狂乱の森と呼ばれる森の主は魔王の娘だった。

病んでる砂糖

二十一『魔物の行進』

『あの…なんか西側の魔物が暴れて町を襲いに来そうなんだって霧さんが言ってたんだけど…』

空中に立つ少女は少しオドオドしながら喋った。少女は少し汚れたローブを着ており、フードを深く被っていたので表情は見えなかったが。しかしそのフードの中から銀髪が少し覗いていた。

(あの森の魔物で見たやつ全員銀髪なんだよな…)

銀髪は更紗もこの少女もあの新留家に使える銀という青年も森から人間の街に働きに出て来ている魔物は知る限り銀髪だ。全員に聞けば主に貰った魔力だという。
魔物で銀髪相当の魔力を持つ者が一匹いれば小さな街ひとつは簡単に滅びる。
そんな魔物がかなりの数住んでいるとされる狂乱の森がこの街にあってこの街が滅びてないのが奇跡なのだ。
そこまで雅は考えて改めて王の愚かさに気づいた。 
そこの精霊にも森を焼き払う計画は聞かれているし、森の主なるものががいたらこの王都は一瞬で滅びるのではなかろうか。
もちろん王はこの事に気付いていないだろう。気づいていたら焼き払うなんて愚かなことは言わないはずだ。

『暴れてる…?』

精霊という少女は訝しげに聞き返す。

『今、玲於さんが追っているって。』

『んじゃあ、すぐ行こう。』

そう気楽に精霊は言って消えた。報告に来たらしい謎の少女も消えていた。

(ん?)

いや、ちょっと待て。
雅は今重要なことに気づく。あの森の魔物がこちらに向かっているとさっきの少女は言っていた。
上手くとめられなければ町どころじゃなくて王都まで魔物は来るだろう。

(そうなれば王都がほろびる可能性が…)

雅はちょっと考えればわかることにやっと今気付いたのだが、気付いた時にはもう王の間を出てしまった後だった。

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