境目の物語
初依頼
俺は店を出るとすぐにギルドの方に戻り、会長室に入った。
「ただいま!」
「おかえり、ラグ。
なかなかの武具を買ってきたようだな」
部屋に入るとすぐに、彼が出迎えてくれる。よく見ると、彼の右手に一枚の紙が握られている。
俺がそれに気づくのを見計らってか、彼はその紙を俺に差し出した。
「ほれ、お前の初依頼だ。受け取れ」
俺は手渡された紙を受け取り、内容を確認した。
「ええと…
内容は【巨大なトカゲ?の捕獲】
推奨は【Lv.23以上】
目的地は【番人の湿地】
報酬額は…【3,000.c】!?」
トカゲを捕獲するだけでこんだけ稼げるものなのか?というか、色々除かれた俺の8年分の稼ぎよりも多いのだが…
俺がそんな事を思っていると、彼が口を開いた。
「依頼人はその地域間の生態系の調査中、そいつに邪魔された挙句、調査対象のほとんどを食われちまったらしい。これは安定した環境を作るための必要経費なのだろう。
初依頼が遠出になるのはあまりよろしくないが、引き受けてもらえるか?」
「もちろん。この推奨レベルならかなり楽しめそうだしな!」
断る理由もない俺は、その依頼を快く引き受けた。
「そうと決まれば仲間集めだ。
……といっても、もう適役はいるだろうがな」
「……だな!
じゃあ行ってくるぜ!」
「ああ。また会う時はトカゲをここまで持ち帰ってきた時だな。健闘を祈る!」
俺はグリッチと約束を交わすと、彼らに会うために集会エリアへと向かった。
集会エリアに着くと、やけに静かな空間が広がっていることに気づく。人がいつもの2割もいない。それに、いつもはいるはずの彼らの姿が見当たらない。
「レンさーん、いるなら返事して下さーい!」
俺は試しにそう呼びかけてみた。すると突然、このエリアのステージの中心にスポットライトが当てられた。
「助けを呼ばれりゃなるべく答える!」
「採取に討伐なんでもお任せ」
「3人揃って本領発揮!」
「常連!」
「常森」
「最後に常盤!」
「俺たち合わせて【常連トリオ】!!」
ババーン!!
かなりノリノリな感じで彼らは現れた。
「ヒュー!!流石は常連トリオ!ノリが良いね〜」
それに続くようにギルドの常連冒険者たちが、歓声を上げながら集会エリアに流れ込んでくる。
俺も地味〜に混ざりつつ、彼らの前に出た。
「よう、ラグ坊!冒険者の仲間入りおめでとう!」
「ありがとう、レンさん!」
早速レンさんから祝いの言葉をもらったので、俺も感謝の意を返す。
因みにレンさんは【コランダム級】の冒険者で、このギルドで一番のベテラン冒険者である。
「必需品はこちらで準備しておいたので、いつでも出発できますよ、ラグ」
そう言って捕獲用具を収納したカバンを背負って前に出たのは常森さん。左に【魔導合金製鎖鎌】、右に【蟷螂騎士の大剣】を持っているのが特徴的である。
「さ、流石ですね、ツネさん。準備が早い……」
この人の特徴は何といっても先読みが上手である事だ。しかも、能力によるものではないらしい。
ちなみに、虫の観察のために単独で行動する事もあるからか、2人よりも下の階級である【サニディン級】の冒険者である。
「じゃあ早速出発しましょ!」
【紅触媒の槍杖】を片手に、元気な声をあげたのは常盤さん。
【トパーズ級】の冒険者であり、このギルドでは数少ない魔法使いである。また、ギルドで1番の豊満な胸の持ち主でもある。
「だな、トッキー。ツネちゃんやラグ坊も大丈夫か?」
「いつでも行けますよ、レンさん」
「早く闘いたくて仕方がないぜ!」
「…良さそうだな。
そんじゃあみんな、【番人の湿地】へ出発だ!」
「おおー!!!」
こうして俺たち4人は、かなりのテンションでギルドを出て、目的地へ歩み始めたのだった。
(ryトピック〜【マーサナル•モニターズ】について〜
またの名を【大蜥蜴傭兵団】。〔グリッチ•モニター〕により設立された、この世界区分でも名高いギルドである。
唯一【爬虫類の捕獲(という名の保護)】の依頼を専門的に取り扱っている。もちろん一般的な依頼(素材の収集や護衛、外敵の駆逐など)も十分に取り扱っている。
【爬虫類の捕獲】の依頼はあまり金にならなそうにも見えるが、【蛇やオオトカゲ種】に悩まされる人もいたり、それらを欲しがる人が買ってくれる(その場合、利益の一部は依頼達成者に入る)ため、それなりに稼げるらしい。
「ただいま!」
「おかえり、ラグ。
なかなかの武具を買ってきたようだな」
部屋に入るとすぐに、彼が出迎えてくれる。よく見ると、彼の右手に一枚の紙が握られている。
俺がそれに気づくのを見計らってか、彼はその紙を俺に差し出した。
「ほれ、お前の初依頼だ。受け取れ」
俺は手渡された紙を受け取り、内容を確認した。
「ええと…
内容は【巨大なトカゲ?の捕獲】
推奨は【Lv.23以上】
目的地は【番人の湿地】
報酬額は…【3,000.c】!?」
トカゲを捕獲するだけでこんだけ稼げるものなのか?というか、色々除かれた俺の8年分の稼ぎよりも多いのだが…
俺がそんな事を思っていると、彼が口を開いた。
「依頼人はその地域間の生態系の調査中、そいつに邪魔された挙句、調査対象のほとんどを食われちまったらしい。これは安定した環境を作るための必要経費なのだろう。
初依頼が遠出になるのはあまりよろしくないが、引き受けてもらえるか?」
「もちろん。この推奨レベルならかなり楽しめそうだしな!」
断る理由もない俺は、その依頼を快く引き受けた。
「そうと決まれば仲間集めだ。
……といっても、もう適役はいるだろうがな」
「……だな!
じゃあ行ってくるぜ!」
「ああ。また会う時はトカゲをここまで持ち帰ってきた時だな。健闘を祈る!」
俺はグリッチと約束を交わすと、彼らに会うために集会エリアへと向かった。
集会エリアに着くと、やけに静かな空間が広がっていることに気づく。人がいつもの2割もいない。それに、いつもはいるはずの彼らの姿が見当たらない。
「レンさーん、いるなら返事して下さーい!」
俺は試しにそう呼びかけてみた。すると突然、このエリアのステージの中心にスポットライトが当てられた。
「助けを呼ばれりゃなるべく答える!」
「採取に討伐なんでもお任せ」
「3人揃って本領発揮!」
「常連!」
「常森」
「最後に常盤!」
「俺たち合わせて【常連トリオ】!!」
ババーン!!
かなりノリノリな感じで彼らは現れた。
「ヒュー!!流石は常連トリオ!ノリが良いね〜」
それに続くようにギルドの常連冒険者たちが、歓声を上げながら集会エリアに流れ込んでくる。
俺も地味〜に混ざりつつ、彼らの前に出た。
「よう、ラグ坊!冒険者の仲間入りおめでとう!」
「ありがとう、レンさん!」
早速レンさんから祝いの言葉をもらったので、俺も感謝の意を返す。
因みにレンさんは【コランダム級】の冒険者で、このギルドで一番のベテラン冒険者である。
「必需品はこちらで準備しておいたので、いつでも出発できますよ、ラグ」
そう言って捕獲用具を収納したカバンを背負って前に出たのは常森さん。左に【魔導合金製鎖鎌】、右に【蟷螂騎士の大剣】を持っているのが特徴的である。
「さ、流石ですね、ツネさん。準備が早い……」
この人の特徴は何といっても先読みが上手である事だ。しかも、能力によるものではないらしい。
ちなみに、虫の観察のために単独で行動する事もあるからか、2人よりも下の階級である【サニディン級】の冒険者である。
「じゃあ早速出発しましょ!」
【紅触媒の槍杖】を片手に、元気な声をあげたのは常盤さん。
【トパーズ級】の冒険者であり、このギルドでは数少ない魔法使いである。また、ギルドで1番の豊満な胸の持ち主でもある。
「だな、トッキー。ツネちゃんやラグ坊も大丈夫か?」
「いつでも行けますよ、レンさん」
「早く闘いたくて仕方がないぜ!」
「…良さそうだな。
そんじゃあみんな、【番人の湿地】へ出発だ!」
「おおー!!!」
こうして俺たち4人は、かなりのテンションでギルドを出て、目的地へ歩み始めたのだった。
(ryトピック〜【マーサナル•モニターズ】について〜
またの名を【大蜥蜴傭兵団】。〔グリッチ•モニター〕により設立された、この世界区分でも名高いギルドである。
唯一【爬虫類の捕獲(という名の保護)】の依頼を専門的に取り扱っている。もちろん一般的な依頼(素材の収集や護衛、外敵の駆逐など)も十分に取り扱っている。
【爬虫類の捕獲】の依頼はあまり金にならなそうにも見えるが、【蛇やオオトカゲ種】に悩まされる人もいたり、それらを欲しがる人が買ってくれる(その場合、利益の一部は依頼達成者に入る)ため、それなりに稼げるらしい。
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