外国人と私

あん

Ep.19

「お兄ちゃん?どういうこと?」
テスト初日が終わり、家に帰るとすでにお兄ちゃんがいてその隣にはミンジュンが座っている。
「じゃあ俺笑満ん家行くから、じゃあな!」
リビングから立ち去ろうとするお兄ちゃんをの腕を掴み、引き止める。
「ちょっと待った!」
「待たない、素直になれ。以上!」
そんなニコニコしてしてるのは笑満の家に今から行くからなのか、この状況を楽しんでるのか、どっちなの。
「無理無理無理!大体家で二人きりって何かあったらどうするの?!」
「ミンジュンはそんなことするやつだとは思わないけど」
お兄ちゃんはどうしてそんなにミンジュンのことを信用してるのさ。
「お願い、待ってよ~」
「はいはい、そんな可愛くねだっても今の俺は笑満優先だから。仲直りしろよ?」
お兄ちゃんに頭をなでられて大人しくなる自分が嫌になる。昔からこれに弱い。
ガチャっとお兄ちゃんが勢いよく玄関の扉を閉める。
『そんなに俺と二人きりになるのが嫌かよ』
いつの間にか後ろにはミンジュンがいて、反射的にビクッと体が反応する。
『なんでいるの?』
『なんで避けるんだよ』
私の質問には答えてくれない感じね。
『ねぇ』
腕を掴まれて振り向かされる。
こういうのに慣れてない私はそれだけでドキドキしてきちゃう。
『やめてよ、近い』
『答えてくれたら離れる』
どんどん私との距離を詰めてくるミンジュンから離れようとするけど後ろはもう壁で。
『なんか気まずかっただけ!』
『なんで気まずいの?』
『なんとなく!』
『それじゃ分かんない』
『分かんなくて平気!』
わざと明るく言ってみてもミンジュンは騙されてくれない。
『ふざけてないでちゃんと答えて』
真剣な顔でまっすぐ見つめてくる。
『そんなに見ないで、緊張するから』
素直に言えるか分かんないけどもういいかなって。
『私、ミンジュンと違って異性慣れみたいなのしてないからそういう風にされると勘違いしちゃう』
『別に俺もしてないけど?』
『してるよ、そういうこと平気で出来るんだもん』
『誰にでもしてるわけじゃない』
そう言って私から少し離れる。
『ミンジュンとはずっと友達でいたい』
付き合って別れて出会う前みたいに知らない顔してすれ違うとかやだから。
『俺はやだ』
そんなこと言われてたら泣きそうになる。
『なんで泣くんだよ、情緒不安定かよ』
『誰のせいだと思ってんのよ』
『俺』
呆れて返す言葉が見つからない。
『特別だからな』
『え?』
私の手を優しく引いて、自分の方に抱き寄せるミンジュン。
『離してよ』
『やだ』
私がミンジュンの胸を押すと、さっきよりも強い力で抱きしめてくる。
ほんとに勘違いしちゃうじゃん、私のこと好きでいてくれてるのかなって。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品