Bouquet of flowers to Messiah
I only know the secret
「百瀬さーん?」
百瀬さんに用があって探しているのに一向に見つからない。よく考えたらお昼すぎは百瀬さんを見かけない。
最初は係長代理の仕事で出ているのかなとも思ったけど...。
雪に聞いても「いや?警察庁あたりにでも行ったんじゃないか?」って返事が返ってくるし、黒咲さんに聞いても「分からないな、悪い」って謝られるし、雪斗さんに聞いても「百瀬さん?見てないな」って言われるし…はぁ...。
今日決済を貰わないといけないものがあるんだけど…。どうしよう...。
とりあえず探してまわろう。どこかにはいるかもしれない。
いそうな場所を探して回る。係長室、情報部、演習場...探しても探しても見つからない。
...あ、待てよ。もしかして、百瀬さん部屋かな?
そこで僕は百瀬さんの部屋に足をむける。
百瀬さんの部屋に入るのは初めてだけど場所は知ってる。
百瀬さんの部屋について、申し訳程度にノックする。
「百瀬さん、前谷です、いらっしゃいますか?」
一応声をかける。が、百瀬さんからの返事はない。
...いないのかな。
そっとドアノブに手をかけると鍵が開いている。
鍵が開いてるなんて百瀬さんはそんなことしないのに...。そっとドアを開けて部屋に入る。
部屋には百瀬さんらしくて、化粧台がある。棚には写真立てが並んでいて、ひとつには自然に笑う百瀬さんと、隣に立つ知らない人が写っていて、恐らくあまり話したがらない前のメサイアなんだろう。百瀬さんが幸せそうだった。その隣のもうひとつの写真たてには、百瀬さんと...これは...雪?喧嘩してるところを写真撮られていたみたいだった。それを笑いながら見ているのは、九条さんと、百瀬さんの前のメサイア。
...そっか、同期なんだ。
僕には分からない同期の絆。
同期がいていいなと思った。
...僕の同期はいない。
「...喧嘩は相変わらずなんだね、雪と百瀬さんは」
苦笑しつつその写真を眺める。
ぐるっと部屋を改めて見回してみると、意外にも質素な感じがした。持っている化粧道具は凄かったけど。
ベッドで寝ている百瀬さんを見つけて起こさないように覗き込む。
「百瀬さんの寝顔...初めて見た...綺麗な寝顔...」
ちょっと見とれた。決して浮気するとかじゃない。僕が好きなのは雪ただ1人だから。
そっと頭を撫でてみる。
サラサラしてる髪。形のいい頭。同性だと分かっているのにどこか華奢な感じ。
少しその寝顔を見ていると、百瀬さんが目を覚ました。
「...あぁ?」
いつもより低い声の百瀬さん。...完全に目が据わってる。いつもの百瀬さんじゃない...。
「あ...えっと...」
僕は少し目をそらした。
すると百瀬さんが少しずつ元に戻ってきた。
「...あ、あら?ひ、尋ちゃん!?」
「...あ、なんか...えっと...」
「あ、あらぁごめんなさいね!違うのよ!?普段こんなの見せなかったのにあたしったら...!」
「あ、あの...」
「今見たことは忘れてちょうだい!誰にも言っちゃダメよ!」
「それは言いませんけど...百瀬さんも寝るんですね...?」
ちょっと意外で思ったことを口に出した。
「あ、当たり前じゃない!あたしだって人間よ!?そんなパーフェクトヒューマンじゃないわ!」
「だって百瀬さんいつも起きてるから...」
「寝てるわよ!この時間に一嶋係長と交代で...!」
百瀬さんははっと口を押さえた。
「...だってそれでもそんなに長くないですよね?」
「な、長くは...ないわね...」
「夜通しカメラでも見てるんですか?」
「そ、そうね...」
「夜くらい寝ません?」
「...何が起こるかわからないもの、そんなわけには...」
「じゃあ僕もやりますよ、情報部でよくやりますし、任務なんかじゃしょっちゅうありますし」
「いえ、尋ちゃんは寝なさい!」
「え、なんでですか」
「なんでって...!だっていつも雛森とくっついて寝てるじゃないの!」
「それは雪がいる時だけですよ?それ以外は僕も詰めてますし。というかなんで知ってるんですか?」
「...と、とにかく寝なさい!」
僕としては分担した方がいいだろうなと思って提案したのだけど...。
「百瀬さん、最近ちゃんと寝れてます?寝ないとお肌荒れますよ?」
「...寝れてないわね...知ってるわよ...」
「じゃあちょっとくらい誰かに頼ったっていいんじゃないです?じゃないと、いつか百瀬さんが倒れちゃいますよ?決済いただきたかった書類、係長室の百瀬さんのBOXに入れておきますね、もう少し寝ててください」
百瀬さんに痛くない程度にデコピンして部屋を出る。
あんな百瀬さん初めて見た。
でも、百瀬さんもそういう一面がある。
それを知れただけでも僕はちょっと得した気分だ。
部屋に戻れば大好きなメサイアが待ってる。
...雪になら教えてもいいかな。
なんて話そうと考えつつ廊下を歩いていった。
百瀬さんに用があって探しているのに一向に見つからない。よく考えたらお昼すぎは百瀬さんを見かけない。
最初は係長代理の仕事で出ているのかなとも思ったけど...。
雪に聞いても「いや?警察庁あたりにでも行ったんじゃないか?」って返事が返ってくるし、黒咲さんに聞いても「分からないな、悪い」って謝られるし、雪斗さんに聞いても「百瀬さん?見てないな」って言われるし…はぁ...。
今日決済を貰わないといけないものがあるんだけど…。どうしよう...。
とりあえず探してまわろう。どこかにはいるかもしれない。
いそうな場所を探して回る。係長室、情報部、演習場...探しても探しても見つからない。
...あ、待てよ。もしかして、百瀬さん部屋かな?
そこで僕は百瀬さんの部屋に足をむける。
百瀬さんの部屋に入るのは初めてだけど場所は知ってる。
百瀬さんの部屋について、申し訳程度にノックする。
「百瀬さん、前谷です、いらっしゃいますか?」
一応声をかける。が、百瀬さんからの返事はない。
...いないのかな。
そっとドアノブに手をかけると鍵が開いている。
鍵が開いてるなんて百瀬さんはそんなことしないのに...。そっとドアを開けて部屋に入る。
部屋には百瀬さんらしくて、化粧台がある。棚には写真立てが並んでいて、ひとつには自然に笑う百瀬さんと、隣に立つ知らない人が写っていて、恐らくあまり話したがらない前のメサイアなんだろう。百瀬さんが幸せそうだった。その隣のもうひとつの写真たてには、百瀬さんと...これは...雪?喧嘩してるところを写真撮られていたみたいだった。それを笑いながら見ているのは、九条さんと、百瀬さんの前のメサイア。
...そっか、同期なんだ。
僕には分からない同期の絆。
同期がいていいなと思った。
...僕の同期はいない。
「...喧嘩は相変わらずなんだね、雪と百瀬さんは」
苦笑しつつその写真を眺める。
ぐるっと部屋を改めて見回してみると、意外にも質素な感じがした。持っている化粧道具は凄かったけど。
ベッドで寝ている百瀬さんを見つけて起こさないように覗き込む。
「百瀬さんの寝顔...初めて見た...綺麗な寝顔...」
ちょっと見とれた。決して浮気するとかじゃない。僕が好きなのは雪ただ1人だから。
そっと頭を撫でてみる。
サラサラしてる髪。形のいい頭。同性だと分かっているのにどこか華奢な感じ。
少しその寝顔を見ていると、百瀬さんが目を覚ました。
「...あぁ?」
いつもより低い声の百瀬さん。...完全に目が据わってる。いつもの百瀬さんじゃない...。
「あ...えっと...」
僕は少し目をそらした。
すると百瀬さんが少しずつ元に戻ってきた。
「...あ、あら?ひ、尋ちゃん!?」
「...あ、なんか...えっと...」
「あ、あらぁごめんなさいね!違うのよ!?普段こんなの見せなかったのにあたしったら...!」
「あ、あの...」
「今見たことは忘れてちょうだい!誰にも言っちゃダメよ!」
「それは言いませんけど...百瀬さんも寝るんですね...?」
ちょっと意外で思ったことを口に出した。
「あ、当たり前じゃない!あたしだって人間よ!?そんなパーフェクトヒューマンじゃないわ!」
「だって百瀬さんいつも起きてるから...」
「寝てるわよ!この時間に一嶋係長と交代で...!」
百瀬さんははっと口を押さえた。
「...だってそれでもそんなに長くないですよね?」
「な、長くは...ないわね...」
「夜通しカメラでも見てるんですか?」
「そ、そうね...」
「夜くらい寝ません?」
「...何が起こるかわからないもの、そんなわけには...」
「じゃあ僕もやりますよ、情報部でよくやりますし、任務なんかじゃしょっちゅうありますし」
「いえ、尋ちゃんは寝なさい!」
「え、なんでですか」
「なんでって...!だっていつも雛森とくっついて寝てるじゃないの!」
「それは雪がいる時だけですよ?それ以外は僕も詰めてますし。というかなんで知ってるんですか?」
「...と、とにかく寝なさい!」
僕としては分担した方がいいだろうなと思って提案したのだけど...。
「百瀬さん、最近ちゃんと寝れてます?寝ないとお肌荒れますよ?」
「...寝れてないわね...知ってるわよ...」
「じゃあちょっとくらい誰かに頼ったっていいんじゃないです?じゃないと、いつか百瀬さんが倒れちゃいますよ?決済いただきたかった書類、係長室の百瀬さんのBOXに入れておきますね、もう少し寝ててください」
百瀬さんに痛くない程度にデコピンして部屋を出る。
あんな百瀬さん初めて見た。
でも、百瀬さんもそういう一面がある。
それを知れただけでも僕はちょっと得した気分だ。
部屋に戻れば大好きなメサイアが待ってる。
...雪になら教えてもいいかな。
なんて話そうと考えつつ廊下を歩いていった。
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