外国人と私

あん

Ep.43

ーミンジュンsideー
あいつに取られるのが嫌で来たけどこんな思いするなら来なきゃよかった。
ほんと危なっかしくてそばにいないと不安になる。
『ねぇ、頼むから俺にしてよ』
我慢出来なくてつい口にしてしまった。
目の前の杏は困惑した表情を見せる。
今日1日、先輩に笑顔を向けて話してる姿に腹が立って仕方がなかった。
先輩にじゃんけんで負けて杏を取られて気が気じゃなかった。
『ごめん、俺帰るから先輩のとこ戻って』
自信がなくてすぐにこうやってなかったことにしようとする。
『待って』
歩き出した俺の腕を取る杏。
『私はミンジュンといる方が楽しいっていうか楽っていうか…その、なんか分かんないけど』
『分かんないならそういうこと言うなよ』
まだ俺の腕を握っている杏の手を離し、俺は歩き出す。
『じゃあなんでミンジュンはそんなこと言うの?誰にでもそんなこと言ってるの?それともまた私のことからかってるの?』
俺の後ろをついてくる。
『いい加減気づけよあほ』
いきなり止まって振り返った俺にぶつかってきたのをそのまま受け止めて抱きしめる。
『決まってんだろ、お前が好きなんだよ』
勢いに任せて言えたけど今きっと俺の顔は赤い。
『えっ?!』
『声でかい』
ほんとオーバーリアクションすぎる。
周りにいる人からの視線が痛い。
『ミンジュン顔赤いよ?大丈夫?』
心配そうな顔して言うけどふざけてんのかこいつは。
『うるさい、さっさと行くぞ』
俺が歩き出すと慌てて追いかけてくる。
やばいこれからどうしよう。
『ちょっとどこ行くの?そっち子供が遊ぶとこ』
どこ行くとか考えている余裕がなかったから杏に言われて立ち止まる。
『あー、もう』
恥ずかしさで頭が混乱しておかしくなりそう。
『どうしたの?』
『どうしたのじゃないだろ、人が告白したのに何もなしかよ』
『あ、ごめん』
謝られるとフラれた気分になる。
『いいよ、気にすんな』
柄に似合わず、笑顔を向ける。今日楽しんでそれで終わりでいい。
『よし、あれ行くぞ』
何か言いたげな杏に構わず、俺は先に歩き出す。
もっと男らしく言えたらいいのに。

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