境目の物語
港の危機!?
ちょうど昼下がり、道ゆく集団はようやく目的地にたどり着いた。
ラグたちの視界に映り込むのは、空と同じように地平の先まで続く海。日の光に照らされて煌めく真白い砂浜。浜には水着で海水浴を楽しむ人たちがいる。
森の内人であるラグたちや、火山と溶岩だけを見て育ったリティにとっても。ほとんど全員にとって、海は初めての光景だった。
「海ってこんなに広いのね……」
「地図だとこの先に双翼大陸があるはずなのに、俺の観察眼でも先まで見通せないってどんだけ距離あるんだ……」
「本で読んだことはありましたが、川と違って浜から離れるだけですぐ底が真っ暗になりますね」
手前の砂丘から見下ろしながら、リティにラグ、ヘキサも言う。さらにその横では、タイがヒゲを震わせてたまげる。
「どういうこった、ここの風には、上の人間どもが落としてたあの調味料の匂いが乗ってやがる」
「調味料っておいおい……タイ君、それは塩ってやつだ。海ってのは海底の鉱物が溶け込んでるから、塩の成分がたっぷりなのさ。舐めるとしょっぱいんだぜ」
さらに「アグリネイトでは海水から塩を大量生産しているんだ」と。ジャズは鼻を高くして次々と蘊蓄を披露する。
おお! とみんなの声。そこで我道さんが手をパンッと鳴らす。
『ははは、アルファの海に心奪われているところ申し訳ないが、観光はまた後だ。先にあちらで乗船手続きを済ませようか』
我道さんが指差すのは、さっきまで護衛してきた商人たちが向かっている場所。おそらく砂漠外から持ち込まれた石材で建てられた、一目でわかる人工物であり、様々な施設が見受けられる。
その中でも海岸に隣接して造られた、石垣の港。何隻もの帆船が泊まっている港の建物で、乗船手続きは行われているのである。
「わかった。よし行こう、俺たち境目トラベラーズ〜!」
新しいものをみて上機嫌のラグたちは、鼻歌交じりに歩いていった。
だがしかし、建物に乗り込んですぐあと。
「本当にすまないが、今は船を出せないんだ」
「「「ええーーっ!?!?!?」」」
頭上で両手を合わせて申し訳なさそうに頭を下げる男と、悲鳴にも近い叫び声で驚く一行。港では手続きをするどころか、船の一隻すら運航していなかったのだ。
頭を下げて謝る彼は、縮こまっているせいで小さくも見える。だが特別なバッジが付けられた服装や帽子、筋骨隆々な肉体から、船長であることがうかがえる。
周りの乗組員たちも、俯いてどんよりとしていた。とても冗談言える状況ではないようである。
自分たちが落胆していられる状況じゃない。ラグたちが察したちょうどその時、老人が早足で駆け込んでくる。
「話はこちらで聞かせてもらったよ、トールシップ船長」
シノビ装束をきめたディルだった。名前を呼ばれた船長は、縋るようにディルを見上げた。
「ああディルさん、そうなんだよ。海域には嵐を呼ぶ怪物が出て、新手の海賊団もうろついている。航海の守護獣さまもちょうど代替わりで確認が取れていないし、俺たちはどうすればいいんだ!?」
「ひとまず落ち着いて。いったん深呼吸深呼吸」
錯乱状態の彼に深呼吸をさせて、ゆっくりと落ち着きを取り戻させる。幾分か顔色がよくなった船長に、ディルは丁寧に質問する。
「よし。まず聞きたいんだけれども、君が言う怪物は、鮫だったりしないかい?」
「あなたの言う鮫ってのは、外海の嵐鮫の事か? いやいや、そんなもんじゃない。長さも測れないくらいでかい水竜がいたんだよ」
リティが「水竜?」と耳をピクリとさせる。ただ話を進めるふたりが、その反応に気づくことはない。
「そうかい水竜……うん、最悪の事態ではないようだね。もし嵐鮫ならどうしようかと思ったよ」
「ディルさんまさか、あの水竜がマシな部類だって言うのか!?」
「ほっほっほ、内海アルファと比べて、外海ガンマの魔物は本当に危険で怖いんだよ。鮫型怪異の主である嵐鮫は特にね」
怪談でもするように怪しく笑うディルは、くるりと回って、ラグの方に向きを変えた。
「こういう時は、冒険者に依頼を出すのが一番。そう、彼らのような腕の立つ冒険者にね」
バシッと、ラグたちを指差す。
目を丸くしたのは船長だ。彼はまだラグたちのことを知らない。
だがまだこの建物に残って傍聴していた商人たちは、互いに顔を見合わせて、それから口々に言う。
「ああ、それがいい」
「彼ら境目トラベラーズ……だったか? 彼らは地下街の問題解決に一役買ってくれて、大量の魔物からの護衛もこなしてみせたよ」
「遭遇した成体の砂獣を打ち倒した上に、私たちは目立った損害もここまでたどり着くことができた」
「これはつい先程まで実際にこの目で見てきた事実だ」
「私は彼らに感謝してるし、評価もする。今回の問題も任せるべきだと思うよ」
彼らの口から自然に出てきたそれは、この2週間ほどで積み重ねてきた名声であり、実力を示すに足るものだった。
商人がそう評価するなら間違いないのだろうと、船長は強く頷く。彼は席を立ち、一行の中心であるラグに頭を下げた。
「どうか君たちに、この港の危機を救っていただきたい。怪物と海賊団の退治依頼を、引き受けてくれないだろうか」
もちろん、ラグには仲間たちとの話し合いすら必要ない。勇気に満ちた顔で、一歩前に踏み出した。
「ああ、任せてくれ。俺たち、境目トラベラーズにな!」
「なんて心強い……ありがとう!」
ラグは右手を差し出して、船長は涙して握り返した。
境目トラベラーズは港に着いて早速新たな依頼を引き受けたのであった。
ところが次である。
「それはそうと君たち」
「ん?」
握り合った手を離したあたりで、ふと、船長が疑問を投げかける。
「まさかその服装で臨む気じゃないだろうな?」
「え、これじゃダメなの?」
「ダメも何も、そんな服装ではいざって時泳げないだろう」
船長の言葉を聞いたその時、ラグはポカンと口を開けた。
「およ……ぐ? 泳ぐってあれだよな、魚とかがヒレ使って水中進むやつ」
「おいおい、それも間違ってはないんだけど、海の上じゃ人だって泳げないと溺れてしまうんだよ。これくらい当然だろう」
「そ、そうなのか。ははは……」
苦笑いしながら、ラグは錆びた機械のようにギクシャクとした挙動で振り向いて、仲間たちに尋ねる。
「な、なあ、みんなは泳げるのか?」
「ええと……我々6人隊は軽く訓練をした程度なのでまあ、浅瀬くらいならいけると思いますが」
「私は水鏡と張り合うべく、水場での戦闘なら心得ている」
「おいらは犬掻きなら得意だぜ」
「私は大得意だよ! この尻尾のおかげで、スイスイ泳げちゃうから」
ただひとり自信満々で尻尾を振るリティだが、他はまちまちである。特に森の内人か否かの差が大きい。
ヘキサもハヤテマルも、海で泳げるとは一言も言わなかった。そして何よりも、ラグはそもそも水泳というものを知らなかった。
直接聞き出さなくても、海の男は容易に察することができる。だから顔を青くして、ディルの方に目を遣る。
彼もまた、少しの間放心する。のちに納得したように、手をポンとたたく。
「ああそういえば、中央大森林には海はおろか、泳ぐ必要があるほどの川や湖すらなかったね」
「なかったね、じゃないでしょうディルさん。どうするんですか、戦場は船上でもその外は嵐なんですよ」
「そうだねえ、どうしたものか……」
ふたりは腕を組んで考える。その時彼らの肩をつついて、提案するのは我道さんだ。
『泳げないなら、泳げるように練習すればいい。どうせ航海の守護獣とやらの確認も、気軽に片付くようなものではないだろう』
「それは……確かにそうですけど、予定通りなら3日、間に合うんですか?」
『ははは、問題ない。ヘキサ師匠たちならすぐに適応できるだろう。ラグなんて特に、進歩の達人だ。3日もあれば十分まともなレベルに仕上がるさ。なあ、ジャズくん』
「ん? ああ、泳ぎを教えてやれって事だな。6人隊の方は俺が担当しよう」
「なら私の方からも、アビス君に協力を仰いでおくよ」
『それは助かる。そうと決まれば……』
ざっくりまとめ上げた我道さんは、すぐにラグたちに呼びかける。
『よしみんな、まずは売店で水着やらを取り揃えようか。これから海で猛特訓だ』
「「「はーい!」」」
彼らは声を揃えて返事して、ぞろぞろと建物を出て行った。見送る船長は頭を抱えて、ディルはまた笑っていた。
境目トラベラーズの前に最初に待ち受けていたのは、泳ぐ力を得るための猛特訓だった。
(ryトピック〜南東アルファ港について〜
中央大森林の上部をアーチ状に囲っている海、内海アルファ(あるいはアルファ海洋)。その中で最も安全であると言われているのが南東の海域であり、そこに建造されたのがこの港である。
ここ自体は砂漠続きの海岸であり、海産物以外は豊かであるとは言えない。それなのに港が造られたのは、北の双翼大陸と南の高原や山里、そして西の雪原を安全なルートで繋ぐためである。
というのも、双翼大陸とその他ではドーナツ状にしか陸路がない。最も近くまで陸路が使える西の雪原は、環境そのものが砂漠よりよっぽど危険。東に至っては奈落と呼ばれる底なしの大穴が開いており、陸すらない。
そして唯一すべてと接続がある外界ガンマ(あるいはガンマ大海洋)は、海岸沿いですら航海できないほど危険な魔物が生息する魔境となっている。結果として残った、各地域をつなぐ最も安全な道は、砂漠の陸路と内海アルファの航路を経由した道だったのである。
ラグたちの視界に映り込むのは、空と同じように地平の先まで続く海。日の光に照らされて煌めく真白い砂浜。浜には水着で海水浴を楽しむ人たちがいる。
森の内人であるラグたちや、火山と溶岩だけを見て育ったリティにとっても。ほとんど全員にとって、海は初めての光景だった。
「海ってこんなに広いのね……」
「地図だとこの先に双翼大陸があるはずなのに、俺の観察眼でも先まで見通せないってどんだけ距離あるんだ……」
「本で読んだことはありましたが、川と違って浜から離れるだけですぐ底が真っ暗になりますね」
手前の砂丘から見下ろしながら、リティにラグ、ヘキサも言う。さらにその横では、タイがヒゲを震わせてたまげる。
「どういうこった、ここの風には、上の人間どもが落としてたあの調味料の匂いが乗ってやがる」
「調味料っておいおい……タイ君、それは塩ってやつだ。海ってのは海底の鉱物が溶け込んでるから、塩の成分がたっぷりなのさ。舐めるとしょっぱいんだぜ」
さらに「アグリネイトでは海水から塩を大量生産しているんだ」と。ジャズは鼻を高くして次々と蘊蓄を披露する。
おお! とみんなの声。そこで我道さんが手をパンッと鳴らす。
『ははは、アルファの海に心奪われているところ申し訳ないが、観光はまた後だ。先にあちらで乗船手続きを済ませようか』
我道さんが指差すのは、さっきまで護衛してきた商人たちが向かっている場所。おそらく砂漠外から持ち込まれた石材で建てられた、一目でわかる人工物であり、様々な施設が見受けられる。
その中でも海岸に隣接して造られた、石垣の港。何隻もの帆船が泊まっている港の建物で、乗船手続きは行われているのである。
「わかった。よし行こう、俺たち境目トラベラーズ〜!」
新しいものをみて上機嫌のラグたちは、鼻歌交じりに歩いていった。
だがしかし、建物に乗り込んですぐあと。
「本当にすまないが、今は船を出せないんだ」
「「「ええーーっ!?!?!?」」」
頭上で両手を合わせて申し訳なさそうに頭を下げる男と、悲鳴にも近い叫び声で驚く一行。港では手続きをするどころか、船の一隻すら運航していなかったのだ。
頭を下げて謝る彼は、縮こまっているせいで小さくも見える。だが特別なバッジが付けられた服装や帽子、筋骨隆々な肉体から、船長であることがうかがえる。
周りの乗組員たちも、俯いてどんよりとしていた。とても冗談言える状況ではないようである。
自分たちが落胆していられる状況じゃない。ラグたちが察したちょうどその時、老人が早足で駆け込んでくる。
「話はこちらで聞かせてもらったよ、トールシップ船長」
シノビ装束をきめたディルだった。名前を呼ばれた船長は、縋るようにディルを見上げた。
「ああディルさん、そうなんだよ。海域には嵐を呼ぶ怪物が出て、新手の海賊団もうろついている。航海の守護獣さまもちょうど代替わりで確認が取れていないし、俺たちはどうすればいいんだ!?」
「ひとまず落ち着いて。いったん深呼吸深呼吸」
錯乱状態の彼に深呼吸をさせて、ゆっくりと落ち着きを取り戻させる。幾分か顔色がよくなった船長に、ディルは丁寧に質問する。
「よし。まず聞きたいんだけれども、君が言う怪物は、鮫だったりしないかい?」
「あなたの言う鮫ってのは、外海の嵐鮫の事か? いやいや、そんなもんじゃない。長さも測れないくらいでかい水竜がいたんだよ」
リティが「水竜?」と耳をピクリとさせる。ただ話を進めるふたりが、その反応に気づくことはない。
「そうかい水竜……うん、最悪の事態ではないようだね。もし嵐鮫ならどうしようかと思ったよ」
「ディルさんまさか、あの水竜がマシな部類だって言うのか!?」
「ほっほっほ、内海アルファと比べて、外海ガンマの魔物は本当に危険で怖いんだよ。鮫型怪異の主である嵐鮫は特にね」
怪談でもするように怪しく笑うディルは、くるりと回って、ラグの方に向きを変えた。
「こういう時は、冒険者に依頼を出すのが一番。そう、彼らのような腕の立つ冒険者にね」
バシッと、ラグたちを指差す。
目を丸くしたのは船長だ。彼はまだラグたちのことを知らない。
だがまだこの建物に残って傍聴していた商人たちは、互いに顔を見合わせて、それから口々に言う。
「ああ、それがいい」
「彼ら境目トラベラーズ……だったか? 彼らは地下街の問題解決に一役買ってくれて、大量の魔物からの護衛もこなしてみせたよ」
「遭遇した成体の砂獣を打ち倒した上に、私たちは目立った損害もここまでたどり着くことができた」
「これはつい先程まで実際にこの目で見てきた事実だ」
「私は彼らに感謝してるし、評価もする。今回の問題も任せるべきだと思うよ」
彼らの口から自然に出てきたそれは、この2週間ほどで積み重ねてきた名声であり、実力を示すに足るものだった。
商人がそう評価するなら間違いないのだろうと、船長は強く頷く。彼は席を立ち、一行の中心であるラグに頭を下げた。
「どうか君たちに、この港の危機を救っていただきたい。怪物と海賊団の退治依頼を、引き受けてくれないだろうか」
もちろん、ラグには仲間たちとの話し合いすら必要ない。勇気に満ちた顔で、一歩前に踏み出した。
「ああ、任せてくれ。俺たち、境目トラベラーズにな!」
「なんて心強い……ありがとう!」
ラグは右手を差し出して、船長は涙して握り返した。
境目トラベラーズは港に着いて早速新たな依頼を引き受けたのであった。
ところが次である。
「それはそうと君たち」
「ん?」
握り合った手を離したあたりで、ふと、船長が疑問を投げかける。
「まさかその服装で臨む気じゃないだろうな?」
「え、これじゃダメなの?」
「ダメも何も、そんな服装ではいざって時泳げないだろう」
船長の言葉を聞いたその時、ラグはポカンと口を開けた。
「およ……ぐ? 泳ぐってあれだよな、魚とかがヒレ使って水中進むやつ」
「おいおい、それも間違ってはないんだけど、海の上じゃ人だって泳げないと溺れてしまうんだよ。これくらい当然だろう」
「そ、そうなのか。ははは……」
苦笑いしながら、ラグは錆びた機械のようにギクシャクとした挙動で振り向いて、仲間たちに尋ねる。
「な、なあ、みんなは泳げるのか?」
「ええと……我々6人隊は軽く訓練をした程度なのでまあ、浅瀬くらいならいけると思いますが」
「私は水鏡と張り合うべく、水場での戦闘なら心得ている」
「おいらは犬掻きなら得意だぜ」
「私は大得意だよ! この尻尾のおかげで、スイスイ泳げちゃうから」
ただひとり自信満々で尻尾を振るリティだが、他はまちまちである。特に森の内人か否かの差が大きい。
ヘキサもハヤテマルも、海で泳げるとは一言も言わなかった。そして何よりも、ラグはそもそも水泳というものを知らなかった。
直接聞き出さなくても、海の男は容易に察することができる。だから顔を青くして、ディルの方に目を遣る。
彼もまた、少しの間放心する。のちに納得したように、手をポンとたたく。
「ああそういえば、中央大森林には海はおろか、泳ぐ必要があるほどの川や湖すらなかったね」
「なかったね、じゃないでしょうディルさん。どうするんですか、戦場は船上でもその外は嵐なんですよ」
「そうだねえ、どうしたものか……」
ふたりは腕を組んで考える。その時彼らの肩をつついて、提案するのは我道さんだ。
『泳げないなら、泳げるように練習すればいい。どうせ航海の守護獣とやらの確認も、気軽に片付くようなものではないだろう』
「それは……確かにそうですけど、予定通りなら3日、間に合うんですか?」
『ははは、問題ない。ヘキサ師匠たちならすぐに適応できるだろう。ラグなんて特に、進歩の達人だ。3日もあれば十分まともなレベルに仕上がるさ。なあ、ジャズくん』
「ん? ああ、泳ぎを教えてやれって事だな。6人隊の方は俺が担当しよう」
「なら私の方からも、アビス君に協力を仰いでおくよ」
『それは助かる。そうと決まれば……』
ざっくりまとめ上げた我道さんは、すぐにラグたちに呼びかける。
『よしみんな、まずは売店で水着やらを取り揃えようか。これから海で猛特訓だ』
「「「はーい!」」」
彼らは声を揃えて返事して、ぞろぞろと建物を出て行った。見送る船長は頭を抱えて、ディルはまた笑っていた。
境目トラベラーズの前に最初に待ち受けていたのは、泳ぐ力を得るための猛特訓だった。
(ryトピック〜南東アルファ港について〜
中央大森林の上部をアーチ状に囲っている海、内海アルファ(あるいはアルファ海洋)。その中で最も安全であると言われているのが南東の海域であり、そこに建造されたのがこの港である。
ここ自体は砂漠続きの海岸であり、海産物以外は豊かであるとは言えない。それなのに港が造られたのは、北の双翼大陸と南の高原や山里、そして西の雪原を安全なルートで繋ぐためである。
というのも、双翼大陸とその他ではドーナツ状にしか陸路がない。最も近くまで陸路が使える西の雪原は、環境そのものが砂漠よりよっぽど危険。東に至っては奈落と呼ばれる底なしの大穴が開いており、陸すらない。
そして唯一すべてと接続がある外界ガンマ(あるいはガンマ大海洋)は、海岸沿いですら航海できないほど危険な魔物が生息する魔境となっている。結果として残った、各地域をつなぐ最も安全な道は、砂漠の陸路と内海アルファの航路を経由した道だったのである。
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