俺は主人公にはなりたくない!

過去と現在の恋と嘘

立花は夜になっても帰って来なかった
電話は通じないこんな街灯も少ないところ夜歩いてたらへんな奴に捕まるだろ
不安しかねぇ
俺はただ真実が知りたくて話しただけなのに
でも、確信したのは立花が女である事
あの表情は見透かされた時の顔だ
なんで今まで気づかなかったんだ俺
もう少し早く話していたらこんな事にならなかったのか
俺がもたもたしてたから、もしあいつに二度と会えないような事が起こったら?
もしもの事が頭によぎる
自分を殺したくなる
今探しに行っても俺が迷うだけだ
とりあえず明日の朝探しに行こう
立花、無事でいてくれ
その日の夜夢を見た
「三須くん」
誰だ
「立花だよ」
立花!お前どこに行ってたんだ!
「立花、もう二度と三須くんに会えない」
どういう事だ!説明してくれ!
「ごめんね、ごめんね…」
待てよ!立花!立花!
「立花!!」
叫びながら夢から覚めた
「なんだ夢か…」
俺は時計を見た
「もう6時か、立花の事探しに行くか」
立花を探しに行く準備をした
昨日からそんなに経ってないからそう遠くまでは行ってないと思うが念のため駅にも行くか
とりあえず旅館周りを探すか
人を探すなんて初めてだからどうやって探すんだ?人に聞くとか立花って声に出して探すのか?俺には少し難易度が高いな…
ひとりで探そう
大丈夫必ず見つける
色んな所を探したがいない
見た人すらいなかった
時間は過ぎる一方だった
立花どこに行ったんだ…
もう20時か、必死に探してると時間経つの早いな
旅館に戻るか
俺はバスに揺られながら旅館へ戻った
手掛かりすら掴めなかった
せっかくの旅行なのに俺は台無しにしてしまった
だから、俺はぼっちなんだ空気読めないし友達に深入りしないし話しかけようともしない
初めて本当の友達と思えるやつに出会ったのに俺は自分で手放してしまった
最悪だ…。
バスを降り空を見上げる
そこには無数の星が見える
綺麗だ…
そういえば大正池に行く予定してたな
大正池?
大正池だ!あいつは大正池にいるはずだ!
今からでも間に合う!
俺はもう一度バスに乗り大正池に向かった
お願いだ居てくれ
大正池の近くのバス停に着くなり俺は走った
それはもう全力で
立花が居ると思うから
立花に会いたいから
立花が好きだから
大正池に着いた
でも、誰も居なかった
やっぱりダメなのか…
明日の新幹線は朝の8時
探してる時間なんてない
すると後ろから足音が聞こえた
後ろを振り返る
光がひとつもないため顔の確認が出来ない
「誰なんだ」
蚊の鳴くような声で言ってきた
「三須くん…」
小さかったが確かにその声の人がわかった
「立花なのか!」
俺は走って声がする方に向かった
向かった先に立花がいた
腰が抜けるかと思った
「三須くんごめんね…」
俺は大きく手を振り上げた
「馬鹿野郎!!!!!」
そう言いながら立花を抱き寄せた
「ごめんねじゃねぇよ!!!俺がどれだけ心配したとおもってるんだ!この大バカ野郎!!!!!」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
立花は泣きながら強く抱き返してきた
「会えて本当に良かった、もう二度と会えないかと思った」
「立花も会えて嬉しい」
「立花聞いてくれて、最低だななんて言って悪かったでも俺は立花の事信じてたから少しショックだったんだそれであんな酷い事を」
「立花こそごめんね、男の子のふりをしてまで三須くんに近寄ったりなんかして」
「俺はちゃんとお前の口から立花は女の子でしたって言うまでお前の事男扱いするからな」
立花は深呼吸をしてから口にした
「立花は女の子でした」
「よし」
全てが繋がった過去から現在まで全部
俺は立花の顔を見て言った
「立花、ペンダントだして」
「うん」
俺は首から下げていた鍵を出した
ペンダントのロックを解く
中には昔の俺が描いたであろう紙が入っていた
[おれ、みすあきらはつぎたちばなあおいとあったらけっこんするとちかう]
昔の俺恥ずかしい事書いてんな全部平仮名だし
「こんな内容だったんだね」
「結婚だってさ」
「この時立花は三須くんと結婚したかったもちろん今でもね」
「話が飛びすぎてるぞ、結婚の前にお付き合いだろ?」
「えっ…」
「俺立花の事好きなんだけど」
「なんて言ったの?」
「聞こえてただろうが!お前の事好きなんだ!」
「嬉しい!」
すると立花が頬にキスしてきて
「大好きだよ、三須くん」
「俺も大好きだ」
俺たちは流星が流れる下で少し長めの口づけをした
「立花、ずっと気づかなくてごめんな」
「いいんだよ、三須くんだって三須くんがこうやって今気づいてくれたんだもんこんなに嬉しい事ないよ」
「俺の初恋の相手も立花なんだ」
「知ってたよ。立花の事が好きな事でも、それでも立花は三須くんから告白してくるのを待とうって決めてた」
「立花に再会する前に一度夢に立花が出てきたのは俺がまだ立花の事忘れられてないって事だったんだと思う」
「思い出してくれてありがとう三須くん」
「ずっと想っていてくれてありがとう立花」
「その前に!お前どこに行ったんだよ」
「え?旅館にずっと居たよ?」
「え?」
「どうしたの三須くん?」
「もういい、お前は俺の努力と金を踏み滲むんだな」
「なんの話!?!?」
「お前の事すげー探したんだぞ!」
「そうだったの?」
立花がニヤニヤしている
「なんでニヤついてるんだ」
「だって嬉しいんだもん、好きな人に必死に探してもらえるなんて」
「全くその通りだな、じゃあ流星見て帰るか」
「そうだね」
俺たちは手を繋いで2、3時間空を見上げた
帰りはバスがなかったからタクシーで旅館へ戻ったもちろん俺の自腹
「なんで大正池に行きたかったんだ?」
「大正池で三須くんにペンダント渡されたんだよ。しかも13年前の今日」
「だからこの日がいいって騒いでたのか」
「そーゆーこと三須くんが思い出すんじゃないかなって思って」
「昔の俺はどんなやつだった?」
「とても優しい子だったよ、少し意地っ張りだったけどそれでも立花から見たら王子様だった」
「王子様ねー」
「立花のお父さんね出張が多くてよく引っ越してた、だから友達も居なかったし好きな人も出来なかった。でも、そんな時三須くんに会ったの」
「そういう事か、とりあえずこの話は終わりなお互い肩の荷も降りたしゆっくり休もう」
「うん!」
タクシーから降り部屋に向かった
「立花先にお風呂入るね」
「おう」
女子とふたりきりとかやらしい事しか浮かばない
しょうがないだろ健全な男子高校生なんだぞ!
立花のは初めて大切にしたいと想った人だから
俺が守らないと
「三須くん入っていいよ」
「わかった」
風呂上がりの立花は少しエロかった以上
「先寝てろよ」
俺は風呂に入った
立花が入った風呂…
いいんだよ入って!だって俺と立花は恋人同士なんだから!
なに躊躇してるんだよ俺
風呂に入っていても立花の事ばかり考えていたから早めに上がった
「なんで布団一枚しか敷いてないんだ?」
「一緒に寝たいからに決まってるじゃん」
「また、変な事しだす」
「三須くん今日だけ!」
久しぶりに見た上目使いにドキドキした
「わかった」
そう言うと俺と立花は布団に入った
「おやすみ三須くん」
「おやすみ」
俺と立花は手を繋ぎながら静かに寝た

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