まぁ俺ができるわけじゃない。...俺の知り合いが出来るって話だ｣
｢本当か!?｣
｢俺は嘘は言わない。...ただ、あいつに会わせたくないだけだ｣

俺は最初その言葉の意味がわからなかった。
でも後にその言葉の意味を痛いほど知ることになるなんて、この時の俺は思いもしなかった。

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