境目の物語
食われる者
「なんで眠ってるんだろう?」
なぜか単独で覚醒している意識が、己に疑問を投げかける。
頭は働いている。考える事もできる。なのに、身体が眠りから覚めない。体という感覚が、意識から切り離されているような感じだ。
『そんなおんしにプレゼント♡封印四叉戟!』
「……?」
割り込むように響く、醜悪な声。そして直後、異常なまでの苦痛とともに、俺の意識は水面に顔を出した。
「がああぁぁぁーーーーっ!!!」
体と意識がリンクすると同時に、苦悶の叫び声が上がった。
視界が点滅するほどの痛み。それは胸部を水平に貫く、四叉の穂先……だと思う。
目を見開く。感覚を基にした予想通り、魔法のフォークが肩と胸部を、それぞれ二本の穂先で貫いていた。
しかし奇妙な事に、体には傷も出血もなかった。視界に映るそれは確かに貫いていたが、すり抜けるようなイメージで、物理的には接触していなかった。
『どうや、気持ちええやろ?』
「っ!?」
あの声を聞き、ようやく意識が周りに向く。でっぷりと太った魔人は、覗き込むようにして俺を見ていた。
「お前、何をした!」
俺は反抗的な目を向けながら、強気で迫る。だが奴に動じる様子はなく、むしろ誇らしげな表情をもって告げた。
『そんなん、見りゃわかるやろ。フォークで串刺しにしたんや。周りをよう見てみい』
「周りだって?……っ!?」
言われた通りに、俺は周りを見た。そして見てしまった、気づいてしまった。
そこ……正確にはこの壁面には、俺と同じようにフォークに捕われた竜人がいた。しかし観察眼を働かせば嫌でもわかる、それは1人2人の話ではない。
「ぅぅ……」
「ぁぁ……」
「助け……て…………」
漏れ出るような無数の呻き声。壁面には老若男女問わず、数百という数の竜人が捕われていた。
見える範囲の者は、共通して絶望の顔を浮かべる。暴れる者もいない、ただ、脱力して精気のない呻きを漏らす。
この空間そのものが、ひどく淀んでいた。麓からでもわかる淀んだ空気、その元はここなのだと、理解せざるを得なかった。
「ふざけるな! こんなもので人を自由を奪って、何が楽しいんだ!!!」
俺は両足をバタつかせて抵抗し、こんなことをする魔人に訴える。すると奴は、満面の笑みを浮かべてこう言った。
『何が楽しいやって? そんなん決まっとるやろ。人間の絶望に染まった、幸せそうな顔を見るためや!』
「幸せそう……って、これが? この光景が?」
言っている意味がわからなかった。
今の俺は、信じられないものを見たような顔をしているのだろう。
その表情を見て、魔人は嬉しそうに笑った。善意に満ちているような、誇るような笑みだった。
『お嬢ちゃんも気に入ってくれたんやな。ならもっと、いい物を見せたるよ』
「いい……物?」
『そうや。いっぱい幸せになれるような、最っ高の物や』
思考が追いつかない。何が言いたいのか、その行動の予想もつかない。そんな不安に満ちた俺を見て、魔人はニコニコしていた。
そして次の瞬間、その右手がフォークを掴んだ。
「……ぁあ」
俺ではない、誰か。竜人族の青年が突き刺ささった状態のそれを、岩壁から引き抜く。
「いやだ……嫌だ!」
彼は精気を取り戻したように、全身をジタバタさせてもがいた。
手は宙を掻き、足は空を蹴り、尻尾は陸に上げられた魚ように荒れ狂う。
「食べないでくれ!!!」
口でも訴える。
だが無駄だった。その穂先は、魔人の口元に運ばれる。
「まさか……っ!? やめろ!!!」
俺は叫ぶ。瞬間、魔人の目と目が合う。その嬉々とした表情が、俺の目に入り込んだ。
『よおく見とけや、いただきまーす!』
言い終えると同時に、大口が開く。その奥にフォークが押し込まれ、青年の悲鳴と共に、
「嫌だぁぁぁ!!!!!」
バクッッッ!!! バキッ! バキッ!!
噛み砕いた。何度も、何度も……
悲鳴は口の奥に消え、こぼれた両足が無造作に落ちる。そして魔人の口からは彼の血が噴き出し、俺たち捕われた者にも降りかかった。
「うそ……だろ?」
血のしぶきを浴びながらも、目の前で行われたことが信じられない俺がいた。
人を食った? それも、生きたまま?怪異や魔物ですら、先に息の根をとめるのに……
『あーその幸せそうな表情、最高や。メシがどんどん進むわ!』
この魔人は竜人の悲鳴を気にも留めず、むしろさらにフォークを壁面から引き抜いていく。
「助けて! 死ぬのはいやぁ!!!」
名も知らぬ竜人がまたひとり、死に物狂いでもがく。だが救いもなく、口の中に運ばれる。
そしてその命を、無残に食い散らされた。
響き渡る悲鳴はとても悲痛で、聞いていて頭を締め付けられるような頭痛がする。
なのに何もできない自分が悔しい。助けるべきはずの者の死を、指を咥えて見ることしかできない自分が、どうしようもなく憎い。
『あーうまい。やっぱワイも元々は人だったけえ、人を食うのが一番うまいなあ』
「元々は人……だって?」
幸福感に緩んだ口から溢れた、これ以上になく重要な言葉。反応せずにはいられない。
『当たり前や。ワイはあれのために……ん〜?あれってなんやったかな。まあええ、なんかの目的のために、こうして転生したんや』
「(目的を覚えてすらいないのか!?)
ならなんでこんな酷いことをするんだ! お前に人間の気持ちはないのか!!」
『それがあるけえ、今まさにみんなを幸せにしておるやないか。おかわりは……これやな。』
俺の必死な声も、もはや届いてはいなかった。元人間だと告げた魔人は、その前世を疑うほど自然に、人食いを再開した。
理解できない。俺には理解できない。
自分が異質な存在であることは、なんとなくわかっている。
砂漠に来て最初にこなした依頼で、動物虐待なんて非難された時も、ズレは感じていた。
だが目の前のそれは、そんなレベルではない。こんな俺でもわかるくらいに、ひどく歪んでいる。
転生者の部類でいえば、レッカやあの勇者も同じだ。でも彼らはこうではなかった。
レッカは俺を殺そうとした。だけどそれは多分依頼のせい。さっきの戦いは間違いなく、里のために命を賭けていた。それは人間性以外の何ものでもない。
あの勇者は目的上、対立することがほとんどだった。それでもあれは、勇者という目的のために魔王打倒の旅をしていた。魔王絶対殺すソードなんて握らなければ、純粋な人間であったはずだ。
なのに、こいつだけはその人間性がない。罪悪感もなく、前世の姿でもあったはずの人を殺せる。それどころか人の絶望した状態を、相反する幸せな状態と同一視している。
『うまいうまい。こりゃあ酒も欲しいとこや。あ、でもこの体じゃあ、バケツ一杯でもちっとも満足できんか。ぶぁっはっはっは!!!』
魔人は高笑いしながら戯言を言い、そしてどんどんフォークを口に運ぶ。
そのたびに咀嚼音が、骨を砕く音が、そして悲痛の叫びが、鳴り響く。
「儂らのこの恨みは……後の者が必ず……!」
『んなもんおらんわい。食欲が失せるやろが』
年老いた竜人のことばも雑にあしらい、容赦なく噛み砕いた。それを最後に食事の手が止まり、代わりにその血に塗れた顔を俺たちに向けた。
『おんしらを食うのはまた今度や。フォークで魔法や能力も封じとるけど、逃げ出したらそん時は…………』
わざとらしく言葉を引き延ばした後に、じゅるりと舌舐めずりをする。
捕食者の脅しと言えるそれは、被食者の俺たちに背筋が凍るような恐怖を与えるものだった。誰ひとり、歯向かおうとする者はいなかった。
『わかればええんや。そいじゃ、また今晩会おうや』
まるで友達に対して言っているような口調で言葉を吐くと、魔人はどこかへ歩いて行った。そしてある境目を越えると、その姿は完全に見えなくなった。
どこに行ったのかはわからない。だがこの場を立ち去ってくれたこと、それだけが心に安らぎを与えた。
捕食を逃れた大勢の竜人たちは、息の詰まりから解放されたように荒い呼吸をしていた。それに乗っかるように俺も「すーはーすーはー」と呼吸をして、バクバク鳴る心臓を落ち着かせる。
数えた中でも、15人は食い殺された。時間帯からして間食だと推測すると、今晩の犠牲者はさらに増える。
「くそっ、こんなこと……!」
悔しさに、靴の踵で壁面を叩く。その力も、明らかに弱くなっていた。このフォークで封じているのは、能力だけではないのかもしれない。
この状況は打開しなくちゃならない。でも俺ひとりじゃ何もできない。俺と同じく囚われている竜人にも手を借りたい。だけど、手を貸してくれそうな人は見る限りじゃ………
ちょうどそう考えを巡らせた時だった。
「ねえきみ、わたしの声、聞こえる?」
この状況下では聞くことすらできないと思っていた、強い精気のこもった少女の声。それがどんな幸運なのか、すぐ真上から聞こえてきた。
(ryトピック〜封印魔法について〜
これは効果対象者の持っている、特殊な能力や魔法の力を阻害する魔法である。身体能力までは奪わないものの、能力由来の力にも効果を発揮する。
効果こそ非常に強力なこの魔法だが、習得難易度は最上級魔法に並び、極めなければ望むような効力には至らない。
全国民が魔法に適性を持ち、その履修が義務付けられているという魔導科学の国ミーティア。その国民ですら、封印魔法を習得できた者は百といない。さらに運用可能なほど極めた者に絞れば、国王と近衛長だけと言われている。
無論、ただの迷信なので、鵜呑みにすべきではないと思うが。
なぜか単独で覚醒している意識が、己に疑問を投げかける。
頭は働いている。考える事もできる。なのに、身体が眠りから覚めない。体という感覚が、意識から切り離されているような感じだ。
『そんなおんしにプレゼント♡封印四叉戟!』
「……?」
割り込むように響く、醜悪な声。そして直後、異常なまでの苦痛とともに、俺の意識は水面に顔を出した。
「がああぁぁぁーーーーっ!!!」
体と意識がリンクすると同時に、苦悶の叫び声が上がった。
視界が点滅するほどの痛み。それは胸部を水平に貫く、四叉の穂先……だと思う。
目を見開く。感覚を基にした予想通り、魔法のフォークが肩と胸部を、それぞれ二本の穂先で貫いていた。
しかし奇妙な事に、体には傷も出血もなかった。視界に映るそれは確かに貫いていたが、すり抜けるようなイメージで、物理的には接触していなかった。
『どうや、気持ちええやろ?』
「っ!?」
あの声を聞き、ようやく意識が周りに向く。でっぷりと太った魔人は、覗き込むようにして俺を見ていた。
「お前、何をした!」
俺は反抗的な目を向けながら、強気で迫る。だが奴に動じる様子はなく、むしろ誇らしげな表情をもって告げた。
『そんなん、見りゃわかるやろ。フォークで串刺しにしたんや。周りをよう見てみい』
「周りだって?……っ!?」
言われた通りに、俺は周りを見た。そして見てしまった、気づいてしまった。
そこ……正確にはこの壁面には、俺と同じようにフォークに捕われた竜人がいた。しかし観察眼を働かせば嫌でもわかる、それは1人2人の話ではない。
「ぅぅ……」
「ぁぁ……」
「助け……て…………」
漏れ出るような無数の呻き声。壁面には老若男女問わず、数百という数の竜人が捕われていた。
見える範囲の者は、共通して絶望の顔を浮かべる。暴れる者もいない、ただ、脱力して精気のない呻きを漏らす。
この空間そのものが、ひどく淀んでいた。麓からでもわかる淀んだ空気、その元はここなのだと、理解せざるを得なかった。
「ふざけるな! こんなもので人を自由を奪って、何が楽しいんだ!!!」
俺は両足をバタつかせて抵抗し、こんなことをする魔人に訴える。すると奴は、満面の笑みを浮かべてこう言った。
『何が楽しいやって? そんなん決まっとるやろ。人間の絶望に染まった、幸せそうな顔を見るためや!』
「幸せそう……って、これが? この光景が?」
言っている意味がわからなかった。
今の俺は、信じられないものを見たような顔をしているのだろう。
その表情を見て、魔人は嬉しそうに笑った。善意に満ちているような、誇るような笑みだった。
『お嬢ちゃんも気に入ってくれたんやな。ならもっと、いい物を見せたるよ』
「いい……物?」
『そうや。いっぱい幸せになれるような、最っ高の物や』
思考が追いつかない。何が言いたいのか、その行動の予想もつかない。そんな不安に満ちた俺を見て、魔人はニコニコしていた。
そして次の瞬間、その右手がフォークを掴んだ。
「……ぁあ」
俺ではない、誰か。竜人族の青年が突き刺ささった状態のそれを、岩壁から引き抜く。
「いやだ……嫌だ!」
彼は精気を取り戻したように、全身をジタバタさせてもがいた。
手は宙を掻き、足は空を蹴り、尻尾は陸に上げられた魚ように荒れ狂う。
「食べないでくれ!!!」
口でも訴える。
だが無駄だった。その穂先は、魔人の口元に運ばれる。
「まさか……っ!? やめろ!!!」
俺は叫ぶ。瞬間、魔人の目と目が合う。その嬉々とした表情が、俺の目に入り込んだ。
『よおく見とけや、いただきまーす!』
言い終えると同時に、大口が開く。その奥にフォークが押し込まれ、青年の悲鳴と共に、
「嫌だぁぁぁ!!!!!」
バクッッッ!!! バキッ! バキッ!!
噛み砕いた。何度も、何度も……
悲鳴は口の奥に消え、こぼれた両足が無造作に落ちる。そして魔人の口からは彼の血が噴き出し、俺たち捕われた者にも降りかかった。
「うそ……だろ?」
血のしぶきを浴びながらも、目の前で行われたことが信じられない俺がいた。
人を食った? それも、生きたまま?怪異や魔物ですら、先に息の根をとめるのに……
『あーその幸せそうな表情、最高や。メシがどんどん進むわ!』
この魔人は竜人の悲鳴を気にも留めず、むしろさらにフォークを壁面から引き抜いていく。
「助けて! 死ぬのはいやぁ!!!」
名も知らぬ竜人がまたひとり、死に物狂いでもがく。だが救いもなく、口の中に運ばれる。
そしてその命を、無残に食い散らされた。
響き渡る悲鳴はとても悲痛で、聞いていて頭を締め付けられるような頭痛がする。
なのに何もできない自分が悔しい。助けるべきはずの者の死を、指を咥えて見ることしかできない自分が、どうしようもなく憎い。
『あーうまい。やっぱワイも元々は人だったけえ、人を食うのが一番うまいなあ』
「元々は人……だって?」
幸福感に緩んだ口から溢れた、これ以上になく重要な言葉。反応せずにはいられない。
『当たり前や。ワイはあれのために……ん〜?あれってなんやったかな。まあええ、なんかの目的のために、こうして転生したんや』
「(目的を覚えてすらいないのか!?)
ならなんでこんな酷いことをするんだ! お前に人間の気持ちはないのか!!」
『それがあるけえ、今まさにみんなを幸せにしておるやないか。おかわりは……これやな。』
俺の必死な声も、もはや届いてはいなかった。元人間だと告げた魔人は、その前世を疑うほど自然に、人食いを再開した。
理解できない。俺には理解できない。
自分が異質な存在であることは、なんとなくわかっている。
砂漠に来て最初にこなした依頼で、動物虐待なんて非難された時も、ズレは感じていた。
だが目の前のそれは、そんなレベルではない。こんな俺でもわかるくらいに、ひどく歪んでいる。
転生者の部類でいえば、レッカやあの勇者も同じだ。でも彼らはこうではなかった。
レッカは俺を殺そうとした。だけどそれは多分依頼のせい。さっきの戦いは間違いなく、里のために命を賭けていた。それは人間性以外の何ものでもない。
あの勇者は目的上、対立することがほとんどだった。それでもあれは、勇者という目的のために魔王打倒の旅をしていた。魔王絶対殺すソードなんて握らなければ、純粋な人間であったはずだ。
なのに、こいつだけはその人間性がない。罪悪感もなく、前世の姿でもあったはずの人を殺せる。それどころか人の絶望した状態を、相反する幸せな状態と同一視している。
『うまいうまい。こりゃあ酒も欲しいとこや。あ、でもこの体じゃあ、バケツ一杯でもちっとも満足できんか。ぶぁっはっはっは!!!』
魔人は高笑いしながら戯言を言い、そしてどんどんフォークを口に運ぶ。
そのたびに咀嚼音が、骨を砕く音が、そして悲痛の叫びが、鳴り響く。
「儂らのこの恨みは……後の者が必ず……!」
『んなもんおらんわい。食欲が失せるやろが』
年老いた竜人のことばも雑にあしらい、容赦なく噛み砕いた。それを最後に食事の手が止まり、代わりにその血に塗れた顔を俺たちに向けた。
『おんしらを食うのはまた今度や。フォークで魔法や能力も封じとるけど、逃げ出したらそん時は…………』
わざとらしく言葉を引き延ばした後に、じゅるりと舌舐めずりをする。
捕食者の脅しと言えるそれは、被食者の俺たちに背筋が凍るような恐怖を与えるものだった。誰ひとり、歯向かおうとする者はいなかった。
『わかればええんや。そいじゃ、また今晩会おうや』
まるで友達に対して言っているような口調で言葉を吐くと、魔人はどこかへ歩いて行った。そしてある境目を越えると、その姿は完全に見えなくなった。
どこに行ったのかはわからない。だがこの場を立ち去ってくれたこと、それだけが心に安らぎを与えた。
捕食を逃れた大勢の竜人たちは、息の詰まりから解放されたように荒い呼吸をしていた。それに乗っかるように俺も「すーはーすーはー」と呼吸をして、バクバク鳴る心臓を落ち着かせる。
数えた中でも、15人は食い殺された。時間帯からして間食だと推測すると、今晩の犠牲者はさらに増える。
「くそっ、こんなこと……!」
悔しさに、靴の踵で壁面を叩く。その力も、明らかに弱くなっていた。このフォークで封じているのは、能力だけではないのかもしれない。
この状況は打開しなくちゃならない。でも俺ひとりじゃ何もできない。俺と同じく囚われている竜人にも手を借りたい。だけど、手を貸してくれそうな人は見る限りじゃ………
ちょうどそう考えを巡らせた時だった。
「ねえきみ、わたしの声、聞こえる?」
この状況下では聞くことすらできないと思っていた、強い精気のこもった少女の声。それがどんな幸運なのか、すぐ真上から聞こえてきた。
(ryトピック〜封印魔法について〜
これは効果対象者の持っている、特殊な能力や魔法の力を阻害する魔法である。身体能力までは奪わないものの、能力由来の力にも効果を発揮する。
効果こそ非常に強力なこの魔法だが、習得難易度は最上級魔法に並び、極めなければ望むような効力には至らない。
全国民が魔法に適性を持ち、その履修が義務付けられているという魔導科学の国ミーティア。その国民ですら、封印魔法を習得できた者は百といない。さらに運用可能なほど極めた者に絞れば、国王と近衛長だけと言われている。
無論、ただの迷信なので、鵜呑みにすべきではないと思うが。
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