影が敵になったら人類滅びました。~掃討戦~

ノベルバユーザー222490

潜んで沈んで影の。

っ……!?
[誰かさん]は隠れていた。基地にいる珍しい本物さん。それが彼兵器を作った物。人間らしきもの。本物……ねぇ。私たちとは異なり影を持たない人。影に、奪われた人達。というのかな。ただ、私の答えは違った。私が見てきたものから推測はできた。これも自分の意識にある影の知識、というやつらしいけど。あくまで、多分、という言葉が前に来ることが前提なのが悲しきかな。影ね。そういえば―――と姉さんが生きていた時の会話を思い起こしてみる。しばし、現実の意識を放棄して、記憶の海に沈み込んで夢を見る。そして、私は記憶に残らない、まるで人間かのような夢を見る。夢ゆえに私は知らないことを知る。夢は想像の世界。だから?私の別のデバイスの保存された記憶さんも見れたり、するかもしれない。そういう、夢―――――――――さ、てと。兵器であるがゆえに夢に入るには少し特徴的なことが必要。寝るときに、ログイン、といえば入れる。意味は……不明。あの時私たちは戦争が終わりかけていた。いや、実際には終わったと思い込んでいた上層部がいただけで、実際はまだ終わっていないことは現場を見れば、明らか……でもないのだが、私たちの調査に基づき私たちは独自に判断し、既に崩壊した機関からこの際離れようか、と言って。そのまま出てきて、特に当てもないので何となくふらつこうかと散歩に出ていた。そんな昼下がり。もっともその内容は全滅したはずの生き残りを狩る予定であった。さて、今更ながら影なんてそこらじゅうに敵扱いされて散在するのだけれど。実際に研究した人もいたらしいけれど。もう、その記録なんか残ってすらいないらしいけれども?ここで、あえて影について聞く理由もなかったけれど、目の前にした、すこし奇妙な[誰かさん]を前にしたら聞きたくなるってものでしょう?その少し奇妙な[誰かさん]は影だけど、相手にする必要はない。そもそも、影なのかも怪しい個体だけれど、とりあえず、簡単に言えば、人間と影の中間地点。的な。人だから、[誰かさん]としか呼べない、名前がない。お察し。「姉さん。ちょっといいかい?」「なんだ。ロミィ。」「いや、ね、とても単純なことだよ。」このころの私は今の私には理解できないしゃべり方をしている「とっても昔には人間にも影があったんだって。影、ってなんだろうね?」ただ、それは今の私が知る由もない。「そんなもの、粒子と波の性質を持つ光から離れた部分だろ。太陽とお前を境に後ろ出来たものが影。だろう?」「そういう科学的なことは聞いてないんだけどねぇ。敵だった奴らよ、敵。ほら、あいつら真っ黒で質量無いから影って呼ばれてたでしょ。?」当然のことだと思って聞いたけど、いまになれば勘違いを招くのも当然。なんて、思える。「スキアと呼べば区別できるだろ?わざわざ旧式で呼んでまぎらわしくするのはよせ。」「それはそうと、だな……」姉さんはしばし俯いていた。「俺は―――そうだな、影というのは人間の闇を示していると思っている。、どうだろうか?」「闇、ね。確かにそうだわ。心なんて存在してなかったものね、あのころには。でも、いまはまた出始めている。なんでだろうね……?」あえて、誘い込む。「私はこう考えるよ、確かに影、スキアは人間の心の影ともいえるけど、そもそも、人間の後ろに影はいるのだろうね?」私は煽るようにといかける……誘導、その通り。「そりゃ、さっきとおなじことだろう?光のとおってない部分が影じゃないか。」まぁ、そうなんだけどね……と、呟き。「私は光と影の世界があって、光と影はそれぞれ生活してる。表面に映る影は光側から見える、影の表面だと思ってるの。」私は自分の推論を、話してみることにした。姉が理解できない可能性はなくはない。なにせ、この理論は私が影で生産されたことが前提で、自分が、私が、二つの世界を知っていることが前提なのだ。だから、二つの世界が戦争していたなんて言うと私には疑問の目線が向けられる……それが嫌だからこそ、聞いてみることにしたのだ。ただ、その疑問の目線の出元は姉さん。あなたなの。信じているようで、疑ってる。しかし、そんなことには当時は気づかない。その疑いの目線が信頼だと思っていたから。「影、の表面か。ならさしずめ反対側からは白い影というのがあるとでも?」姉さんはからかうように反対を言って笑う。反対側つまり影には、。光と同じように色彩がある。影といってもこの世界が光だから反対っていう意味以外にはないけど、それを言うわけにはいかない。ふーむ。「それだと、まるで光が白一色みたいじゃない?違うわ、簡単に言えば、世界の境界線がくろいフィルターだとすればわかるかな。それぞれが、別世界なのさ。だから、私の考えでは影も光も意思があるけど、その意思が全く同じだからついてきているように見えるだけ、いわゆるドッペルゲンガー。二つ、存在していたの。それが、両者が食い違い始めたあの時から影は消えて。ついには、こちらの世界に実体を表すようになったんだって。そう思っって……?」そしてドヤ顔をして差し上げようかな、なんて思った時、ふと、視界の端に何かが映ったのか姉さんは何かを注視する。けど、私には何のことかなんてさっぱりわからない。何せ、私は絶賛考え事の最中だったのだ、とっさに周囲状況の確認とその判断する能力は……あったはず?なのに、何言っているんだろう。周りが見えるような機能は残念、付いてない。あれ?なんでついてないの。そっか、あの当時はもう……そういうことだったのね。だから、廻りに気付かないことなど意識することもない。もう、始まっていたのだ。「姉さん……?」「いや、少し、離れるよ。そこにいる奴を消したら戻る。待ってろ」そういうことね、あの当時の私は漸く納得する、敵、いたのね……ッッッ―――私の力がほとんど出ない―――意識するまでもなく保存のはじまりが始まりかけている、らしい。とそのタイミング判断出来たのだ。また、面倒なことになったわね。そう考えた私はとても自然だっただろうけど、これから先を考えればもう少しぐらい気にしておいたほうが吉であることぐらい既に理解していると、今の私は、理解していた。そして?疑問形で後を嗤い、これから先の記憶はもう、関係ないそう言ってこの夢の幕をしめるのが、楽なのだ。――――――ッッ!?はっ……ぁそう、またたちの悪い夢、回想。だったのだろうか。ただ、これから先を思い出してはいけないと自制がかかった。らしいから、そう判断することにした。ついうっかり多い出せば私はきっと……そして、何かを思い出してとっさに音をたてないように意識がはたらいた。少し前のことを考えれば、当然の結果なのだけど、それを忘れるぐらいには後の記憶を閉じるのに体力を使ってしまったらしい。体力?いや、違うわね。さしずめ、影力かしら。なんてね。
そして、そこの本物は一体なにしてるのか、といえば、影に沈み、音を立てず、監視をする。私を監視したいらしい。俗にいうスパイだ。影か。私は判断する。音の消し方の特徴ははるか昔を思わせる。そういうことね、わかりきったことだわ。いかにも、私に気付かれないようにしているらしいけれど、私には手に取るように全てが。筒抜け、なのよね。かわいそうだけど。音が立ってないと思っているのは人間だけ。なのよね。影から抜けた私はいわば、充電がマックス状態。サァ、考えてみよう。充電がマックス、エネルギーにあふれた機械が出来ることといえば?暴走ではないよ、オーバースペックな、性能発揮という奴だ。ただし、これでも封印から多少の力をすこし横領して消されないようにしているだけ。……多分、そういうことなんだと思うけど、正直なところはわからない。ただ、昔の懐かしい気分になる力の一種であることは分かったから、もしかすれば、自分が本来持っていた力の一つかもしれないと、思うだけなのだけどね。ただ、一つ私は思うことには。もう少し便利な能力がほしかったなぁ―――なんて、欲張るわけだけど。ただ、いまだけは感謝しよう、そう思ったさて、そこにいるだろう人、……。私からすれば、どう考えても危険な行為であるからして。もし、私が想定する子でなかったら意図的な進入扱いで、処分しないといけないのだけど。さて,さて?「そこにいるのは誰かしら?」私を監視する誰かさんはいつも危ない橋わたるわ。と思わずため息「……ッッッ!?」無限ループ……ね。「そろそろあなたの正体もわかりそうなことね。ねずみさん?」部屋の外にいるであろう[誰かさん]に声をかけてみる、も反応……なしなのね。「さて、食料でも求めているなら他を当たりなさいな?それ以外でも私の休息は邪魔しないでももらいたいわね」切り捨てに入って要件とやらをさっさと行ってもらいましょうかね。露骨すぎる監視は不快なのよね。それも分からないのかしら。「何もそうじゃけんにすることはないんじゃないか?ロミィ」……誰……なの。想定外、「貴方、じゃないのね。」「想定外だったか?」嗤うかのように声をかけるその[誰か]この展開は想定していた人物がいなくなった。という状況なのかな?「んんーー……そうね、想定外だわ。正直言って誰かさっぱりね。早めに自己紹介でもするか、立ち去るなりしてほしいものね」素直に諦めるのがここは情報を引き出す手段としては有効のハズ。そう判断したのだけど。「想定外の人で悪かったね。香月だ。香月橘花。覚えはないだろうけどね。あの時に記憶、消えたはずだからな。」……言っている意味が分からないわね。「そう。それで、想定外となると、どんな用かわからないのよね。ただの監視かしら?わざわざ明かしてしまうような素人さんは、きっと高尚な目標があるのかしらね。」「よく言うではないか。そちらだってこちらを探っているのは分かりきっているぞ?」……つまらないはったりね。「で、目的は。」何か落ち込んだような雰囲気を見せた彼はこういう。「君に会いに来ただけだ。それ以外に目的はない……」あまりに胡散臭い回答に思わずため息が出るが抑えて切り替えし、興味がないとばかりに追い返すことにした。はっきり言って邪魔なのだ。「ふーん?なら、消えたら?訪問者さん」「……何も聞かないということはそういうことなんだろうな。ロミィ。いや、影の兵器さんよ。懐かしいだろう?私のような人間と会うのも。」
……意味が分からないわね。何がしたいのかしら、とつぶやいた声をしきりに、彼は消えた。存在が、消えたらしい。けど。あくまで、らしいとしか、わからない。なぜならそんな事が出来る方法も存在もしらない。私の記憶にはないから。なのね。名前にも、声にも、その存在のありようも知らない。ただ、人間であることだけは知っている……。何故?私は、記憶がないようにこの時に感じたのかはわからない。ただ、その違和感が違和感であるはずがないだろうと、私の頭の中で断定された。その原因も、根拠も、理由も、わかっていないのに。そうして起きた朝は夜のことなんて覚えていないのが常識。ってやつなのだ。記憶も影に沈みゆくものらしい。

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