現実で無敵を誇った男は異世界でも無双する

プロテイン

ストーリーが余り進まない話

「それでは、ギルドの正面入口まで参りましょう。もうすぐ迎えの馬車が到着するはずです。」

ロザリアはあの後数分ほどマリーベルの背後で震えていたが、ついさっきようやく出てきて、「それでは、王宮まで参りましょう。ここで皆様がしようと考えていたお話も是非王宮内でお願いします。迎えがもうすぐ到着してしまうので。」とか言いながら出てきたばかりだ。やはり馴れ馴れしくしすぎたためかものすごく距離を置かれているように感じる。

(はぁ…。やっぱり謝った方がいいのかな…。)

躊躇するくらいならさっさと謝ればいいのにと思うかもしれないが、実は昔現実世界で似たようなことがあったのだ。その時の俺は女の子に謝ったのだが、そのことについて後で楸に

「ちゃんと人の気持ちをわかってあげなきゃダメ!」

と、こっぴどく叱られたことがあった。結局どういう意味かわからなかったのだが、あれの二の舞は避けたいというのが正直なところだ。

と、俺が内心酷く葛藤していると、どうやら再びギルド内に戻ってきたらしい。周りが騒がしくなった。だが、どうやら俺達に気づいている者はいないようだ。全員がカウンターのところにいる女性に注目している。彼女は受付嬢に向かって何かを大声で叫んでいるようだ。その状況を見たソフィアが

「すみません。私ちょっと行ってきますね。」

といい、話の仲裁に向かった。しかし、俺達と共にいたことが知られているソフィアが衆目の前に出たことで、ギルド内の全員がこちらに気づいてしまったようだ。ギルド内は一瞬で静寂に包まれる。そんな状況だと、受付嬢に話している女性の声は嫌にハッキリ聞こえた。

「だーかーらー!私はマスターにリントブルムの討伐確認を頼まれたんだってば!早く通してよ!報告しなきゃいけないことがあんのよ!下手したら国が滅ぶわよ!」

カウンターで大声で話している女性は、一瞬で静寂に包まれた異様な状況にも気づいていないようだ。それにしても...

(国が滅ぶとは穏やかじゃないな...)

例え危険を伝えるためでも国家の存亡は軽々しく口に出していい事案ではない。ましてや一般の人が数多くいるこの場所でそんな事を口にすれば、余計な混乱を招く結果となってしまう。

などと俺が勝手に考察をしていると、ようやくソフィアが二人の元に到着したようだ。

「どうかなさいましたか?サーシャ様。」

ソフィアの言葉を聞いて始めて、サーシャと呼ばれた女性は俺達のことに気がついたらしい。驚いた表情でこちらを振り返る。

ここで、彼女の見た目について軽く解説をしよう。一言で言うなら

何歳だ?????

である。冒険者である以上、それなりの年齢ではないかと推測されるが、見た目だけで判断すると、12,3歳と言われても納得してしまいそうだ。髪は金髪をツインテールのようにして束ねている。やはり美しく整った容貌で、無垢な碧眼は透き通るようだ。

「ごめんソフィア!声をかけてくれたところ悪いけど、私向こうの人達と話さなきゃ!ほんっとヤバイの!」

そう言ってサーシャはこちらに駆け寄ってくる。その目からは焦燥と困惑がありありと伝わってくるようだ。それを見たロザリアは、只事ではない。と判断したのだろう。こちらまで駆け寄ってきたサーシャが口を開くより早く

「これから王城に向かいます。話はその道程でお聞かせください。」

と言った。既に若干手遅れ感が否めないが、余計な混乱と心配が伝染しないようという配慮は流石である。しかし、ようやく王城に向かうことが出来そうだ...。まるでラノベの主人公のようにいろいろ一気に起こったなぁ...。

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ギルドの正面から出ると、既に馬車は到着していた。めちゃくちゃデカイ。キャンピングカーか!とツッコミを入れたくなるサイズの箱を馬が引いている。

「なぁ、マリーベルこんなの馬はどうやって引いているんだ?めちゃくちゃ力が強いとか?」

ふと、気になったことをエリーゼを除いて一番近くに居たマリーベルに質問してみる。ちなみに、他の銀雪メンバーは仲良さげにサーシャと話しており、ロザリアは御者の人と何か話しているようだ。

「まさか。こういう馬車は御者が風の魔法の使い手か、風の魔石が埋め込んであるか、そのどちらかですよ。風の魔法を使って車体を浮かせているので、馬にはあまり負担はかからないんです。」

なるほど。つまりこれは現実世界で言うリニアモーターカーに近いものなわけだ。車体が浮いているなら摩擦力はかからない。だから馬が馬車を引くのに必要なのは、馬車そのものの慣性に逆らう力と、空気抵抗に逆らう力。空気抵抗に関しては車体が結構細長いため、心配する必要はないだろう。そう考えると、この馬車、かなりすごいな。魔法があれば、こんな風に日本も発展してたのかもしれないと思うと、感慨深いものがある。しかし、慣性か...。

「なぁ、マリーベル。さっきロザリアは俺のまわりの空気を限りなく薄くできたよな。」

「えぇ、そうらしいですね。私にはわからなかったですけど...。」

「だったらさ、その魔法を使って馬車の周りに真空を作る事とかできないか?それができればさらに燃費が良くなると思うんだが...。」

俺のふとした思いつきを言ってみたが、マリーベルにはうまく伝わらなかったらしい。彼女は小首を傾げている。

「お待たせしました。それでは参りましょう。」

と、そこでロザリアが帰ってきた。そして小首を傾げているマリーベルに気づいたようで、マリーベルに話しかける。

「どうかしたの?」

「いえ、陽翔様の言ったことが私にはよくわかんなくて...。」

「陽翔様が?」

ロザリアがこちらに流し目を送って説明を促して来たので、さっきした説明と全く同じことを説明する。それを聞いたロザリアは軽く目を見開き、

「陽翔様は、外見や性格、強さのみならず 、学にも精通していらっしゃるのですか…?」

と尋ねてきた。

「そんなんじゃないよ。閃きなんて所詮偶然の産物なんだから。それで、どうなんだ?」

俺が苦笑しつつ返すと、ロザリアは深刻そうな顔をして、

「そうですね...。おそらく可能だと思われますが…。いかんせん情報が少なすぎますし、そもそも気体を操るだけの魔法制御ができる人間が少なすぎます。それにもうひとつ。これについてはあまり詳しくお話することは出来ませんが、実は私の魔法では完全な真空状態を作ることが出来ません。貴重な考えですが…実用化は難しいですね...。」

と、答えてくれた。うーむ。やはりそう簡単には行かないか...。

「そうか、わかった。時間取らせて悪かったな。皆、準備が出来たらしいぞ!行こうぜ!」

前半はロザリアに、後半は全員に向けて言うと、

「「「「「おー!」」」」」

と声を揃えて皆で返事をしてくれたのだった。









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お待たせして大変申し訳ない...!学校が...!課題が...!テストが...!


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コメント

  • K.K

    更新求

    0
  • /昊/芭/☪︎

    更新求むぞーd(˙꒳​˙* )

    0
  • ノベルバユーザー241481

    頑張ってくだァさい

    0
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