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外国人と私

あん

Ep.17

ーミンジュンsideー
両親は厳しかったから亡くしてもそんなに悲しいって思わなかった。
日本は好きだけど日本語ほんとにちょっとしか話せないし、聞き取れるのも単語だけだから全然楽しくない。
親戚のおばさんとおじさんは優しくて好きだけどお互い言葉がわからないからなかなか仲良くなれない。
『おい、聞いてんのかよ』
さっきから無視してくるこいつを除いてまともに会話できる人がいない。
いや、こいつともまともな会話したことないけど。
『なに?』
いつもこんな調子だけどなんか機嫌悪そう。
『どうかした?』
『別に』
冷たくそう言って携帯をいじり出す。
こいつのヒョンか笑満さんに聞きたいけど言葉通じないし。
『おい』
俺が杏の方に体を向けると俺の携帯が鳴る。
『話しかけないで』
連絡先交換して初めてのトークがこれってないだろ。
『なんで』
俺はトークは返さず、口で聞く。
『なんでも』
変わらず杏はトークで答える。
『意味わかんないんだけど』
聞こえてるはずなのにトークすらも返してくれなくなった。
俺は耐えきれず杏に近づく。
俺の方を見ようとせずそっぽを向いてる杏の腕をつかむ。
『やっ、ちょっと』
抵抗してくるけど構わず腕を引っ張っていつも勉強をしてる空き教室に入る。
『なに?』
『こっちが聞きたい』
『痛いから離して』
『あ、悪い』
離すと少し赤くなった右手首。
『で、なんなのその今日の態度』
『別になんだっていいでしょ』
『良くないから聞いてる』
杏はため息をつく。
『昨日一緒に帰ったの見られてた。誰だかわかんないけど写真まで撮られて、拡散されて』
そんなのみんなが騒いでたから俺も知ってる。でもだからって避ける必要はないだろ。
『もういいでしょ』
『良くない』
『これも見られたらなんて言われるか分かんない、いつもミンジュンといるとそわそわする。ここで勉強してる時だって、図書室で係の仕事してる時だって一緒に帰る時だって』
俯きながら早口でそう言う。
『分かってるよ、私しか言葉通じる人いないから私に話しかけてきて、私に頼ってくるの』
声が震えているのが分かる。
『泣くなよ』
俺が杏の顔を覗くように見ると杏は振り向いて背を向ける。
『泣いてないし、なんでこんなことで泣かなきゃならないの』
『そう思わせてたならごめん。でも俺はお前と居たくているの。お前もヒョンも笑満さんも俺の中では一緒にいて楽しい人なんだよ』
精一杯素直になってそう言ったのに杏は何も言わない。
『こっち向いて』
「こんなのおかしいよ」
『なに?』
いきなり日本語でしゃべられても分かんないんだけど。
『なんでもない、教室戻ろう!』
さっきまで泣いていたのが嘘みたいに笑って振り向く。
『なんなんだよほんと』
先に教室を出ていく杏に聞こえないようため息をつく。


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