部の中心的な弓道部員だった私が異世界に転生したら長耳族でした
第十五話 「顔広氷術師」
「結構賑やかなんだねぇ!」「うん。冬とはいえ、やっぱり食べ物には困っちゃうしね。こうして市場は盛況になるんだよ、今日は卵料理が食べたいなぁ…っと」
私はというとウェインさんと街に繰り出していた。冬だからすっからかんと思ったけどそうでもなく、結構盛況である。
「あっ、ウェインちゃん!ちょっと!」「はいはい?どうしたのおばちゃん?」「氷が足りなくなってねぇ。貯蓄してくれないかい?」「いいよ。あっ、じゃあこの卵頂戴!5個でいいからさ!」
こんな感じでウェインさんが物をせしめていて、結構あくどいんだね、って言ったら「物々交換だよ。私の作る溶けない氷を要求してるから私も私が要求してる物を貰う。道理でしょ?」って言われた。本当にそれでいいのか?
「ふぅー。結構貰ったなぁ」「本来の目的忘れてませんよね?」「分かってるよぉ。今向かってるよ」
そう言って、彼女は路地裏に入る。もう嫌な予感しかしない。
「大丈夫なんですかこれ?」「大丈夫だって、毎回クレイと食べに行く時はここ来るし、比較的安全だから」「そうですか…」「あっ、着いたよ」
気付いたら着いていた。見た目は他の店と何ら変わらない。ていうか看板が無いからよく分からん。胡散臭い。
「本当に大丈夫ですよね?」「胡散臭いとは思うけど大丈夫だから!ほら入った入った!」「うー…」
恐る恐る扉を開ける。そこは、普通の服屋だった。見た感じ、ユニ〇ロとか〇Uとかみたいな感じだ。あそこまで広くはないけど。
「いらっしゃい。おぉウェインさんじゃねぇか。いつもご贔屓にどうも。子供も一緒かい」「いつもお世話になってます」「んで、今日はどういった服を御所望だ?相方を落とす様な服か?」「いいや。今日はこの娘の服を頼みたいの」
肩を掴まれる。そして店長の視線が私に移ったので軽くピースして笑ってみる。ニカッと。店長が凄いスマイルを返してきた。イイねぇ。
「長耳族か。いやはや可愛らしい。さて君はどんな服をご所望だ?」
少し悩んだ。動き安さも重視したいし、カッコ良さも重視したいんだよね。生前には可愛さなんて微塵も見なかった。だからこれでいいのだ。
「動き安くて、こう、格好良い感じのが良いです」「ほう。これはまた珍しい、良いだろう。探してみよう」
そう言って、店長さんは奥に戻っていった。どういう服を持ってくるか楽しみだ。
___________
そして、数十分後。店長さんが幾つかの服を持ってきた。黒緑の服や赤、白の服など様々だ。
「動きやすい服ってのに絞って探してみたのだが、こんなんだ。取り敢えず着てみるか?」「はい!」
という訳で着させて貰った。黒緑は似合ってはいたが、柄が気に入らなかったので、パス。赤は似合わず、1番しっくり来たのが無地の白の長袖の服。中々っていうかかなり似合っていると言われたのでこれにした。ズボンは短パンである。動きやすいからね!…しかし、ちょっと足りないなー。と思った。
「うーん…」「どうしたの?」「何かが足りない」「まぁ、確かにそうだね。よし、おじさん!」「あいよー。多分足りないと思うのは上着がないからだろ。こっちに来い」「はーい」
という訳で店長について行く。上着。個人的に黒が良い。そして上着が大量にある部屋へとやって来た。
「んじゃ、どんなのがいい。色だけでもいいから教えてくれ」「黒色のが欲しいです」「黒、か。よし待ってろ」
そして店長が上着の迷路に入っていった。そして黒の上着を3着取って戻ってきた。右からスタンダードな羽織るだけの黒の上着。そして、ローブっぽい黒の上着。色々ポッケとかが多く付いたジャケット。の3種である。
「どれがいい」「うーん…うー…真ん中のが良いです」「よし。これだな、良いぞ。戻れ」「はい」
そして-。
「ふむ。悪くは無い」「上出来ですね」「うん。これならウェルトとも並んで歩ける!」「んじゃ、会計頼むぜ。6700ゲイだ」「はいはい」
成程。新しい服を着るとときめきを覚えるのか。覚えておこう。すっごいときめいてる。こんな地味な感じなのに。会計も済み、店から出ようとした時、店長さんに呼び止められた。
「おいガキ」「はい?」「頑張れよ」「?まぁ、分かりました。ありがとうございました」
店長さんの言葉はよく分からなかったが、私はウェインさんに着いて店を出た。こうして、私は新しい服を手に入れた。地味ながらも、地味な自分に合っているのでこれでいい。ウェルトがどう言うかが楽しみだ。
___________
所が変わり、人間族の王都の王宮での事。玉座の間にて、【人皇】と相対している人物が居た。その人物を見ながら、【人皇】は苛立った顔をしている。対してその人物は無表情である。
「よくもやってくれましたね貴方…」「なんの話だ?俺は役目を果たしただけだが」「役目を果たした?貴方にはなんの役職を与えてはいない!なのに戦場に忽然と現れ、確保した長耳族を全員殺したそうじゃないですか!」「お前や【魔神王】がこうして対立して争っている今、互いの戦力を削りきるのが俺の役目だからな」「互いの…?言っている意味が分からない!何故そのような事をするのです!?」「神様がこのままじゃ、戦争は終わらず、世界が壊れると判断からだ。だから、俺はその抑止として別の世界線から呼ばれたのだ」「抑止……貴方はまさか…」「お察しが早い。そう、俺は《降臨者》。どちらの陣営にもつかず、出過ぎた真似をすれば壊しに行く者」
《降臨者》。転移者と道理は同じだが、その転移する人材によって区別される。その人材とは、その世界線に置いて屈指の実力を持つ者である。この世界で大規模かつかなり長期に続く争いが起きた場合に、行き過ぎを防ぐ為、被害を最小限に抑える為に召喚される者。それが《降臨者》だ。
「俺は「戦殺」の《降臨者》だ。俺に対して戦意を出した奴は遠慮なく殺す。それだけは覚えとけよ?」「ぐっ…!待てっ!」「ん?」「【剣聖】はどうした!」「あぁ。蒼台か。俺の姿を見た瞬間、怯えながら何かを言っていたな…。戦意を感じなかったから置いてきた」
そう言い捨てて、彼は玉座の間から出た。次に向かうは、魔神の里。
私はというとウェインさんと街に繰り出していた。冬だからすっからかんと思ったけどそうでもなく、結構盛況である。
「あっ、ウェインちゃん!ちょっと!」「はいはい?どうしたのおばちゃん?」「氷が足りなくなってねぇ。貯蓄してくれないかい?」「いいよ。あっ、じゃあこの卵頂戴!5個でいいからさ!」
こんな感じでウェインさんが物をせしめていて、結構あくどいんだね、って言ったら「物々交換だよ。私の作る溶けない氷を要求してるから私も私が要求してる物を貰う。道理でしょ?」って言われた。本当にそれでいいのか?
「ふぅー。結構貰ったなぁ」「本来の目的忘れてませんよね?」「分かってるよぉ。今向かってるよ」
そう言って、彼女は路地裏に入る。もう嫌な予感しかしない。
「大丈夫なんですかこれ?」「大丈夫だって、毎回クレイと食べに行く時はここ来るし、比較的安全だから」「そうですか…」「あっ、着いたよ」
気付いたら着いていた。見た目は他の店と何ら変わらない。ていうか看板が無いからよく分からん。胡散臭い。
「本当に大丈夫ですよね?」「胡散臭いとは思うけど大丈夫だから!ほら入った入った!」「うー…」
恐る恐る扉を開ける。そこは、普通の服屋だった。見た感じ、ユニ〇ロとか〇Uとかみたいな感じだ。あそこまで広くはないけど。
「いらっしゃい。おぉウェインさんじゃねぇか。いつもご贔屓にどうも。子供も一緒かい」「いつもお世話になってます」「んで、今日はどういった服を御所望だ?相方を落とす様な服か?」「いいや。今日はこの娘の服を頼みたいの」
肩を掴まれる。そして店長の視線が私に移ったので軽くピースして笑ってみる。ニカッと。店長が凄いスマイルを返してきた。イイねぇ。
「長耳族か。いやはや可愛らしい。さて君はどんな服をご所望だ?」
少し悩んだ。動き安さも重視したいし、カッコ良さも重視したいんだよね。生前には可愛さなんて微塵も見なかった。だからこれでいいのだ。
「動き安くて、こう、格好良い感じのが良いです」「ほう。これはまた珍しい、良いだろう。探してみよう」
そう言って、店長さんは奥に戻っていった。どういう服を持ってくるか楽しみだ。
___________
そして、数十分後。店長さんが幾つかの服を持ってきた。黒緑の服や赤、白の服など様々だ。
「動きやすい服ってのに絞って探してみたのだが、こんなんだ。取り敢えず着てみるか?」「はい!」
という訳で着させて貰った。黒緑は似合ってはいたが、柄が気に入らなかったので、パス。赤は似合わず、1番しっくり来たのが無地の白の長袖の服。中々っていうかかなり似合っていると言われたのでこれにした。ズボンは短パンである。動きやすいからね!…しかし、ちょっと足りないなー。と思った。
「うーん…」「どうしたの?」「何かが足りない」「まぁ、確かにそうだね。よし、おじさん!」「あいよー。多分足りないと思うのは上着がないからだろ。こっちに来い」「はーい」
という訳で店長について行く。上着。個人的に黒が良い。そして上着が大量にある部屋へとやって来た。
「んじゃ、どんなのがいい。色だけでもいいから教えてくれ」「黒色のが欲しいです」「黒、か。よし待ってろ」
そして店長が上着の迷路に入っていった。そして黒の上着を3着取って戻ってきた。右からスタンダードな羽織るだけの黒の上着。そして、ローブっぽい黒の上着。色々ポッケとかが多く付いたジャケット。の3種である。
「どれがいい」「うーん…うー…真ん中のが良いです」「よし。これだな、良いぞ。戻れ」「はい」
そして-。
「ふむ。悪くは無い」「上出来ですね」「うん。これならウェルトとも並んで歩ける!」「んじゃ、会計頼むぜ。6700ゲイだ」「はいはい」
成程。新しい服を着るとときめきを覚えるのか。覚えておこう。すっごいときめいてる。こんな地味な感じなのに。会計も済み、店から出ようとした時、店長さんに呼び止められた。
「おいガキ」「はい?」「頑張れよ」「?まぁ、分かりました。ありがとうございました」
店長さんの言葉はよく分からなかったが、私はウェインさんに着いて店を出た。こうして、私は新しい服を手に入れた。地味ながらも、地味な自分に合っているのでこれでいい。ウェルトがどう言うかが楽しみだ。
___________
所が変わり、人間族の王都の王宮での事。玉座の間にて、【人皇】と相対している人物が居た。その人物を見ながら、【人皇】は苛立った顔をしている。対してその人物は無表情である。
「よくもやってくれましたね貴方…」「なんの話だ?俺は役目を果たしただけだが」「役目を果たした?貴方にはなんの役職を与えてはいない!なのに戦場に忽然と現れ、確保した長耳族を全員殺したそうじゃないですか!」「お前や【魔神王】がこうして対立して争っている今、互いの戦力を削りきるのが俺の役目だからな」「互いの…?言っている意味が分からない!何故そのような事をするのです!?」「神様がこのままじゃ、戦争は終わらず、世界が壊れると判断からだ。だから、俺はその抑止として別の世界線から呼ばれたのだ」「抑止……貴方はまさか…」「お察しが早い。そう、俺は《降臨者》。どちらの陣営にもつかず、出過ぎた真似をすれば壊しに行く者」
《降臨者》。転移者と道理は同じだが、その転移する人材によって区別される。その人材とは、その世界線に置いて屈指の実力を持つ者である。この世界で大規模かつかなり長期に続く争いが起きた場合に、行き過ぎを防ぐ為、被害を最小限に抑える為に召喚される者。それが《降臨者》だ。
「俺は「戦殺」の《降臨者》だ。俺に対して戦意を出した奴は遠慮なく殺す。それだけは覚えとけよ?」「ぐっ…!待てっ!」「ん?」「【剣聖】はどうした!」「あぁ。蒼台か。俺の姿を見た瞬間、怯えながら何かを言っていたな…。戦意を感じなかったから置いてきた」
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