Red&Wolf
5話
赤ずきんが外へ出ていくのをただ静かに見ていたお母さん。
「……ごめんなさい。赤ずきん。」
涙とこぼれた言葉の裏には…こんなお話がありました。
数日前。赤ずきんの家に狩人がやって来ました。
もちろん、赤ずきんは森に出かけていたのでそんなことは何も知りませんでした。
狩人はお母さんに聞きました。
「赤ずきんはどこだ?俺たちの人形はどこだ?」
「知りません。私はなにも。」
本当は知っていました。赤ずきんが狼に会いに森に行ってること。赤ずきんの感情が戻ってきていること。赤ずきんはもう…人形ではないことを……。
それを知らず、赤ずきんをこの狂った街に縛りつけようとする狩人や皆に怒りを覚えました。
それよりなによりお母さんは彼らの言うことを聞いている自分自身を嫌っていました。
「ここよりいい所は無いのにな。」
いいはずがありません。赤ずきんにとってはここは鳥かごなのです。一生出れないような……そんな鳥かご。
そこから解放してあげようと……お母さんは自ら嫌われ役を買ったのです。
「狩人達が狼を殺そうとしている」なんて嘘……。
狩人達は今日はよその街に出ておりここにはいません。
だから…この日を選んだのです。
赤ずきんを……かわいい娘を解放するために。
「酷いことを言ってごめんね。赤ずきん。貴女はここにいてはいけない。もう…戻ってきちゃダメだからね。私のことを許さないで。でも…これだけは覚えていて。貴女は…私の自慢の娘よ。かわいい…かわいい…素敵な愛しい娘。幸せになりなさいね。」
自然と涙が溢れる。
お母さんの脳裏には1度だけ心から笑ってくれた……あの時の……赤ずきんの笑顔が張りついていました。
森へ向かう赤ずきん。
いつもなら近く感じる道が今日に限っては遠く感じます。
「助けなくちゃ……助けないと!!!」
最悪な事が起こる前に…。
渦巻く不安。それが赤ずきんの脳内を支配していました。
なんとしてても狼を助けないと…と言う気持ちでいっぱいです。
「きゃっ!!!」
気持ちが前に出すぎて、石につまずいて転んでしまう赤ずきん。
ふと赤ずきんの視界に一通の手紙が入りました。
ポケットから出てきたのでしょうか?
その字に赤ずきんは見覚えがありました。
その手紙をそっと手に取ります。
ゆっくりと手紙を開いていきます。
「なん……で…?」
震える手、震える声……赤ずきんはしばらくその場で泣き崩れていました。
「…ごめんなさい……。ごめんなさい…。」
『愛しい娘へ。
いつかこういう日が来るだろうと思っていました。
貴女はよく耐えました。本当にきつかったでしょう。ごめんなさい。分かっていたのに救えなくて。
もう、貴女は自由です。これからは貴女が思うように生きなさい。
大丈夫。貴女なら生きていけます。だって…私の娘ですから。
それに、貴女を守ってくれる人もいるのでしょう?お母さんはとても安心しているのですよ。だってようやく貴女を助けてくれる人が現れたのですから。
もうここには戻ってこない方がいいです。戻ってきたら皆、また貴女を利用しようとするでしょう。その姿はもう私は見たくありません。
だから…どこか遠くへ逃げなさい。そして幸せに暮らしなさい。
それがお母さんからの最後のお願いです。
こんな自分勝手なお母さんを許さないでください。
でも…これだけは覚えていてください。
貴女の事をずっとずっと……愛しています。
 お母さんより。』
「……ごめんなさい。赤ずきん。」
涙とこぼれた言葉の裏には…こんなお話がありました。
数日前。赤ずきんの家に狩人がやって来ました。
もちろん、赤ずきんは森に出かけていたのでそんなことは何も知りませんでした。
狩人はお母さんに聞きました。
「赤ずきんはどこだ?俺たちの人形はどこだ?」
「知りません。私はなにも。」
本当は知っていました。赤ずきんが狼に会いに森に行ってること。赤ずきんの感情が戻ってきていること。赤ずきんはもう…人形ではないことを……。
それを知らず、赤ずきんをこの狂った街に縛りつけようとする狩人や皆に怒りを覚えました。
それよりなによりお母さんは彼らの言うことを聞いている自分自身を嫌っていました。
「ここよりいい所は無いのにな。」
いいはずがありません。赤ずきんにとってはここは鳥かごなのです。一生出れないような……そんな鳥かご。
そこから解放してあげようと……お母さんは自ら嫌われ役を買ったのです。
「狩人達が狼を殺そうとしている」なんて嘘……。
狩人達は今日はよその街に出ておりここにはいません。
だから…この日を選んだのです。
赤ずきんを……かわいい娘を解放するために。
「酷いことを言ってごめんね。赤ずきん。貴女はここにいてはいけない。もう…戻ってきちゃダメだからね。私のことを許さないで。でも…これだけは覚えていて。貴女は…私の自慢の娘よ。かわいい…かわいい…素敵な愛しい娘。幸せになりなさいね。」
自然と涙が溢れる。
お母さんの脳裏には1度だけ心から笑ってくれた……あの時の……赤ずきんの笑顔が張りついていました。
森へ向かう赤ずきん。
いつもなら近く感じる道が今日に限っては遠く感じます。
「助けなくちゃ……助けないと!!!」
最悪な事が起こる前に…。
渦巻く不安。それが赤ずきんの脳内を支配していました。
なんとしてても狼を助けないと…と言う気持ちでいっぱいです。
「きゃっ!!!」
気持ちが前に出すぎて、石につまずいて転んでしまう赤ずきん。
ふと赤ずきんの視界に一通の手紙が入りました。
ポケットから出てきたのでしょうか?
その字に赤ずきんは見覚えがありました。
その手紙をそっと手に取ります。
ゆっくりと手紙を開いていきます。
「なん……で…?」
震える手、震える声……赤ずきんはしばらくその場で泣き崩れていました。
「…ごめんなさい……。ごめんなさい…。」
『愛しい娘へ。
いつかこういう日が来るだろうと思っていました。
貴女はよく耐えました。本当にきつかったでしょう。ごめんなさい。分かっていたのに救えなくて。
もう、貴女は自由です。これからは貴女が思うように生きなさい。
大丈夫。貴女なら生きていけます。だって…私の娘ですから。
それに、貴女を守ってくれる人もいるのでしょう?お母さんはとても安心しているのですよ。だってようやく貴女を助けてくれる人が現れたのですから。
もうここには戻ってこない方がいいです。戻ってきたら皆、また貴女を利用しようとするでしょう。その姿はもう私は見たくありません。
だから…どこか遠くへ逃げなさい。そして幸せに暮らしなさい。
それがお母さんからの最後のお願いです。
こんな自分勝手なお母さんを許さないでください。
でも…これだけは覚えていてください。
貴女の事をずっとずっと……愛しています。
 お母さんより。』
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