境目の物語
ギルドカード
ようやく俺も12になった。この歳になれば冒険者として外に出る事を認めると、グリッチは言っていた。
その時が待ちきれず、俺は日をまたいだあたりの時間帯にグリッチの部屋へと向かった。
俺はドアをノックする。
「……ん?ラグか。早すぎないか?」
眠そうな彼の声が聞こえてくる。
そんなもの関係ないとばかりに俺はドアを開け、書類に埋もれた彼の前に立った。
「今日で12だ。さあ、俺を冒険者にしろ!」
「ああ分かっている。ちょっと待っとれ。
確かここに……」
俺が要件を言うと、彼は棚を漁り始める。
「……あったあった。ほれ!」
探し物を見つけたのか、彼はこちらに何かを差し出した。日が明けていないため暗くて見づらいが、それは石のような何かだった。
「まずはこのコハクに手を置いてくれ」
「(石とは違ってたが)了解!
……こうでいいのか?」
俺はそれの上に手を置いた。すると、暗やみにあるそれが淡い光を発し始めた。
しかしほんの数秒後にそれは光を失い、もとのコハクとなってしまった。
あまりにも何も起きないため、心配になった俺はわけを尋ねようと思ったが、その必要はないらしい。
ちょうど横にあった機械が動き始め、一枚のカードが発行された。それに続くように複数の書類が発行される。
彼は卓上の電気をつけると、その書類をまとめ始める。それらを少しまとめると、発行されたカードを手に取った。
「ほれ、ラグのギルドカードだ。受け取りな」
彼はそう言いながらそれを俺に手渡してきた。
「おおー!!」
俺はそれに触れた瞬間に気づく。これ、かなりいいさわり心地だ!少し硬めなこの感じがくせになりそう!
それに、どこか懐かしい感じがする……
「ん?随分と気にってくれたようだな。
ではそいつの見かたを説明する。
表面にはギルドカードのデザインと簡易的なプロフィールが載っている。また、右上には階級を表す鉱石が装飾されている。今のラグなら【タルク級】だな」
タルク……それは、モース硬度の基準にされている鉱石である。要するに最下級を表す。
「まぁ当たり前か。ここから上げていくものだからな」
「前向きだな。では裏面の説明に移る。ここには簡易的なステータスと所持金が載っているのだが…
実際に見てもらった方がいいな」
「そうだな!ええと……」
俺はギルドカードをひっくり返し、裏面を見る。
【名前】ラグレス•モニターズ
種族:【他世界種(不明)】Lv.12
能力:概念系【慣れ/進歩 上手】Lv.3
流派:【親衛長】Lv.MAX
フィジカルランク:Lv.6
耐久力:【E】
精神力:【E-】
筋力 :【E】
機動力:【E-】
持久力:【E+】
思考力:【E-】
0.c
「……何だこれは!?」
「どうかしたか?」
俺は彼に声をかける。ここまで驚いている彼を見た事なんて一度もない。
「おっと、すまないラグ。とりあえず説明に入るか。種族については省いてもいいよな。ラグなら理解できるだろう」
「ああもちろん。不明ってとこには納得いかないけど……」
そりゃそうだろう。自分の正体に関する手がかりを得らえると思った途端にこれなんだから。
「では次だ。ここには所有能力について記載されている。ラグの場合は【慣れ/進歩 上手】だな」
「これが俺の能力か。詳しい内容は?」
「それは分からない。ここには文字しか表示されないからな」
「ちぇっ」
俺は舌打ちをする。まぁ文字通りの内容だろうが……
「次が問題なんだが……今一度聞くのだが、ラグはゴブリンに育てられてる前の記憶はないんだよな」
「ああその通りだ。むしろ知りたいぐらいだ!」
言い忘れていたが、俺はゴブリンに育てられる前の〔暮らしに関する記憶〕が一切ない。もちろんゴブリンの子供という訳ではない。
気になるのは、〔暮らしに関する記憶〕以外はある、という点だ。それ故か物事の理解も異常だと言われるほどに早いらしい。
「……そうか。
ここに記載しれているのは、この世界では〔流派〕と呼ばれる、戦いにも大きく響く要素なのだが……ここに【親衛長】ってのがあるだろう」
彼はカードを指差しながら言う。
「ああこれか。なんかカッコイイ響きだな!」
「それを習得するには【奴隷】と【奉仕者】を順に習得していく必要があるのだ」
「へえー……って、はあ!?」
俺はその意味を少し遅れて理解してしまった。つまり俺は誰かに従属してたって事か!?ありえない…
「……これは置いといた方が良さそうだな。
次のフィジカルランクについては簡単に説明してしまうぞ。
【耐久力】はその名の通り。高いほどタフなだけじゃなく、体に無理をさせる事もできるようになる。
【精神力】は(メンタルorマジック)ポイントを表す。低下すれば理性に影響を及ぼすから注意が必要だ。
【筋力】もその名の通り。高いほど攻撃に力が乗る上、重い物も持てるようになる。
【機動力】はスピードの事だ。真に強い者はここを特に見ているらしい。
【持久力】はいわば疲れにくさだ。回復の恩恵を受ける時、ここをがっつり削られるから注意しとけよ。
【思考力】は判断力の高さも表す。魔法が使える場合は詠唱時間に影響が出るからそこにも注目だ。
ざっとこんなものかな。あと数値化されていないのは【裏のステータス】が絡んだ瞬間に法則が乱れるからだそうだ。理解できたか?」
「ああバッチリだ。
最後の【c】はお金の事だろ」
「流石だ。ギルドで8年働いただけはあるな。
よし、これで説明終了!まあ今はなんとなく理解できてればいい。後々、嫌でも分かるようになるから」
これで説明は終わりらしい。まあだいたいは理解できたから大丈夫だろう。
「次は鍛冶屋で武具を揃えてもらうのだが…
まだ店が開いてないな。日が昇ったらまたここに来てくれ」
「了解〜! じゃあまた後で」
俺はギルドカードを持つとすぐに休憩施設に戻った。早すぎたことが仇になるとは…と思いつつ、俺は日が開けるまで休む事にしたのだった。
(ryトピック〜流派ー【奴隷派生】について〜
流派は一部例外を除けば3段階ほどに派生するのだが、その詳細についてはまた後ほど…
この流派は〔誰かに従属している時に自身のフィジカルを強化する〕効果を持っている。上にいくほど効果は強力なものへと変わっていく。
また、【奉仕者】を極めると、パッシブスキルとして〔家事スキル向上〕を獲得する事ができる。戦闘面では関与しないが、野宿する際に役立つかもしれない…
その時が待ちきれず、俺は日をまたいだあたりの時間帯にグリッチの部屋へと向かった。
俺はドアをノックする。
「……ん?ラグか。早すぎないか?」
眠そうな彼の声が聞こえてくる。
そんなもの関係ないとばかりに俺はドアを開け、書類に埋もれた彼の前に立った。
「今日で12だ。さあ、俺を冒険者にしろ!」
「ああ分かっている。ちょっと待っとれ。
確かここに……」
俺が要件を言うと、彼は棚を漁り始める。
「……あったあった。ほれ!」
探し物を見つけたのか、彼はこちらに何かを差し出した。日が明けていないため暗くて見づらいが、それは石のような何かだった。
「まずはこのコハクに手を置いてくれ」
「(石とは違ってたが)了解!
……こうでいいのか?」
俺はそれの上に手を置いた。すると、暗やみにあるそれが淡い光を発し始めた。
しかしほんの数秒後にそれは光を失い、もとのコハクとなってしまった。
あまりにも何も起きないため、心配になった俺はわけを尋ねようと思ったが、その必要はないらしい。
ちょうど横にあった機械が動き始め、一枚のカードが発行された。それに続くように複数の書類が発行される。
彼は卓上の電気をつけると、その書類をまとめ始める。それらを少しまとめると、発行されたカードを手に取った。
「ほれ、ラグのギルドカードだ。受け取りな」
彼はそう言いながらそれを俺に手渡してきた。
「おおー!!」
俺はそれに触れた瞬間に気づく。これ、かなりいいさわり心地だ!少し硬めなこの感じがくせになりそう!
それに、どこか懐かしい感じがする……
「ん?随分と気にってくれたようだな。
ではそいつの見かたを説明する。
表面にはギルドカードのデザインと簡易的なプロフィールが載っている。また、右上には階級を表す鉱石が装飾されている。今のラグなら【タルク級】だな」
タルク……それは、モース硬度の基準にされている鉱石である。要するに最下級を表す。
「まぁ当たり前か。ここから上げていくものだからな」
「前向きだな。では裏面の説明に移る。ここには簡易的なステータスと所持金が載っているのだが…
実際に見てもらった方がいいな」
「そうだな!ええと……」
俺はギルドカードをひっくり返し、裏面を見る。
【名前】ラグレス•モニターズ
種族:【他世界種(不明)】Lv.12
能力:概念系【慣れ/進歩 上手】Lv.3
流派:【親衛長】Lv.MAX
フィジカルランク:Lv.6
耐久力:【E】
精神力:【E-】
筋力 :【E】
機動力:【E-】
持久力:【E+】
思考力:【E-】
0.c
「……何だこれは!?」
「どうかしたか?」
俺は彼に声をかける。ここまで驚いている彼を見た事なんて一度もない。
「おっと、すまないラグ。とりあえず説明に入るか。種族については省いてもいいよな。ラグなら理解できるだろう」
「ああもちろん。不明ってとこには納得いかないけど……」
そりゃそうだろう。自分の正体に関する手がかりを得らえると思った途端にこれなんだから。
「では次だ。ここには所有能力について記載されている。ラグの場合は【慣れ/進歩 上手】だな」
「これが俺の能力か。詳しい内容は?」
「それは分からない。ここには文字しか表示されないからな」
「ちぇっ」
俺は舌打ちをする。まぁ文字通りの内容だろうが……
「次が問題なんだが……今一度聞くのだが、ラグはゴブリンに育てられてる前の記憶はないんだよな」
「ああその通りだ。むしろ知りたいぐらいだ!」
言い忘れていたが、俺はゴブリンに育てられる前の〔暮らしに関する記憶〕が一切ない。もちろんゴブリンの子供という訳ではない。
気になるのは、〔暮らしに関する記憶〕以外はある、という点だ。それ故か物事の理解も異常だと言われるほどに早いらしい。
「……そうか。
ここに記載しれているのは、この世界では〔流派〕と呼ばれる、戦いにも大きく響く要素なのだが……ここに【親衛長】ってのがあるだろう」
彼はカードを指差しながら言う。
「ああこれか。なんかカッコイイ響きだな!」
「それを習得するには【奴隷】と【奉仕者】を順に習得していく必要があるのだ」
「へえー……って、はあ!?」
俺はその意味を少し遅れて理解してしまった。つまり俺は誰かに従属してたって事か!?ありえない…
「……これは置いといた方が良さそうだな。
次のフィジカルランクについては簡単に説明してしまうぞ。
【耐久力】はその名の通り。高いほどタフなだけじゃなく、体に無理をさせる事もできるようになる。
【精神力】は(メンタルorマジック)ポイントを表す。低下すれば理性に影響を及ぼすから注意が必要だ。
【筋力】もその名の通り。高いほど攻撃に力が乗る上、重い物も持てるようになる。
【機動力】はスピードの事だ。真に強い者はここを特に見ているらしい。
【持久力】はいわば疲れにくさだ。回復の恩恵を受ける時、ここをがっつり削られるから注意しとけよ。
【思考力】は判断力の高さも表す。魔法が使える場合は詠唱時間に影響が出るからそこにも注目だ。
ざっとこんなものかな。あと数値化されていないのは【裏のステータス】が絡んだ瞬間に法則が乱れるからだそうだ。理解できたか?」
「ああバッチリだ。
最後の【c】はお金の事だろ」
「流石だ。ギルドで8年働いただけはあるな。
よし、これで説明終了!まあ今はなんとなく理解できてればいい。後々、嫌でも分かるようになるから」
これで説明は終わりらしい。まあだいたいは理解できたから大丈夫だろう。
「次は鍛冶屋で武具を揃えてもらうのだが…
まだ店が開いてないな。日が昇ったらまたここに来てくれ」
「了解〜! じゃあまた後で」
俺はギルドカードを持つとすぐに休憩施設に戻った。早すぎたことが仇になるとは…と思いつつ、俺は日が開けるまで休む事にしたのだった。
(ryトピック〜流派ー【奴隷派生】について〜
流派は一部例外を除けば3段階ほどに派生するのだが、その詳細についてはまた後ほど…
この流派は〔誰かに従属している時に自身のフィジカルを強化する〕効果を持っている。上にいくほど効果は強力なものへと変わっていく。
また、【奉仕者】を極めると、パッシブスキルとして〔家事スキル向上〕を獲得する事ができる。戦闘面では関与しないが、野宿する際に役立つかもしれない…
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