白夏

冬川

0話【デアイ】

彼女に会ったのは小学生の頃。
ある暑い夏の日だ。僕は今にも溶けそうなアイスを手に持ち夢中になって食べていた。

そんな時だ。

道を一つ挟んだ自分とは反対方向の歩道に彼女は立ち竦(すく)んでいた。
髪はきめ細やかで美しい白、
体は触れれば壊れしまうのではないかという程に細く、
容姿端麗な見た目をしていた。 

その今まで見たことないような美しさに
食べていた手から力が抜けるようにアイスを落す

その後、僕は操られるように無意識に彼女の方へと歩いていった。

...その時だ。

彼女の足の力が一瞬にして抜け、崩れ落ちるように倒れた。
車道の真ん中にいた僕は危険を察する間もなく彼女の所へ汗を流しながら一生懸命になって走っていった。

彼女の顔は...青ざめていた。

体は冷たく目は開いてない。

幼いながらこのままでは危険だと悟り、急いで近くの家に入り、その家に居た人に救急車を呼んでもらった。
ものの数分でそれは着き、炎天下の中彼女を病院まで運んでいった...。

僕は今まで起きたことを整理する暇もなくその家の人に救急車を呼んでくれたお礼を言って自分の家へと帰っていった。

普段は30分程かかる道を、僅(わず)か20分程で歩き、家に着いた。

家の中は暑く空気は乾いていた。
自分の部屋へ行き今まで起こったことを整理し始めた。
結果としてはあまり上手くまとまらなかった。
小学生の自分にはあまりにも突然な出来事だっためだと思う。

ただ僕の心に残ったのは「果たして彼女は生きているのだろうか。」「救えたのだろうか。」という恐怖心にも似た心配している気持ちだけだ。
これは『ある出来事』が起きるまで永遠に心の中に残り続けていた...。

そう『ある出来事』が起こるまでは...







「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く