部の中心的な弓道部員だった私が異世界に転生したら長耳族でした
第三十五話 「真宵の神」
日も沈み、辺りが闇に包まれ、明かりが月だけになった刻。私達はクレスさんの家を出て、外に居た。
「おいレイシュ。映し鏡は持ったのか?」「はい。ご飯美味しかったです」「お、おう…。ありがとう…」
彼女は前の様な軍服は着ていない。無地の着物だ。どうやら、クレスさんの着物を貰ったらしい。いや、似合いすぎてね?なんだろう、剣聖は軍服とかそういう服よりこういう和の雰囲気を持つ服が似合う。
「何ですかじっと見て。あ、これ似合いませんか?」「い、いやかなり似合ってると思うよ!」「そうですか?それはそれで良いのですが…」
彼女はそう言うと少しだけ微笑んだ。そして、川の方に向き直り、そこへと向かって歩き出した。
「あの、クレスさん」「何だ?」「剣聖は何を?」「今から、月神の根城の門を開く。その為に色々と過程があってな、レイシュにはそれをこなして貰う」
月神…門…映し鏡…剣聖…。あっ、真銘『八咫鏡』か!それって有利になるんじゃなくて、必須クラスじゃないですか! 何考えてんだあの神は。私は神にひたすらガッカリしつつ、剣聖を見直した。なにやら剣を掲げている様に見える。
「あれって、剣ではないのか?」「あれは鏡です。夢を見させてくれる鏡だそうで」「ほう…」
彼女は剣を下げると、次は川につけ始めた。そして、暫くたちそれを引き上げる。すると剣鏡は青白い淡い光を放って水から姿を現した。
「これで確か振り下ろせば良いんでしたっけ?」「あぁ。それで門は開かれる」「では、やっちゃいますね」
彼女は剣を振り下ろした。すると、みるみる内に空間が裂けていき、紡錘型の穴が出来た。奥にチラリと見えるのが根城だろうか?
「この先に月神の根城が?」「えぇ。さぁ、行きましょう」「これは俺も行こう。奴には俺も用がある」
クレスさんも用があるってどう言うことなのだろう?まぁあまり詮索はしないけど…。そう思っていると先に入っていた剣聖に手招きされたので私も入ることにした。入った瞬間、私の視界を覆い尽くしたのは…。
「わぁぁ…!綺麗な星!」「そうですね…。懐かしくて、とても美しい空だと思います」
眩いばかりの満天の星空。現世では山の山頂とかでしか見られなさそうな、星空である。そして、大きな満月。これが月神の世界なのだろうか?
「やはり、ここはいつ来ても変わらないな…」「クレスさんは此処へ来た事が?」「あるとも。何度か、な。さ、あれが奴の根城だ」
そう言って遅れて入ってきたクレスさんが指差す方向を見ると、そこには何やら見覚えがある建造物があった。やはり神の社というのはああ言うものなのだろうか?あれは、根城というより神殿だ。
「では、早速行きましょうか」「そうだね」「あぁ」
私達は、剣聖の後ろを付いて歩き出した。ここは元の世界とは少し違う世界。なにが起きてもおかしくないので皆寄り添って歩く。
__________
神殿に辿り着き、中に入ると誰も居なかった。不在なのだろうか?
「おい!月神!また来たぞ!」
クレスさんが大声を上げるもその声は響くだけである。満月の夜はアタリでは無かったのだろうか。
「剣聖」「何でしょう?」「満月の夜がアタリってどういうこと?」「罠が作動しないので楽に入れるという事です。それに、満月の夜の彼は機嫌がいいので」「罠なんてあるんだ…」「えぇ。あっ、どうせならそこら辺を彷徨いたらどうでしょう?面白いものがあるかもですよ?」
私は暇なので、辺りを彷徨く事にした。こうやって彷徨くと稀になにやら発見があるのでそれを頼りに彷徨く。私の好奇心は世界最強だ。そして今の私は目の前のレバーに興味津々である。こういうレバーは引いてはならないけど引きたくなる。私はそっと手を出し、
「うっ…」
誰かに手を掴まれた。くそぅバレたか…。と思い残念な顔のままその手が伸びて来た方向に目を向ける。するとそこには、見知らぬ顔があった。
「きゃっ…!?」「あっ、ごめん。つい手が伸びてしまった。そして驚かせてしまった。ごめんね?」「え?あぁはい」「君があの馬鹿神にここに来る様言われた子でいいかな?」「馬鹿神…あっはい!」
あの神の事を知っている。そしてその神の事を馬鹿なんて一蹴出来る人物、もしかしてこのひとが…。
「俺は月神、レイドウ・ニクス・ヴェルテニシア。うーん、そうだな…。軽く月神と呼んでくれて構わない」「私はラルダと申します。それで唐突なんですが」「ん?」「私達はここに暫く滞在する事になるんですけど良いんですか?」「あぁ。元々奴からそう聞いているし、そうだな。5ヶ月でお前を降臨者らしくしてやろう」「あっ…ありがとうございます!」
しかし、5ヶ月。5ヶ月で私の魔力が開放される訳か。早いのか遅いのか。うーん…。
「あっそうだ」「どうしました?」「魔力の開放に伴い、身体がその偉大なる魔力に急速に対応しようとする為、身体が急成長する事は肝に命じておけよ?」
そう言って、彼は立ち去っていった。身体が急速に成長する?それは、まぁ、なんとも…。まあ、強くなる為だから仕方ないか!
私はそんな思いを胸に秘め、再び神殿を散策し始めた。
「おいレイシュ。映し鏡は持ったのか?」「はい。ご飯美味しかったです」「お、おう…。ありがとう…」
彼女は前の様な軍服は着ていない。無地の着物だ。どうやら、クレスさんの着物を貰ったらしい。いや、似合いすぎてね?なんだろう、剣聖は軍服とかそういう服よりこういう和の雰囲気を持つ服が似合う。
「何ですかじっと見て。あ、これ似合いませんか?」「い、いやかなり似合ってると思うよ!」「そうですか?それはそれで良いのですが…」
彼女はそう言うと少しだけ微笑んだ。そして、川の方に向き直り、そこへと向かって歩き出した。
「あの、クレスさん」「何だ?」「剣聖は何を?」「今から、月神の根城の門を開く。その為に色々と過程があってな、レイシュにはそれをこなして貰う」
月神…門…映し鏡…剣聖…。あっ、真銘『八咫鏡』か!それって有利になるんじゃなくて、必須クラスじゃないですか! 何考えてんだあの神は。私は神にひたすらガッカリしつつ、剣聖を見直した。なにやら剣を掲げている様に見える。
「あれって、剣ではないのか?」「あれは鏡です。夢を見させてくれる鏡だそうで」「ほう…」
彼女は剣を下げると、次は川につけ始めた。そして、暫くたちそれを引き上げる。すると剣鏡は青白い淡い光を放って水から姿を現した。
「これで確か振り下ろせば良いんでしたっけ?」「あぁ。それで門は開かれる」「では、やっちゃいますね」
彼女は剣を振り下ろした。すると、みるみる内に空間が裂けていき、紡錘型の穴が出来た。奥にチラリと見えるのが根城だろうか?
「この先に月神の根城が?」「えぇ。さぁ、行きましょう」「これは俺も行こう。奴には俺も用がある」
クレスさんも用があるってどう言うことなのだろう?まぁあまり詮索はしないけど…。そう思っていると先に入っていた剣聖に手招きされたので私も入ることにした。入った瞬間、私の視界を覆い尽くしたのは…。
「わぁぁ…!綺麗な星!」「そうですね…。懐かしくて、とても美しい空だと思います」
眩いばかりの満天の星空。現世では山の山頂とかでしか見られなさそうな、星空である。そして、大きな満月。これが月神の世界なのだろうか?
「やはり、ここはいつ来ても変わらないな…」「クレスさんは此処へ来た事が?」「あるとも。何度か、な。さ、あれが奴の根城だ」
そう言って遅れて入ってきたクレスさんが指差す方向を見ると、そこには何やら見覚えがある建造物があった。やはり神の社というのはああ言うものなのだろうか?あれは、根城というより神殿だ。
「では、早速行きましょうか」「そうだね」「あぁ」
私達は、剣聖の後ろを付いて歩き出した。ここは元の世界とは少し違う世界。なにが起きてもおかしくないので皆寄り添って歩く。
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神殿に辿り着き、中に入ると誰も居なかった。不在なのだろうか?
「おい!月神!また来たぞ!」
クレスさんが大声を上げるもその声は響くだけである。満月の夜はアタリでは無かったのだろうか。
「剣聖」「何でしょう?」「満月の夜がアタリってどういうこと?」「罠が作動しないので楽に入れるという事です。それに、満月の夜の彼は機嫌がいいので」「罠なんてあるんだ…」「えぇ。あっ、どうせならそこら辺を彷徨いたらどうでしょう?面白いものがあるかもですよ?」
私は暇なので、辺りを彷徨く事にした。こうやって彷徨くと稀になにやら発見があるのでそれを頼りに彷徨く。私の好奇心は世界最強だ。そして今の私は目の前のレバーに興味津々である。こういうレバーは引いてはならないけど引きたくなる。私はそっと手を出し、
「うっ…」
誰かに手を掴まれた。くそぅバレたか…。と思い残念な顔のままその手が伸びて来た方向に目を向ける。するとそこには、見知らぬ顔があった。
「きゃっ…!?」「あっ、ごめん。つい手が伸びてしまった。そして驚かせてしまった。ごめんね?」「え?あぁはい」「君があの馬鹿神にここに来る様言われた子でいいかな?」「馬鹿神…あっはい!」
あの神の事を知っている。そしてその神の事を馬鹿なんて一蹴出来る人物、もしかしてこのひとが…。
「俺は月神、レイドウ・ニクス・ヴェルテニシア。うーん、そうだな…。軽く月神と呼んでくれて構わない」「私はラルダと申します。それで唐突なんですが」「ん?」「私達はここに暫く滞在する事になるんですけど良いんですか?」「あぁ。元々奴からそう聞いているし、そうだな。5ヶ月でお前を降臨者らしくしてやろう」「あっ…ありがとうございます!」
しかし、5ヶ月。5ヶ月で私の魔力が開放される訳か。早いのか遅いのか。うーん…。
「あっそうだ」「どうしました?」「魔力の開放に伴い、身体がその偉大なる魔力に急速に対応しようとする為、身体が急成長する事は肝に命じておけよ?」
そう言って、彼は立ち去っていった。身体が急速に成長する?それは、まぁ、なんとも…。まあ、強くなる為だから仕方ないか!
私はそんな思いを胸に秘め、再び神殿を散策し始めた。
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