酒と煙草

ノベルバユーザー221010

19

「じゃー、帰るわ」

そう聞こえた男性の声。

僕のひと席空けた隣に座っていた男性がふらりと立ち上がり、店長が小走りで入り口を開け「またねー」と手を振る。

僕が店に入ってから2人が会話をしているのは見かけなかったが、親しい間柄なのだろう。

店長は、男性のグラスと灰皿などを片付けながら洗い物を始めた。麗さんのグラスが空いたのに声をかけないのはなんでだろうか?奥の女性と僕と麗さんに気を張っているようなのになぁと思っていると、隣から「同級生なの。桜と。」と聞こえた。
麗さんの方をふと見ると、あなたは素知らぬ顔で洗い物をしている店長に、「次の美味しいのちょーだい。」と無茶な注文をしていた。
当たり前のように店長も「はいはい」と返事して、並んだお酒のボトルとにらめっこを始めた。

僕はなんとなく麗さんから目を離さず見ていると、「同じ年で、同じクラスにいたのに、全然違う時間を過ごしてきて、また再会できたんだー」と。
店長から目を離さずに僕に話しかけた。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品