外国人と私

あん

Ep.40

「すごいね、ほんとに韓国語で話してるんだ」
こんなに暑いのになんで優馬先輩はそんな涼しそうな顔をしてるの?
「杏ちゃんと遊べるのは嬉しいけどこんな強敵がいるとはね」
お兄ちゃんはミンジュンがいることを伝え忘れたらしい。
『なんて言ってんだよこいつ』
『先輩なんだからこいつとか言わない』
優馬先輩とは対照的にすでに汗をかいて眉間にしわを寄せるミンジュン。
「みんな、これ!」
笑満が指差した先は波のプール。
去年もここきてこれやって溺れかけて笑満とお兄ちゃんに笑われながら支えられてたなぁ。
「あ、お姉さん。入るときはそれ脱いでね」
プールの係員のお兄さんにそう言われ
「私、見てますね」
脱ぐのが嫌でそばで見てようと思った。
「杏ちゃん、せっかく来たんだから楽しもうよ」
優馬先輩に腕を引かれる。
「もう!早くしてよ!」
笑満にパーカーのチャックを下げられ、パーカーを取り上げられる。
「そんなに恥ずかしがらなくてもすごく似合ってるよ」
優馬先輩はそう言って見てくるけど恥ずかしいから見ないでほしい。
水中にいたほうが見えなくてましな気がして笑満のあとを追いかけて水の中に入る。
『お前足届くのかよ』
『あんなちっちゃい子もいるんだから平気に決まってます』
馬鹿にしてきたミンジュンに向かって小学生くらいの女の子を指差して言う。
徐々に高くなっていく波に必死でついて行く。けど、泳げない私にはそろそろ限界で。
溺れそうな私の後ろに回り、さりげなく支えてくれるミンジュン。
何も言わないでこういうことするから優馬先輩とは違った優しさがみえる。
たまに触れるたくましいミンジュンの体。さっきから心臓がうるさい。
「杏ちゃん大丈夫?」
隣にいる優馬先輩は笑いながら私の手を握る。
今日一日こんな感じだと思うと一気に寿命が縮まりそう。

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く