日向ちゃんは甘えたい!
11︰フキゲン
〈兵藤陸〉
朝の騒動から数時間、なんとかして話を沈めた俺たちはゆっくりと学校の食堂に向かっていた。
海斗「おーおー陸さんよォ、今日はとんでもない日になったやないか。どないしとん」
陸「おいおい、キャラ変わってるぞ、ただでさえ不安定なのに…」
海斗「そういうの言っちゃだめだよ!?クラス内とかで気にしてるんだよ!?」
あ、海斗のくせにそういうの気にしてるんだ…
そう言ってるうちに俺たちは食堂についた。
海斗「さぁーて、今日は何食おうかな〜陸は何にする?」
陸「俺はいつもので」
海斗「いつもの?陸いつも違うもん食ってなかったっけ?」
陸「いつもの、日替わり定食。」
海斗「あぁ、そういうね、俺の場合は割と偏食だからランダムは怖いんだよねぇ」
陸「おいおいあんまりバランス悪いと不健康だぞ?」
海斗「そういうなら陸が作ってくれよ、確か料理美味かったよな?」
そういえば昔はよく作ってやったりしたなぁ…
陸「別にいいけど、簡単な物しか作れないぞ?」
海斗「その簡単な物にも全力なのが陸じゃん?」
ん?こいつ話をいいようにまとめたぞ?
陸「あ、あぁ、っていうかさっきから思ったんだけどさ?」
うん、これは間違いない…
海斗「うん。やっぱり陸も思う?」
陸「あぁ、お前もか」
さっきから視線を感じる!しかも食堂中から!
生徒A「ねぇ、葛城様と兵藤君、また一緒だよ?あの噂って…」
生徒B「そうね、とりあえず葛城様に遊ばれ隊で会議をしましょう。」
 
おい待て、そこの2人、なんだ葛城様って、しかもなんだその団体。早く潰せよ、ヤバいやつらしかいないだろ絶対。
生徒B「しかも葛城様、さっき兵藤君に料理を作ってくれって…プロポーズ的なあれかしら?」
  
生徒A「死ねばいいのに…」 
おいおい、なんでだよ、泣くぞ?俺
それに察した海斗は珍しく俺を助けてくれた。
海斗「陸、場所を変えよう。ここにいても面倒なだけだ。」
陸「あぁ、ありがと。」
〈日向絵里〉
今日、変な噂を聞きました。
なんでもかーくんとりっくんが付き合ってるとか言うそうです。
さすがに私も怒ってます!
だって私とりっくんの間に噂なんて流れないのに!
男同士のかーくんの間には凄い勢いで流れるんですよ!
このままだとかーくんに負けた気がするのでなんか嫌です!
今日中にでも現状を変えてやります!
〈日向絵里〉〈放課後〉
絵里「ねぇ、りっk…兵藤君、放課後暇かしら?」
危なかったです、ついクラスでりっくん呼びしてしまいそうになりました。
付き合ってることはあまり知られたくはないので(面倒だから)隠してるのですが、つい口にしてしまいそうです。
陸「暇だけど?」
絵里「もし良かったらお茶でもどう?話したい事があるの。」
少し周りの目線も気になるけど、流れはカンペキです!
陸「あぁ、わかった。場所は任せる。」
〈喫茶店〉
〈兵藤陸〉
なんかよくわからんけど、着いたぞ、喫茶店。
さっきは気づかなかったけど、絵里、なんか不機嫌では?
陸「えーっと、その絵里…さん?」
絵里「はい、何かしら?」
陸「今日何かありました?」  
絵里「あら?それはどうしてでしょうか?」
なんで俺ら敬語なの?気まずいよ…
陸「いや、なんとなく、さっきからそんな気がして…」
すると絵里は少し頬を赤くして、こちらに告げてきた。
絵里「だって、かーくんと付き合ってるって…」
陸「いや、それは誤解だって、第一俺ら男同士だし。」 
絵里「そうだけど…」
陸「?どうした?」
絵里「私とりっくんの噂なんて全くないのに!男のかーくんとの噂が流れてるんだよ!なんか負けた気がして悔しいじゃん!」
なんだ、そんなことをずっと気にしていたのか。
陸「そういえば絵里はさ、俺らの関係のこと、皆に知られるの嫌がってたよね?それはなんで?」   
絵里「私はいいよ!皆に知られても!でも、りっくんはそういうの苦手な人だから。」
この子はどこまでも俺の事を考えてくれている。
多分、出会った時から。
陸「でも、絵里が付き合ってるのも知らずに告白してくる男子を見てると思うんだ。いつか、誰かに絵里を取られるんじゃないかって、」
絵里「?!なんで告白されてるの知ってるの?なるべく隠してきたのに…」
陸「ちょっと前から海斗に聞いた。ごめん、何もしてやれなくて、」
絵里「ううん、気にしなくていいよ、私の問題だから。」
そう言って申し訳なさそうな顔をして絵里はこちらを見てくる。
陸「いや、これは俺たちの問題だ。だから…」
そう言って少しタメを作ったあと、こう告げた。
陸「俺達が付き合ってるのを、皆に公表しないか?」
絵里「・・・え?」
陸「これ以上俺に合わせて絵里には辛い思いをして欲しくない。だったらいっそ言ってしまえばいいんじゃないかな?」
すると彼女は少し悩んだあと、こちらに問いかけた。
絵里「ホントに、いいの?後戻りできないよ?」
陸「あぁ、わかってるよ。」
絵里「わかった。…ありがと」
そう呟いた彼女の目には少しの涙が流れていた。
絵里「ごめん!今日は帰るね!!」
そう言って彼女は店を出ていった。
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