水の底の世界

Nano(๑•̀ •́)و✧

夜叉誕生!

ろ…きろ…起きろ…目を覚ませ


聞こえてきた声に反応するかのように、僕は重いはずの瞼を上げるが瞼は軽かった。
今まで鉛のように重かったのに…どうしてだろう体もポカポカして今までよりも軽い…そんなことを思いながら声の主の方を向く。「やっと起きたか…お前人間だろう?名前はなんという?」
状況整理のできてない僕にそんなものは知らんというかのように質問をしてきたのは、長髪で所々に包帯を巻いている女性?のようだ。あまり好印象では無いなと思いながら僕は答えた「どうも…一応人間ですけど…名前って…なんだっけ?」思い出せない…なんでだ?…今まで名前があったことは覚えてるでも自分の名前が出てこないことに焦り始めた時、「私はアタゴテングの燐と言う。見た通り人間ではないな。名前が思い出せない…か」勝手に自己紹介を始めていた。燐は考えるような仕草をしてすぐにこう言った。「目が覚める前に暗い水の中に落ちていく感覚は無かったか?」とどうしてと聞くと、まずここは僕の住むべき場所ではないこと。次にこの場所と本来居るべき場所とが繋がっている場所があること。を教えてくれた。それと名前が思い出せないことに関しては、この2つ目の繋がっている場所が要因であると…


『胡蝶の池』この言葉を聞いた瞬間にここへ来る前のことをぼんやりとだが思い出した。なぜぼんやりとだったかは僕はもう意識が無くなっていたから…なんて考えていた人様に見せられるような顔でなくなっていることに気づいた。ポンと頭に手がのったのでびっくりすると、「胡蝶の池は人の生きる世界では死者の池、黄泉の池なんて言われたりしてるからな…びっくりさせたな。」なんて言われたら目の前が真っ暗になった…「僕はもう戻れないんですか!?なんで!こんなことにっ!」と言って燐を叩いた。すると大きな翼が僕の体を包んだ。「泣け…少しは楽になる…もうあちらへは戻ることは出来ないがここもいいところではある。ここで第2の人生とやらを送ってみるのをどうだ?安心しろ、私はお前が大丈夫と言うまではいてやるから…夜叉」と僕に声をかけた。「え?夜叉って」「お前の名だよ…」と話していたら強い風が吹き目を瞑り開けるとそこには軍服の様な服を着た美人が立っていた。

「毘沙門…胡蝶の池でこの少年を拾わせたのはお前だろ?私が鬼神夜叉の名を授けることが出来る唯一だからな。」
「あとは北方を護る鬼神だけが足りなかったのよ。燐ちゃんがここに来たものに名をつけないから…」と片手を顔にやり困ったわぁなんてことをやっていた。僕だけ仲間はずれは嫌になって、「あの…整理が追いつかないんですけど…どういうことか説明してください。」と言うと毘沙門と呼ばれた美人が「燐ちゃん説明してなかったの?」と燐になんでしないの?と言った顔をしていたが「しようとした時にお前が来たんだろ…まぁいいや。今から説明するからな〜」_


「説明しましょう!
まずはこの世界について
・人ではない妖、神が9割、元人間(神の使いに昇華したり)1割が住んでる
・よくそっちにあるような人を驚かせたりってのはない
・普通に働いてるよ!
次に君が働く場所について
・毘沙門天の警護領域の北方の門の守護
・あんまりやることないけど毘沙門天の命令は従うように
以上かな!さいなら〜」


「あの…今の何だったんですか?」この空気に耐えかねて僕は燐に質問をする。「ん?あぁ あいつは私の使い八咫烏のかいせ。解説から取った。」「自己紹介せずでしたね〜!申し訳ないです〜。先ほどの紹介のまんまですが八咫烏のかいせです〜!さいならっ!」
ふふっと笑ったのは毘沙門天だった。「ほんと燐ちゃんはセンスなさすぎるし、君は順応が早いね〜!」「言っとけ…」「それほどでも…」なんてたわいもない話をしていると時間が来たようで「さぁ夜叉くんこれから宜しくね。何かあったら燐ちゃんに聞けばいいから…ねぇ燐ちゃん」少し不安になり燐の方を見ると「大丈夫だ。教えれることであれば、教える。昼間は大体ここにいるからな…毘沙門!夜叉をよろしく」「よろしくお願いします」と言い僕と毘沙門天、燐で別れた。
その時の燐の顔が悲しい笑顔に見えた…


ある日を境に平和な日々が一変するとも知らずに…彼らは生き続ける…未来を知るものはただ1人…

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