ハーフエルフの少年

リンネ

第22章 護衛依頼〜王都へ〜

「いや〜まさか神子様御一行が護衛をしてくださるなんて恐縮です!これなら道中何が出ても怖くありませんなぁ!はっはっはっは!」

なんか賑やかな人だなぁ。

「失礼!私は商人をしております。名をアルバと申します!以後、お見知り置きを!」

「レナートです...一応Sランクとなってます」

「俺はギン、Aランク」

「アタイはヘレナ、Bランクにゃ!」

「キュー!」

「どうかよろしくお願いします!では早速参りましょう!ささ、馬車に乗ってください」

ボク達は言われて、みんな馬車に乗り込んだ。
それにしても、荷物がぎっしりだ。

「では参りますぞ!道中何か出たらよろしくお願いします!はっ!」

「ヒヒーン!」

アルバさんが手綱を握り、馬車は動き出した。
ボク達が乗ってるのは積荷の方だ。
道が整備されてるのか、心地いい揺れだ。

「キュー...」

スエールが丸くなって眠っちゃったみたいだ。
うん、スエールを背もたれにしよう。
あ、柔らかい。
すごい心地いい...

「アンさん王都ってどんなとこにゃ?」

「俺も行ったことねぇからわかんね」

「んーレナちゃんは?」

「....」

「アレ?レナちゃん?」

「って寝てるし!スエール枕にして...なんか羨ましい」

「疲れてたのかにゃ?何も起きなければそのまま寝かせてやるにゃ」

「だな」

「でもにゃんだかんだ言ってもやっぱり子供なんだにゃ〜」



そんな会話をよそに、ボクは夢の中へ。
しばらく眠ってたけど、不意に馬車が止まる。
びっくりして目が覚めた。

「着いたの...?」

寝ぼけ眼で聞いてみたけど、どうやら違うようだ。
うん、意識がはっきりしてきた途端に周りから魔物の気配がする。

「こりゃ多いな」

「にゃんでこんなところに魔物が出るにゃ!」

「ここは最近魔物が頻繁に出るようになって、行商人達が襲われる場所なんです!」

変に元気だよね。アルバさん。

「サーチ」

探索魔法であたりを調べると、結構な数の魔物がいる。

「仕方ねぇ!」

「よいしょ」

ボク達は馬車を降りて、囲むように並ぶ。

「アルバさん絶対にアタイらから離れちゃダメにゃ!」

「何があっても離れません!」

次の瞬間、一斉に魔物達が襲いかかってくる。
しかも種類はバラバラ。
うん、とってもめんどくさい!

「おらああ!」

「シャー!」

兄ちゃんとヘレナは迫る魔物を次々と倒していく。

「スパークフィールド!」

ボクは面倒なので自分の周囲を電気で覆い、迫る魔物を次々感電させていく。
流石に仲間が近づくだけで倒れていくから攻めてこなくなった。

「だぁーめんどくせぇ!」

「ニャー!」

なんかボクだけ楽してる?
あれ?なんかこの茂みの奥に一風変わった草が...

「あんなところに魔物草が生えてる!」

前に本で読んだ草だ。

「んだそりゃ!」

「魔物が好きな匂いを出す草にゃ!」

だからこの辺りは魔物が多いんだ。
しかも種類バラバラで。

「スエール!」

「キュー!」

スエールに指示を出して、魔物草をブレスで焼いてもらった。
あとは残りを片付けるだけだ。

「しかしあと何匹いるんだよ!」

「ボクがでかいの放つから残ったやつお願いしていい?」

「おう!数が減るならありがてぇ!」

「頼むにゃ!」

よし、じゃ〜風の魔法でいいかな?

「優しき風、列人と化して汝らを薙ぎ払え!サイクロン!」

ボクは目の前に巨大な竜巻を放ち、魔物達をはるか上空に舞い上げる。

「残りお願い!」

って言ったんだけど何故か2人とも動こうとしない。
どうしたんだろう?

「「全部吹っ飛んでったからやる事ない(にゃ)」」

「あれー?かなり威力抑えたんだけどなぁ!」

「あれでかよ...」

ちなみにアルバさんは信じられないものを見たような顔で固まってる。
とりあえず解決だね!

「つか最初から俺達いらなくね?」

「アタイもそう思うにゃ」

そんな事ないよぉ?
みんなで協力してこそのパーティだと思うしね!



「いやーーー!さすがは神子様でしたなぁ!
まさかあれほどの敵を一瞬とは!」

魔法使ったから疲れた。
そしてこのテンション相手も疲れる。

「まぁうちのレナートは最強だからな!」

それからは何も起きず、無事に王都までたどり着いた。

「いやーありがとうございました!おかげで荷物も無事に運び終えそうです!」

「これで依頼達成でいいのか?」

「はい!」

「じゃあこの依頼書にサインお願いします」

ボクは持ってた依頼書を渡し、アルバさんにサインをしてもらった。

「では私はこれで!また何かありましたらよろしくお願い致します!」

最後までハイテンションな人だったなぁ〜。
そして、王都に来たけど。

「すごい人...」

「だな」

「目回りそうにゃ」

見渡す限り、どこを見ても人、人、人。
種族も様々だ。
中にはエルフまでいる。

「とりあえず宿探すか〜」

「そうだね」

「キュー!」

スエールは人混みが嫌いみたいだ。
ボクの側から離れようとしない。
でも、さすがにドラゴン連れてる人は居ないから変に目立つ。

「おいアレ」

「ドラゴン連れた銀髪の男の子。神子様か!」

ヤバイ、早々に退散しよう。
って事でそそくさと歩き出す。
突然歩き出したボクを察して、兄ちゃん達は何も言わずについてくる。

王都〜ランバル〜
王都の中央に立つ城には国王が住んでいる。
街並みはとにかく広くて人が多い。
そんな中、宿らしき建物を見つけ、中に入ってみる。

「いらっしゃい!」

「ここは宿で間違えないか?」

「ああそうさ!一泊個室で銅貨10枚、2人部屋が15枚だ」

「じゃ個室1つと2人部屋1つ」

「あ、ペット大丈夫ですか?ドラゴンなんですが」

「ドラゴン!?あ、シツケがちゃんとされてるなら同じ値段で部屋に連れていいよ」

「キュー!」

あれ?なんかジロジロ見られてる?
スエールが珍しいんだねきっと。

「銀髪...ドラゴン...あんた神子様かい!?」

違った〜。
なんか有名になっちゃったな〜。

「シー!」

とりあえず目立ちたくないから口止めしとく。
あ、でもスエール連れてたら目につくや。

「まぁとりあえず2階の1番奥が個室、その迎えが2人部屋だよ。
何泊だい?」

「とりあえず2泊で頼む」

「あいよ!銅貨50枚だ。前払いで頼むね!」

ボクはお金を支払ってさっさと部屋に入る。
部屋の外でヘレナと兄ちゃんがお話ししてる。

「んじゃ今日は自由行動って事で」

「おっけーにゃ!明日の朝ここの食堂で落ち合うにゃ!」

「おう!」

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