ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~
拉致監禁されるのって、女子の役目じゃないんですね…
「おい、アイツらもうすぐこっち着くってよ」
...誰の声だ?
「もう約束の時間は過ぎてるわよ!ったく、アンタの連れも使えないわね」
「それ、自分の連れも使えないって言ってるようなもんだぜ?っていうか、まだ13時10分、10分くらいで焦んなよ」
「はぁ!?別に焦ってなんて―――」
「...うっ」
言い争う男女の声が聞こえ、うっすら目を開けてみると、そこには新町と見知らぬ男が一人...。
「ん?おい、コイツ目覚ましたみたいだぜ?」
顔に覚えはない。が、この声には聞き覚えがある。
「テメェは...さっきの...!!」
――さっき後ろから俺を殴った奴だ。
「はっ、とりあえず記憶喪失とかじゃないみたいだな」
まだ殴られた痛みが残る後頭部を押さえながら体を起こし、男を睨み付ける。
「おいおい、そんなに睨むなよ。文句があるなら依頼主に言ってくれって言ったろ?―――ここにいる依頼主に、な」
その睨みを軽く受け流し、俺を襲撃した男は隣にいる新町へと視線を向けた。
「あら、藤岡君。悪いけどもう少しそのまま大人しくしといてくれる?ま、どうせ動けないと思うけど」
一方、その視線に気づいた新町エリカは俺を嘲け笑う。
改めて現状を確認してみると、周りの風景からここは体育倉庫だと思われる。
相手は新町の他に見るからに腕っぷしの強そうな男が一人。
そして、ただでさえ絶望的な状況なのに、俺の両腕は柱にしっかりと縛られ脱出どころか立ち上がることすら困難というおまけまで付けられている。――これ、自力での脱出は無理ゲーだろ…、
いや、今はそれよりも…
「...なごみは?」
「あぁ、安心していいわ。波志江なごみに手は出してないから。無傷よ」
「そうか」
俺はこの場に姿の見えない彼女の身を真っ先に案じた。
コイツらが本当のことを話す保証なんて全くない。それでも、俺はこの質問をせずにはいられなかった。
見たところ捕まってるのは俺一人。つまり…
「まぁでも、アンタをここに連れてきた理由とあの女は無関係じゃないから。最終的に無事で済むかどうかはわかんないわよ」
「分かってるよ、そんくらい。今無事ならそれでいい」
状況から察するに、おそらく俺は人質みたいなもの。
十中八九コイツ等の狙いはなごみのはず。俺を餌になごみを脅迫しつつおびきだし、無抵抗のなごみに一斉報復しようってところだろう。
――ヤバいな…このままじゃ、なごみが危ない。
「なんだお前。さっきはあんなにその女のことで睨んできたくせに、意外と落ち着いてんじゃねぇかよ。それともビビっちまっただけか?」
俺が奥歯を噛みしめながら自分の彼女のことを案じていると、今度は男の方が馬鹿にしたような物言いで割り込んできた。…が、ここはスルー一択。
ぶっちゃけこの男には後頭部殴られてるし、お礼に顔面パンチをお見舞いしてやりたいところだが…生憎今はそんなことをしてる場合じゃない。
「別に。お前らの考えそうなことくらい何となく分かるしな。イチイチ驚く程のことでもねぇよ」
「ほう」
と、適当な返答をしつつ、とりあえずなごみをこの場に来させず、彼女の安全を確保する方法がないか頭をフル回転させる。が…
ガラガラガラ
妙案が思い浮かぶ前に、体育倉庫の扉は開かれた。
嫌な予感全開で扉の方に視線を向けると…
「奏太君!無事!?」
案の定、そこには汗を滲ませ肩で息する俺の婚約者が立っていた。
しかし、俺にとってのバッドニュースはそれだけではなかった。
「二人とも15分遅刻よ」
「エリカちゃん、早過ぎだよ~」
「ゴメン!エリカ!」
その後ろからは新町エリカの取り巻き二人組の姿も…。
これで相手は4人…おいおい、増員とか勘弁してくれよ…難易度さらに高まってんじゃん…。
「さぁ、どうするか...」
このさらに絶望的になったシチュエーションにより、俺の額には自然と汗が滲み、頬を流れ落ちた。
...誰の声だ?
「もう約束の時間は過ぎてるわよ!ったく、アンタの連れも使えないわね」
「それ、自分の連れも使えないって言ってるようなもんだぜ?っていうか、まだ13時10分、10分くらいで焦んなよ」
「はぁ!?別に焦ってなんて―――」
「...うっ」
言い争う男女の声が聞こえ、うっすら目を開けてみると、そこには新町と見知らぬ男が一人...。
「ん?おい、コイツ目覚ましたみたいだぜ?」
顔に覚えはない。が、この声には聞き覚えがある。
「テメェは...さっきの...!!」
――さっき後ろから俺を殴った奴だ。
「はっ、とりあえず記憶喪失とかじゃないみたいだな」
まだ殴られた痛みが残る後頭部を押さえながら体を起こし、男を睨み付ける。
「おいおい、そんなに睨むなよ。文句があるなら依頼主に言ってくれって言ったろ?―――ここにいる依頼主に、な」
その睨みを軽く受け流し、俺を襲撃した男は隣にいる新町へと視線を向けた。
「あら、藤岡君。悪いけどもう少しそのまま大人しくしといてくれる?ま、どうせ動けないと思うけど」
一方、その視線に気づいた新町エリカは俺を嘲け笑う。
改めて現状を確認してみると、周りの風景からここは体育倉庫だと思われる。
相手は新町の他に見るからに腕っぷしの強そうな男が一人。
そして、ただでさえ絶望的な状況なのに、俺の両腕は柱にしっかりと縛られ脱出どころか立ち上がることすら困難というおまけまで付けられている。――これ、自力での脱出は無理ゲーだろ…、
いや、今はそれよりも…
「...なごみは?」
「あぁ、安心していいわ。波志江なごみに手は出してないから。無傷よ」
「そうか」
俺はこの場に姿の見えない彼女の身を真っ先に案じた。
コイツらが本当のことを話す保証なんて全くない。それでも、俺はこの質問をせずにはいられなかった。
見たところ捕まってるのは俺一人。つまり…
「まぁでも、アンタをここに連れてきた理由とあの女は無関係じゃないから。最終的に無事で済むかどうかはわかんないわよ」
「分かってるよ、そんくらい。今無事ならそれでいい」
状況から察するに、おそらく俺は人質みたいなもの。
十中八九コイツ等の狙いはなごみのはず。俺を餌になごみを脅迫しつつおびきだし、無抵抗のなごみに一斉報復しようってところだろう。
――ヤバいな…このままじゃ、なごみが危ない。
「なんだお前。さっきはあんなにその女のことで睨んできたくせに、意外と落ち着いてんじゃねぇかよ。それともビビっちまっただけか?」
俺が奥歯を噛みしめながら自分の彼女のことを案じていると、今度は男の方が馬鹿にしたような物言いで割り込んできた。…が、ここはスルー一択。
ぶっちゃけこの男には後頭部殴られてるし、お礼に顔面パンチをお見舞いしてやりたいところだが…生憎今はそんなことをしてる場合じゃない。
「別に。お前らの考えそうなことくらい何となく分かるしな。イチイチ驚く程のことでもねぇよ」
「ほう」
と、適当な返答をしつつ、とりあえずなごみをこの場に来させず、彼女の安全を確保する方法がないか頭をフル回転させる。が…
ガラガラガラ
妙案が思い浮かぶ前に、体育倉庫の扉は開かれた。
嫌な予感全開で扉の方に視線を向けると…
「奏太君!無事!?」
案の定、そこには汗を滲ませ肩で息する俺の婚約者が立っていた。
しかし、俺にとってのバッドニュースはそれだけではなかった。
「二人とも15分遅刻よ」
「エリカちゃん、早過ぎだよ~」
「ゴメン!エリカ!」
その後ろからは新町エリカの取り巻き二人組の姿も…。
これで相手は4人…おいおい、増員とか勘弁してくれよ…難易度さらに高まってんじゃん…。
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