それでも俺は異世界転生を繰り返す
〈expiry point 3-Who's Guardian〉 五話
周囲はイチャコラするカップルとか、リアルが充実してそうな男子の集団、女子の集団。男だけ、女だけの集団でも、皆顔が良かったり異性なれしてる感じがオーラになって現れている。大体こういうヤツらは別の学校に恋人がいたりするんだ。きっとそうに違いない。
そんな中で、男女でいながらほとんど会話をしないヤツがいる。そう、俺たちである。当然浮く。
「なあ」
「なによ」
「なぜ中庭なんですか優帆さん」
「天気が良かったから?」
「疑問符はいらんだろ。すごく居心地が悪いんですけど」
元々中庭ってのはリア充の領域なんだよ。アニメやマンガだって、中庭の描写ってのはリア充たちのもんなんだよ。
「そう、かな。私は居心地悪くないけど」
「ああ? こんなリア充の巣窟に放り込まれて、居心地いいわけねーだろ」
傍目から見ればコイツはギャルだし、リア充の群れにも慣れてるんだろう。しかし俺は慣れてないんだ。お前はいいだろうが結構キツイんだよこっちは。
「リア充リア充って、周りの人もアンタも同じ人間でしょうが。それに男女が二人でいるんだから、他人から見れば私たちだって似たようなもんでしょうが」
「それって俺とお前が恋人に見えるってこと」
「ま、まあ、そういうことになるわね」
あ、パンを食べる速度が上がった。
「んー!」と唸りながら勢いよくジュースを飲み始めた。喉に詰まったんだな。恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。
「お前は好きなやつに告白とかしないのか」
あ、今度はジュースを吹き出した。面白いヤツだ。見てるだけで飽きない。
「なに言ってんのよ急に!」
「いや、好きなヤツがいるなら早めに告白すべきでは、と思っただけだ。誰かに取られるかもしれんぞ」
「横から出てくるような女なんていないわよ」
「言い切るね。つまりあんまり人気があるようなタイプではない、か」
「知らないわよそんなこと」
「知らないってことはないだろ」
「いつも男とばっかりつるんでるから大丈夫なんじゃないの?」
「それならそれでさっさと告白したらいいのに。男とばっかりつるんでるようなの、告白したらホイホイついてくるだろうが。やりたい盛りの学生なんだし」
なにがやりたいのかは言わない。
でも、まだ学生と決まったわけではないのか。
「なんで付き合ってくれると思うのよ」
「そりゃ付き合うでしょ。女っ気もないような男なら」
「そうじゃなくて、ソイツがオッケーするかわかんないでしょってこと」
「いやだから、お前くらいの女なら男なんて簡単にひっかかるでしょうがってことだよ」
「それって、私の事褒めてくれてるの?」
「褒めてる、うちに入るんじゃないか?」
「なんで疑問形なのよ。ばかっ」
優帆が最後の一口を食べた。その速度はゆっくりで、なんだか安心した様子だった。
どうしてか、その姿を見て俺も安心した。
コロコロと表情が変わって、心情が行動に直結しているようだ。女らしくもあり、それがまた妙な愛らしさを生んでいる。
いやいや、俺はなにを考えてるんだ。コイツのことが愛らしいとか、一時の気の迷いであってもあり得ないだろう。
昼食が終わって授業が始まる。午後の授業だけはなんとか集中できたと思う。
サダとたっつんが先に帰ってしまった。なんか用事があるとか。俺をハブって用事とは、アイツらとは今度会議をせざるを得ないだろう。
「さて、帰るわよ」
「現れたな、怪人ボッチウーマン」
「マンじゃなくてちゃんとウーマンっていうところがなんかムカつく。それに私は好んで一人なの。ほら、行くわよ」
「もー、またそうやって袖掴むー」
カバンを持って教室を出た。周囲からの視線も若干痛い。
下駄箱に着くと、壁により掛かる双葉がいた。カバンを両手で持ち、太ももの前でパタパタとさせていた。
「なんだ双葉、誰かと約束でもあんのか」
「ううん、お兄ちゃんのこと待ってたの。一緒に帰ろうと思って」
「優帆も一緒だけど大丈夫か?」
「ちょっと! 私がお邪魔虫みたいじゃない!」
「大丈夫だよゆうちゃん、そんなことないから。お兄ちゃんもちゃんと謝って」
「すんませんでした」
「素直でよろしい」
「ホント、双葉はイツキの扱い上手いわね。見習わなくちゃ」
「見習う前にはよ彼氏でも作れや」
そう言った瞬間、俺のつま先に衝撃が走った。声にもならない声を上げ、自分でもわかるくらい顔が間延びした。
「ふ、ふたばさん……足、足が痛いです……」
「じゃあ行こうかゆうちゃん」
「そうね、行きましょうか」
俺を置いて二人が行ってしまった。なんなんだよコイツらは、俺が知らないとこで結託しやがって。サダといいたっつんといい、なにを考えてるのかまったくわからん。
昇降口を出たところで双葉が右側から抱きついてきた。
「おいおいなんだよ、こんなところでイチャイチャしたいのか? 困っちゃうなーお兄ちゃん」
と、双葉の顔を見るが、その顔は笑っていなかった。
「フレイアさんに連絡した?」
血の気が引くようだった。
「忘れました」
「私が連絡してみたけど、フレイアさんちょっと怒ってたよ。あとで謝ってね」
「なにからなにまですまぬ……」
「二人でなに話してるわけ?」
左側から優帆が抱きついてくる。そのせいで腕に膨らみが当たっているのだ。いや、たまにはこういう約得もありだろう。うん、言わないでおこう。
そんな中で、男女でいながらほとんど会話をしないヤツがいる。そう、俺たちである。当然浮く。
「なあ」
「なによ」
「なぜ中庭なんですか優帆さん」
「天気が良かったから?」
「疑問符はいらんだろ。すごく居心地が悪いんですけど」
元々中庭ってのはリア充の領域なんだよ。アニメやマンガだって、中庭の描写ってのはリア充たちのもんなんだよ。
「そう、かな。私は居心地悪くないけど」
「ああ? こんなリア充の巣窟に放り込まれて、居心地いいわけねーだろ」
傍目から見ればコイツはギャルだし、リア充の群れにも慣れてるんだろう。しかし俺は慣れてないんだ。お前はいいだろうが結構キツイんだよこっちは。
「リア充リア充って、周りの人もアンタも同じ人間でしょうが。それに男女が二人でいるんだから、他人から見れば私たちだって似たようなもんでしょうが」
「それって俺とお前が恋人に見えるってこと」
「ま、まあ、そういうことになるわね」
あ、パンを食べる速度が上がった。
「んー!」と唸りながら勢いよくジュースを飲み始めた。喉に詰まったんだな。恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。
「お前は好きなやつに告白とかしないのか」
あ、今度はジュースを吹き出した。面白いヤツだ。見てるだけで飽きない。
「なに言ってんのよ急に!」
「いや、好きなヤツがいるなら早めに告白すべきでは、と思っただけだ。誰かに取られるかもしれんぞ」
「横から出てくるような女なんていないわよ」
「言い切るね。つまりあんまり人気があるようなタイプではない、か」
「知らないわよそんなこと」
「知らないってことはないだろ」
「いつも男とばっかりつるんでるから大丈夫なんじゃないの?」
「それならそれでさっさと告白したらいいのに。男とばっかりつるんでるようなの、告白したらホイホイついてくるだろうが。やりたい盛りの学生なんだし」
なにがやりたいのかは言わない。
でも、まだ学生と決まったわけではないのか。
「なんで付き合ってくれると思うのよ」
「そりゃ付き合うでしょ。女っ気もないような男なら」
「そうじゃなくて、ソイツがオッケーするかわかんないでしょってこと」
「いやだから、お前くらいの女なら男なんて簡単にひっかかるでしょうがってことだよ」
「それって、私の事褒めてくれてるの?」
「褒めてる、うちに入るんじゃないか?」
「なんで疑問形なのよ。ばかっ」
優帆が最後の一口を食べた。その速度はゆっくりで、なんだか安心した様子だった。
どうしてか、その姿を見て俺も安心した。
コロコロと表情が変わって、心情が行動に直結しているようだ。女らしくもあり、それがまた妙な愛らしさを生んでいる。
いやいや、俺はなにを考えてるんだ。コイツのことが愛らしいとか、一時の気の迷いであってもあり得ないだろう。
昼食が終わって授業が始まる。午後の授業だけはなんとか集中できたと思う。
サダとたっつんが先に帰ってしまった。なんか用事があるとか。俺をハブって用事とは、アイツらとは今度会議をせざるを得ないだろう。
「さて、帰るわよ」
「現れたな、怪人ボッチウーマン」
「マンじゃなくてちゃんとウーマンっていうところがなんかムカつく。それに私は好んで一人なの。ほら、行くわよ」
「もー、またそうやって袖掴むー」
カバンを持って教室を出た。周囲からの視線も若干痛い。
下駄箱に着くと、壁により掛かる双葉がいた。カバンを両手で持ち、太ももの前でパタパタとさせていた。
「なんだ双葉、誰かと約束でもあんのか」
「ううん、お兄ちゃんのこと待ってたの。一緒に帰ろうと思って」
「優帆も一緒だけど大丈夫か?」
「ちょっと! 私がお邪魔虫みたいじゃない!」
「大丈夫だよゆうちゃん、そんなことないから。お兄ちゃんもちゃんと謝って」
「すんませんでした」
「素直でよろしい」
「ホント、双葉はイツキの扱い上手いわね。見習わなくちゃ」
「見習う前にはよ彼氏でも作れや」
そう言った瞬間、俺のつま先に衝撃が走った。声にもならない声を上げ、自分でもわかるくらい顔が間延びした。
「ふ、ふたばさん……足、足が痛いです……」
「じゃあ行こうかゆうちゃん」
「そうね、行きましょうか」
俺を置いて二人が行ってしまった。なんなんだよコイツらは、俺が知らないとこで結託しやがって。サダといいたっつんといい、なにを考えてるのかまったくわからん。
昇降口を出たところで双葉が右側から抱きついてきた。
「おいおいなんだよ、こんなところでイチャイチャしたいのか? 困っちゃうなーお兄ちゃん」
と、双葉の顔を見るが、その顔は笑っていなかった。
「フレイアさんに連絡した?」
血の気が引くようだった。
「忘れました」
「私が連絡してみたけど、フレイアさんちょっと怒ってたよ。あとで謝ってね」
「なにからなにまですまぬ……」
「二人でなに話してるわけ?」
左側から優帆が抱きついてくる。そのせいで腕に膨らみが当たっているのだ。いや、たまにはこういう約得もありだろう。うん、言わないでおこう。
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