外国人と私

あん

Ep.30

ージョングクsideー
『だからごめんて。見ようとしたわけじゃないんだって』
俺のTシャツとズボンを着ている杏はソファの端にちょこんと座ってさっきから怒ってる。それにしてもブカブカすぎなんだけど。
『うるさい』
『ほら、濡れてるから』
俺からタオルを受け取り、髪の毛を拭く。
『髪の毛乾かしたら帰る』
『この大雨の中?』
杏が風呂に入っている間に雨が降り出して遠くの方で雷の音も聞こえる。
『私、雷とか怖くないから』
さっきからびくびくしてるくせによく言うよ。
ちょっといたずらしてやろう。
俺はソファから立ち上がり、リビングの電気を消した。
『わっ、なに!停電?!ちょっとミンジュンどこ?!』
まだ若干外は明るいから真っ暗になったわけじゃないのに慌てすぎ。
『あれ、つかない』
ボタンを押しても電気がつかない。
本当に停電したみたい。
『ねぇ、ミンジュンってば〜』
『なに?』
今にも泣き出しそうな声で俺を呼ぶ杏の隣に座る。
『いや、来ないで』
急に冷静な声でそう言われた。
『なんなんだよ』
『なんでもない』
『怖いんだろ?』
『違うし』
『嘘つけ』
『嘘じゃない』
『かわいくねーな』
いつもそう言えば本気で怒るくせに今日はだんまり。
『素直になったらどうですか?』
『いいからドライヤー貸して』
『停電だから使えないよ?』
まただんまりする。さっきよりも大きな音で雷が落ちる。
『もうむり...』
小さい声で呟く杏。
薄暗いけど泣いてるのが分かる。
『泣くほど怖いのかよ』
杏の頬を伝う涙を拭くとその腕を引かれ、抱きしめられる。
『ごめん、ちょっとだけ』
最初からそうすればいいのに。
雷が落ちる度にびくびくするからこっちまで驚く。
音が小さくなってきて大人しくなった杏。
『もう平気?』
体を離して顔を覗くと杏はスヤスヤ眠っていた。
男と家で2人きりなのにいくらなんでも無防備すぎない?ってか俺のTシャツがブカブカすぎて胸見えてるし。
このまま理性を保てるか分からないから俺は杏をそっと離してソファに横にならせる。

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