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部の中心的な弓道部員だった私が異世界に転生したら長耳族でした

クラヤシキ

第五十二話 「剣聖の千剣」

 デミングポートに入った時は驚いたものだ。なんせ、魚屋や果物屋などが大量に並んでいたからだ。やはり沿海部という事で、交易が盛んなのだろうか、と一瞬思ったけど、魔族領の国が海を越えた先にあるのかという疑問に至り、結果的にデミングポートの漁師や農家さんが育てた物だけがこうして並んでるんだろうという結論に至った。しかし戦争中にも関わらずここも平和だ。真っ先に狙われてもいいと思うんだけどなぁ。

「ここは平和ですね。もう少し、貧相な生活を強いられてるかと思いましたが」
「当たり前だ。ここは魔神王の扱う神器の庇護下にあるからな。食料や生活資料の供給は充分な程に賄われている」
「へぇ…あの月世界に居たのによくご存知で」
「俺は外に出るのが好きな人間だからな」

 あの召喚術の神器ってここまで食べ物とかの配給してるんだ。なんだあの魔神王、仲間のこと考え過ぎじゃないか?少しは己自身の事も労って欲しいと思う。

「そうだ。少し裏路地に入ろう。そこでレイシュには剣を作って貰うぞ」
「分かりました。人肌脱ぎましょう」

 クレスはそう言い、何処か手頃な裏路地が無いかを探す様にウロウロし始め、しばらくして戻ってきた。

「いい所を見つけた。そこに行こう」

 裏路地にいい所とかあるんですかね…。とか思いつつ私達はクレスについて行った。

 _____________

 裏路地に入り、少し進むとちょうど良い空間に出た。四方八方建物に囲まれた空間。ふむ…、なんでこんな空間が出来上がるのだろうか。不思議でならない。

「よし。ここで済ませよう。やってくれ」
「少し待ってください。この剣、長いので…んしょっと…」

 剣聖は八咫鏡では無い方の剣を抜くのに苦労していた。そういえば、あの剣を抜いているのは見た事無い。いつもは八咫鏡と何処からか持ってくる剣で戦っているのは見たけど、どれも短剣だったし、二刀流の彼女にとってあの剣は少し、いや少しどころかかなり長い気がするんだけど…。

「ふぅ…何本出しましょうか。998、いえ999本までならいけますよ」
「あれ、998じゃないの?」
「ちょっとした間違いです。この…いえ、彼は私の千剣には入らないので」

 彼?今あの長身剣に向かって彼って言ったのかこの人は。なんだ?情が移りすぎたのか?

「ひとまず、そうだな…25本でどうだ?皆で持てる筈だが」
「そうですね、では作って行きますか。あっでも最後の1本は大きくなるかもしれません」
「構わん」

 クレスの言葉に答える様にして剣聖は頷き、手を前へと突き出し、握る仕草をした。そして、手を下ろし、離す仕草をする。すると、カランッという金属音が鳴り響き、音の出た方向を見ると、剣が2本、落ちていた。え、あれどういう原理なの?スゲェ。

 その後もカランッカランッと、音を立てて剣が剣聖の手から落ちていき、あっという間に剣を作り終えてしまった。本当にあれはどういう原理なのだろうか。魔力的な物でもないしな…。

「よし、これだけあれば売れる事間違い無しだ。軽いしな」
「こんなに軽いものを使ってたのに私の障壁をぶっ壊してたと思うと、さすが剣聖だな、って思うんだけど」
「それ程でも無いですよ。鍛えればこんなもんです」
「こんなに軽い剣始めてなのだ…。材料はなんなのだ?」
「材料ですか…?材料…、うーん。私でも分かりません」
「そうなのだ?」

 そんな会話を四人でしながら、裏路地を出た。剣聖って一体どういう人なのか、少しだが、気になってきた気がする。これ売り払ったら、問い詰めてみるか。

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