とある鋭き針の物語

(ry

メンタルとマジック

 …あれから3時間が経過した。


「よし、十分回復したぜ。」

「こっちも十分。さ、早く話しなさい。」

「急かしてもどうせ理解しきれねえよ。」

理解しきれなくれも問題ない。答えに近づきさえすればいいのだから。


「じゃあまずはあんたの特能についてだ。」

「特能?能力じゃないの?」

「ああそうだ。正確には特殊技能と呼ばれているがな。」

能力とは違うのなら何が違うのだろうか、私はそれについて尋ねた。すると彼は、戦闘開始時の時の口調で話し始めた。


「それについては儂が話そう。主には理解しきれぬ話じゃったからな。
まず、儂が使っていた烈風刃を覚えとるかの?」

闘いを振り返ってみると、確かにそのな名前の技で足をズタズタにされたのを思い出す。


「ああ、あの魔法のこと?」

「その通りじゃ。ただ、あれ実は魔法ではない。
この世界の生物は、マジックポイントを扱う者とメンタルポイントを扱う者で分かれていることは知っておろう。」

「ええ、まあなんとなく。」

そう言えば格闘施設の狼人が、「マジックポイントを扱える奴は珍しい」、と言っていた。


「儂らも皆メンタルポイント側なのじゃが…
基本的に魔法はマジックポイント側でないと扱えぬのじゃ。」

「じゃあ、あれはどうやったの?」

「まあ正当な質問じゃの。理解できるかどうかはわからんが、教えておこう。」

そこから、竜による解説が始まった。


「この世界とは別の世界に、メンタルポイントの法則を見出すことに成功した奴らがおった。
彼らによると、あるパターンに沿って印を紡ぎ、巻いていくことにより、それは成り立つとのこと。名前は〔メンタルマジック〕らしい。
MP消費量の公式も一応説明しておくが、


MP消費=n(2n+1)(n+1)/3

n=印を巻いた回数



となっているらしい。
これを見ても分からんとは思うが、とにかくコストが重い。儂は20巻きが限界じゃった。
まあ儂の昔語りは置いとくにして、特殊技能とはこの印に使える、自分だけの文字のことを指すらしい。」



「…要するに、私の針はそれを介したものだってこと?」

「そうなるな。物分かりの良さは俺以上か。」

いつの間にか彼の口調が、主と呼ばれている奴のものに戻っている。


「まあ何が言いたいかというと、この方式を理解すれば、あんたはもっと強くなれるって訳だ。」

「強くなれる!?どうすればいいの?」

私は思わず食いつく。


「今日から1か月間、俺が…いや、時空竜があんたに方式を叩き込んでいく。


無事理解して扱えるようになれば、邪神など相手にならんくらい強くなるじゃろうな。」

本当かよ、そんなにすごいもんなのか?
…と言いたいところだけど、この針が強さを物語っている。なら、やってやろうじゃないの。


「…ところで、この特能の核心については?」

「どうせ今言っても誰も理解できん。
方式を理解できるまではお預けじゃな。」

「なっ!?
まあいいわ、すぐにでも理解してやるんだから!!」


「威勢は問題なさそうだな。」 





「そういえば自己紹介がまだだったな。」

「名前なら知ってるけど?」

「まあまあそう堅くなるなって。
俺の名は竜也りゅうや。よろしくな!


私の名は生命竜せいめいりゅう。怪我したら私に頼ってね。


儂の名は竜也たつや、真名は時空竜じくうりゅう。難しい話になるとは思うが、頑張るんじゃぞ!

あと、話はできないけどあんたの鼓動をいじったのが鼓動竜こどうりゅうの恩方。そして、あんたの足を喰いちぎったのが捕喰竜ほしょくりゅうだ。」

「随分沢山いるのね…
私はシャープレイン-ミズル。よろしく頼むよ!」

流れに沿って私も自己紹介をする。が、


「長い、覚えにくい、呼びにくい!!」

なんか反論された。


「そこで案なんだが、その名前を捨てて別の言いやすい名前に変えないか。」

「…と、言いますと?」

雨上 針縫あまがみ しほ、なんてどうだ?」

なんか勝手に名前までつけられた。


「…まあいっか。これなら親との決別にもなるし…」

この言葉により、私はシャープレイン 改め 
雨上針縫となった。
そしてここから、この方式について理解する、という名の闘いが始まったのだった。


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