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部の中心的な弓道部員だった私が異世界に転生したら長耳族でした

クラヤシキ

第三話 「楽しみ探し」

 2歳になった。ただ、異様に成長が早い。まともに話せるし、歯も生え揃った。前世では4歳ぐらいの感じだ。ただ正直、この2年間何も無かった。だってハイハイ出来るようになっても親に持ち上げられて元いた場所に戻されるし、多少歩けるようになっても凄く心配されてまともに動けないし。そこまで心配しなくていいと思うんだけどなあ。でもまあ分からんでもない、はじめての子供は傷付けさせたくないって思うよね。だけどまあ、私的には窮屈だ。やめて欲しい。 しかし2歳になってからはそういう縛りもなくなり、基本的自由に行動できるようになった。歩行も安定して出来るので、家中散策出来そうだ。やっとこの家の事を知れるぞっ!そう生き込んでいるとふと両親の会話が耳に入ってきた。
「あの子、あんな自由にさせて大丈夫かしら?」「リイアは心配し過ぎだよ。ラルダもきっと君の心配症にはうんざりしてるだろうね。多少は怪我とかして身体を強くしないとね。いざとなれば治療すればいいし」
 お父さんの言うことは最もである。子供は自由にさせてナンボだ。私はそう思いつつ、こっそり部屋を出た。右は玄関、左は知らない部屋と2階に繋がる階段だ。これは当然左に決まっている。私は左に進み、まずは知らない部屋の扉を開けた。
「わぁ」
 そこにあったのは父の狩り道具、及びその材料。この2年間、憧れに憧れた物があった。しかし、私はちょっと嫌な予感がしたのでその部屋を後にした。怪我をするかも、と思ったのだ。部屋を出た私はもっと安全で面白い物が無いかな、と考える。そして…
「やっぱ2階かな…!よし!」「ラルダ?父さんの部屋の前で何やってるんだ?」「わぁぁっ!?」
 突然父に話しかけられて危うく転びそうになる。びっくりするからやめてほしい。心臓に悪い。
「ははーん。さては父さんの狩り道具が気になったんだな?」「間違ってはないけど…違うの」「違うのか?んー…。あっ、2階に行こうとしてたよな」「うん…だめ?」「や、駄目という事は無いが書斎ぐらいしかないよ ?」「ほんと!?」
 書斎があるのか!やった!これで勉強が出来る!ただこっちの言語は理解出来て話せるだけで、書く事は出来ないので、結局本を読むだけで終わるのだが。ただ読書という楽しみが出来ただけ良いかな。そう思い、居場所を聞こうとした時、父が言った。
「よし、なら俺が毎日書きの練習をさせてあげよう」「えっ?」「だって、勉強したいんだろう?字が書けないと勉強出来ないもんな」「え、あ、いやその…。なんで勉強したいなんて言ってないのに私がしたい事が分かったの?」「あぁ、ラルダはこの魔力を知らないのか」
 魔力。魔力?あるんだ、魔力。そりゃあるか、異世界だし。しかし、人の心を読む魔力なんて凄くない?普通こんな場所ではそういう人は居ないんだけど…。
「『同調リンク』って言うんだ。対象の心というか気持ち?とリンクして、相手の心象を察知するんだ。これは僕ら長耳族エルフ皆が使う事が出来る。勿論、ラルダもな」「へえ。私にも出来るの?」「ああ。どうせなら、今俺がどう思ってるか『同調』で当ててみな」「ちょっとやってみる。」
 と、言ってみたものの。どうすればいいか分からない。私が気張ったり、目を思い切りつぶって力んだりしていると、父が笑いながら、こう言ってきた。
「ははは。そんな事しなくていいんだよ。ただ相手の眼を見るだけで良いんだ」「分かった」
 そう言って父の眼を見る。すると、何やらおかしな物が流れて来た気がした。そして同時に何かを察知する。これが『同調』か。
「お腹すいたの?」「当たりだね。その通りちょっと小腹が空いたと思っていたんだ。まぁそんな事より、書斎に行きたいんだったね。おいで」「はーい」
 私は父と一緒に2階の書斎へと向かった。
 ______________
「それでここなんだけど、本は少ないからな。人間族から仕入れなきゃいけないし、何より高価なものなんだ」「うんうん。これだけあればいいよ」
 そこにあった本は4冊。この世界についてのことがこと細かく載っている本に、道具の作り方が2冊分。そして、辞書だ。いや、正確には違うんだろうけど、見た目は辞書だ。
「ありがとうお父さん!」「あぁ。こんな物で喜んでくれて何よりだ」
 私が最高の笑顔を見せてやると、父親はとても嬉しそうにしていた。うんうん。やはり子供の笑顔というのは強烈らしい。
「しかしラルダは母さんに似て可愛いなぁ。ははは〜」「わっ!ちょっ、あっ、はははは!くすぐったい!」
 突然くすぐられたので、なんの抵抗も出来なかった。しかし、嫌では無いので、ずっと好きなようにいじられ続けた。
 明日からは本を読もう。

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