いつだって僕の感情は欠落している

零猫

9

両親が死んでからの2年。
色々なことが起こりすぎた。

両親の四十九日。
やる事もなく家でぼーっとしていた俺の耳にインターフォンの音が届いた。

ドアを開けたらそこにいたのは随分昔に見た事のある顔で、
「こんにちは、海くん。叔父の…」
あぁ、思い出した。確か父さんには兄弟がいたはずだ。その、兄の方か。
「…はい、何か御用ですか?」
お得意の笑顔。あぁ、今は笑うべきじゃなかったかな。
そんな事を考えながら叔父の顔を見つめた。

「まだ中学生なんだ。この家に1人でいるのも辛いだろう。俺の家に来るといいさ。」

なーんて、あたかも同情してますみたいな顔で言われた日。別にイラッともしなかったし、ましてや悲しいなんて思わなかった。

「ありがとうございます、叔父さん。
これから、よろしくお願いします」

両親が死んでから世界が変わったのは感じていた。
時間が過ぎるのがいつにも増して遅くて、それでいて、夜が過ぎるのは早い。
神様は本当に理不尽だよなぁ、父さんと母さんを連れていったくせに、俺を連れていかないんだから、なんて、中学生っぽいことを考えていた気がする。

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