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太陽の為に生きる月

嘉禄(かろく)

「Newborn moon」〜14〜

理貴が和希くんと遊んでくれている間、遥ちゃんがふとこっちに近寄ってきた。


「あのさー、紘斗から聞いたんだけどさー?和希くんなんか不思議な子なんだって?」
「…うん、そうなんだよ…」


そう話を振られたので僕は今までに起こった不思議なことを包み隠さず全て話した。
お兄ちゃんと、僕より長く一緒に時を過ごした遥ちゃんなら何か分かるかもしれない…そう思ったから。


「…へえ、声かぁ…生まれ変わり、と考えるには年月が合わない…」
「うん、そうなんだよ…でも、お兄ちゃんの気配は確かにするんだよね。
それに、こうも言ってたし…」


僕はそこで一旦言葉を切って、風呂場で聞こえてきた声を思い出してその言葉を呟いた。


『悠隼、お前が思っているよりも俺は近くにいる。…今でもな。
いつかわかるよ、俺の今の居場所なら。』


これは、一体どういう意味なのか…お兄ちゃんが近くにいて、いつか居場所を伝えるつもりなのか…それとも見つけて欲しいのか…?

僕が考え込んでいると、ふと遥ちゃんが呟いた。


「…でもさ、俺あいつが帰ってきたように思うんだ。
上手く言えないけど、和希くんが導いたのか…それとも怜が和希くんに願ったのか…なんて、非現実的だけどね。
でもそんな感じがする。」
「…お兄ちゃんが帰ってきた…うーん、やっぱりまだよく分からないや。」


僕が首を捻っている横で、遥ちゃんはずっと和希くんを見つめていた。


「…可愛い弟くんのことが心残りなら、ちゃんと言ってやればいいのにな。お前回りくどいんだよ…」


遥ちゃんが苦笑まじりに小さく呟いた時、また音が遠くなった。
あの時…風呂場にいた時と同じ現象だ。
ということは、また声が聞こえるはず…。
僕のその予測は裏切られなかった。
遥ちゃんの隣を白衣がひらめきながら通り過ぎていく。


『見つけて欲しいんだ、俺は。
お前も薄々気づいてるんだろう』


その声が聞こえて、僕と遥ちゃんは顔を見合わせた。
遥ちゃんにも聞こえたようだ、とても驚いた顔をしている。


「…俺にも聞こえた、今のが…?」
「うん、そうだよ。あれが頻繁に起きるんだ。」
「…なら、なんとしてでも見つけてやらないとな。」


遥ちゃんの苦笑まじりながら少し悲しみが宿った言葉に、僕も頷いた。

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