とある鋭き針の物語

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竜也の危機?

私は狭っ苦しい場所にいるようだ。それに気づくと同時に、外というのもに関しての記憶が蘇る。


「そっか、ここに竜也を誘導した所から始まったんだったね。」

「やっと思い出したか。
とりあえずここから出よう。この裏路地はカビ臭くて好きになれねえ。」

「そうだね、とっとと出よう。」

彼の提案に従い、私たちは大通りに向かった。



大通りに出ると、大勢の魔物達が集まっており、何らかのことを口々に話していた。気になって盗み聞きしてみると、ぶっ飛んでいった四天王の話題で盛り上がっているようだった。


「あれ?まだこの話題で盛り上がってるの?」

「ああ、針縫には言ってなかったっけ。スペースロアで作り出した空間に流れる時間は、境目界とは別に進んでいるんだよ。あっちでは3週間経ったが、こちらではほぼ経ってないに等しい。」

「へぇ〜。
ところで、境目界って何?」

私がこの質問をした瞬間、彼の動きがピクリと止まった。しかも、見たことないくらいの汗をかいている。


「(しまった、口が滑っちまった。


主、このままでは〔スレイエル〕が我らを殺しにかかりますぞ。そうなればこの〔中央大森林〕は消し炭になってしまうじゃろう。どうにか誤魔化すのじゃ。)」

「えっ!?私、言っちゃいけない事でもいっちゃった?」

彼女は心配そうな表情で、俺に声をかける。もっと堪能したいところだが、そんな事してる場合じゃない。


「ああ…いや、なんでもない。境目界ってのはだな…そう!スペースロアで作り出した空間の事だ。」

「へぇ〜。なんか引っかかるけど…まあいいや。」

助かった〜。今後は口を滑らさないようにしとかないと。俺らじゃあれには勝てねえよ。
予想外のところで大打撃を喰らってしまったが、気をとり直して俺は針縫を連れて、城裏の麓へと向かった。






「…ここって、魔王城の後ろ側だよね…。」

「ああそうだ。ここは魔王からは盲点となり、広いスペースも取れた素晴らしい場所だ!!」

ちなみに、少し位置を変えるだけで針の試し相手にもなりうる魔物達がうじゃうじゃいる。点でも素晴らしい。


「そういえば針縫はやってみたいトレーニングとかあるか?」

「ええもちろん。この翼を動かすトレーニングをしておきたいわ。」

彼女はそう返した。確かにあの翼からは、単体としての力が一切感じられなかった。
もしあれに力が乗り、器用に動かせるようになれば、どんだけの破壊力と汎用性を手にすることやら…。


「…わかった。これからは邪神に挑むまでの準備が整うまで、ここで翼を鍛えつつ特能の探究をする事としよう。」

「了解!具体的には何をしたらいい?」

「そうだな、あの壁とも言える山の斜面を、翼だけでよじ登ってみろ。多分3日もしないうちに慣れるだろうから、登りながらの特能探究にも挑戦してみてくれ。」

「なるほど、結構ハードそうだね。でも面白そうだ。」

飛ぶためのもので崖をよじ登るなんて面白いものを思いつくもんだ。さすが竜也、アイデアを出す能力はピカイチだ。これをすれば、他に類を見せないような力が手に入るに違いない。私は心の底から好奇心が湧き上がるのを感じた。


「あと、このトレーニングに疲れたら、周辺の魔物と手合わせしてみるといい。一応魔王城周辺なんだ。いい具合の魔物が集まってるだろ。」

確かに。
私は「わかった」と、肯定の返事を返すと、早速トレーニングをするために山の付近へと駆けていった。



城裏の麓について

他の場所と違って、開発が一切行われていない土地。多くの上級魔物達が集っている。
運良くここまで来ることができた勇者御一行様がよくレべリングをし、旅を終える地ともなっている。

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