それでも俺は異世界転生を繰り返す
〈expiry point 2-Disaster Again〉 二話
今はそうだな、やっぱり双葉を助けることに全力を注ごう。ただし、フレイアのことも守りたい。双葉を助けて俺たち二人が死んだら本末転倒だ。
「もういいよー!」
「よっしゃー! ショータイムだー!」
よし、今はフレイアの身体を堪能しよう。いやらしい言い方だけど別にエロ目的はない。決してない。
ドアを開けると、白を基調にしたワンピース姿のフレイアがいた。所々にレースがあしらわれ、しかもそのレースは淡いピンク色。淡い水色のストールを羽織り、足元も同色のティーストラップのパンプス。全体的に柔らかい雰囲気を出してみた。
「どうだ、俺のコーディネートは」
「いや、ちょっと怖いくらいに可愛いなって思ってる」
「怖いってどういう意味だよ……」
「なんかこう、この世界のことはよくわからないけど、イツキの部屋って洒落っ気がないような気がする。服も。だからそんな人が選んだ服だとは思えなくて」
「褒めてんのか貶してんのかって言いたいところだが、お前の場合は完全に貶してるだろ」
「そんなことないって! 可愛いよ、すごく可愛い。ありがと、イツキ」
ストールを手に絡め、胸元を隠すような仕草をした。満面の笑みで礼を言われてしまうと、もうそれ以上の文句はでてこない。
視線を外して天井の隅を見た。恥ずかしくてこれ以上フレイアの姿を直視できない。
「よ、喜んでくれたみたいでよかった」
「で、どうなの?」
「どうなのって、なにが」
「イツキが「着て欲しい」と思って買ってきてくれたんでしょ? 感想とかあるでしょ?」
「かかかか感想? そそそそそうだな、似合ってると思うぞ」
「どういうふうに?」
「どどどどどういうふうにって言われても困るけど?」
「なんで疑問形かな……女の子はね、こういう時にちゃんと言ってくれないとそっぽ向いちゃうんだぞ?」
「ぐう……」
チラリとフレイアを見た。若干怒ってるような、眉間にシワを寄せてむくれてしまっている。
ツバを飲み込み、もう一度彼女へと視線を戻す。
「か、可愛い、よ」
「ホント?」
「本当です。すごく可愛いと思います」
「えへへ、やったー! これ持って帰れたらいいなー」
その場でクルクルと回るフレイア。身長が高くスタイルがいいため、着ているだけで様になる。けれどこうやって動き回っていると、まるで写真の中にいるはずのモデルが目の前にいるみたいな、そんな気分にさせられる。
「じゃあ、それは俺からのプレゼントだ。その代わり今日は頑張ってもらうぞ」
「わかってる。今日はこのままでいいかな?」
「いいと思うぞ。汚さないようにな」
「うぃうぃ」
フレイアも喜んでくれたし、俺もいいものが見れたし、これでちゃんと明日を迎えられれば最高だ。
その後、二人でカップ麺を食べて昼食を済ませた。非常に色気がない食事だが、俺が料理に疎いのと、なにがあってもすぐ動けるようにとこういう食事になってしまった。時間があればフレイアにはこっちの世界の料理もたくさん食べてもらいたいものだ。
午後一時過ぎ、双葉が帰ってきた。
フレイアにはベランダに出てもらった。外から敵が入ってきた場合にすぐ対処できるようにだ。それに外にいた方が結界を張りやすい。俺が双葉を彼女の部屋に誘導。それを確認してフレイアが双葉の部屋に結界を張る。同時に家や近隣の家にも結界を張り、そこそこ派手に立ち回っても大丈夫なようにしてもらう。
俺は双葉に張り付くつもりだ。妹の行動パターンならなんとなくわかる。双葉が外出していたのは、たぶんだが部活があったからだ。この時間に帰ってきたということは、友人たちとお昼を食べてきたはずだ。帰ってきて、シャワーを浴びて、それからはずっとリビングにいることが多い。宿題を持ち込んだり、お菓子を作ったり、ゲームをしたりしてる。自室に戻るのは夜になってからだ。
なぜ基本的にリビングにいるのか、前に聞いたことがある。その時は「今はお父さんもお母さんもいないでしょ? 誰かが来たら私が出なきゃいけないじゃない」と言っていた。本当によくできた妹だ。俺も見習おう。
そこで、優帆からクッキーの感想を送れという命令を思い出す。どこにやったかなーと、テーブルの上や勉強机の引き出しなどを捜索。そして制服のポケットからクッキーを発見した。それをポリポリと食べながら、一階に降りる準備をした。もちろん、半分はフレイアに上げた。物欲しそうな目で見られたらあげないわけにもいかないだろう。
「うん、お菓子づくりの腕だけはそこそこなんだよな、アイツ」
口いっぱいに広がるバターのいい匂い。それに若干バニラの匂いが混じっている。甘めに作ってあるんだろうけど、バニラエッセンスだけでなく、甘さの調整にバニラアイスでも使ってあるんじゃないかと思う。でもそのバニラの匂いがクッキーの甘さを殺していない。うん、結構好きかも。
俺も勉強道具と漫画とゲームを持って一階へ。
「あれ? 珍しいね、勉強なんて」
「珍しいってお前、俺だってやるときゃやるんだよ」
「んー、まあ確かに高校入る時は頑張ってたね。びっくりしたよ、あの時は」
それを言われるとちょっと恥ずかしい。
今行ってる高校は、当時の俺だと偏差値が足りなかった。それはもう足りなかった。が、友人に、優帆に、双葉に助けられてなんとか入学した。俺が三年、双葉が二年だというのに、俺よりも双葉の方が勉強が余裕でできた。むしろ双葉はもっといい高校に行かれただろうに。
「そういやお前さ、二年の時にもう高校決めてたよな」
ソファーに座り、テレビの電源を入れた。よくわからないサスペンス物のドラマがやっている。崖の上で犯人がどうとかって、今の時代にもあるんだなこんなシーン。
「うーん、お母さんとお父さんが出会った高校だから。私にも素敵な出会いがあるかなって」
「え? それだけ?」
「それだけだけど?」
「お、お兄ちゃんは認めないぞ!? クソみたいな男連れてきたら俺が追い出してやるからな!?」
「別にまだ誰かを好きになったわけじゃないから……」
「これから好きになる可能性があるのかー!」
「そりゃあると思うけど、それがいつかまでは私もわからないから、それまではお兄ちゃんが一番ってことにしといてあげる」
天使かな?
ここで「お父さんが一番、お兄ちゃんが二番」と言わないところが双葉らしい。
「もういいよー!」
「よっしゃー! ショータイムだー!」
よし、今はフレイアの身体を堪能しよう。いやらしい言い方だけど別にエロ目的はない。決してない。
ドアを開けると、白を基調にしたワンピース姿のフレイアがいた。所々にレースがあしらわれ、しかもそのレースは淡いピンク色。淡い水色のストールを羽織り、足元も同色のティーストラップのパンプス。全体的に柔らかい雰囲気を出してみた。
「どうだ、俺のコーディネートは」
「いや、ちょっと怖いくらいに可愛いなって思ってる」
「怖いってどういう意味だよ……」
「なんかこう、この世界のことはよくわからないけど、イツキの部屋って洒落っ気がないような気がする。服も。だからそんな人が選んだ服だとは思えなくて」
「褒めてんのか貶してんのかって言いたいところだが、お前の場合は完全に貶してるだろ」
「そんなことないって! 可愛いよ、すごく可愛い。ありがと、イツキ」
ストールを手に絡め、胸元を隠すような仕草をした。満面の笑みで礼を言われてしまうと、もうそれ以上の文句はでてこない。
視線を外して天井の隅を見た。恥ずかしくてこれ以上フレイアの姿を直視できない。
「よ、喜んでくれたみたいでよかった」
「で、どうなの?」
「どうなのって、なにが」
「イツキが「着て欲しい」と思って買ってきてくれたんでしょ? 感想とかあるでしょ?」
「かかかか感想? そそそそそうだな、似合ってると思うぞ」
「どういうふうに?」
「どどどどどういうふうにって言われても困るけど?」
「なんで疑問形かな……女の子はね、こういう時にちゃんと言ってくれないとそっぽ向いちゃうんだぞ?」
「ぐう……」
チラリとフレイアを見た。若干怒ってるような、眉間にシワを寄せてむくれてしまっている。
ツバを飲み込み、もう一度彼女へと視線を戻す。
「か、可愛い、よ」
「ホント?」
「本当です。すごく可愛いと思います」
「えへへ、やったー! これ持って帰れたらいいなー」
その場でクルクルと回るフレイア。身長が高くスタイルがいいため、着ているだけで様になる。けれどこうやって動き回っていると、まるで写真の中にいるはずのモデルが目の前にいるみたいな、そんな気分にさせられる。
「じゃあ、それは俺からのプレゼントだ。その代わり今日は頑張ってもらうぞ」
「わかってる。今日はこのままでいいかな?」
「いいと思うぞ。汚さないようにな」
「うぃうぃ」
フレイアも喜んでくれたし、俺もいいものが見れたし、これでちゃんと明日を迎えられれば最高だ。
その後、二人でカップ麺を食べて昼食を済ませた。非常に色気がない食事だが、俺が料理に疎いのと、なにがあってもすぐ動けるようにとこういう食事になってしまった。時間があればフレイアにはこっちの世界の料理もたくさん食べてもらいたいものだ。
午後一時過ぎ、双葉が帰ってきた。
フレイアにはベランダに出てもらった。外から敵が入ってきた場合にすぐ対処できるようにだ。それに外にいた方が結界を張りやすい。俺が双葉を彼女の部屋に誘導。それを確認してフレイアが双葉の部屋に結界を張る。同時に家や近隣の家にも結界を張り、そこそこ派手に立ち回っても大丈夫なようにしてもらう。
俺は双葉に張り付くつもりだ。妹の行動パターンならなんとなくわかる。双葉が外出していたのは、たぶんだが部活があったからだ。この時間に帰ってきたということは、友人たちとお昼を食べてきたはずだ。帰ってきて、シャワーを浴びて、それからはずっとリビングにいることが多い。宿題を持ち込んだり、お菓子を作ったり、ゲームをしたりしてる。自室に戻るのは夜になってからだ。
なぜ基本的にリビングにいるのか、前に聞いたことがある。その時は「今はお父さんもお母さんもいないでしょ? 誰かが来たら私が出なきゃいけないじゃない」と言っていた。本当によくできた妹だ。俺も見習おう。
そこで、優帆からクッキーの感想を送れという命令を思い出す。どこにやったかなーと、テーブルの上や勉強机の引き出しなどを捜索。そして制服のポケットからクッキーを発見した。それをポリポリと食べながら、一階に降りる準備をした。もちろん、半分はフレイアに上げた。物欲しそうな目で見られたらあげないわけにもいかないだろう。
「うん、お菓子づくりの腕だけはそこそこなんだよな、アイツ」
口いっぱいに広がるバターのいい匂い。それに若干バニラの匂いが混じっている。甘めに作ってあるんだろうけど、バニラエッセンスだけでなく、甘さの調整にバニラアイスでも使ってあるんじゃないかと思う。でもそのバニラの匂いがクッキーの甘さを殺していない。うん、結構好きかも。
俺も勉強道具と漫画とゲームを持って一階へ。
「あれ? 珍しいね、勉強なんて」
「珍しいってお前、俺だってやるときゃやるんだよ」
「んー、まあ確かに高校入る時は頑張ってたね。びっくりしたよ、あの時は」
それを言われるとちょっと恥ずかしい。
今行ってる高校は、当時の俺だと偏差値が足りなかった。それはもう足りなかった。が、友人に、優帆に、双葉に助けられてなんとか入学した。俺が三年、双葉が二年だというのに、俺よりも双葉の方が勉強が余裕でできた。むしろ双葉はもっといい高校に行かれただろうに。
「そういやお前さ、二年の時にもう高校決めてたよな」
ソファーに座り、テレビの電源を入れた。よくわからないサスペンス物のドラマがやっている。崖の上で犯人がどうとかって、今の時代にもあるんだなこんなシーン。
「うーん、お母さんとお父さんが出会った高校だから。私にも素敵な出会いがあるかなって」
「え? それだけ?」
「それだけだけど?」
「お、お兄ちゃんは認めないぞ!? クソみたいな男連れてきたら俺が追い出してやるからな!?」
「別にまだ誰かを好きになったわけじゃないから……」
「これから好きになる可能性があるのかー!」
「そりゃあると思うけど、それがいつかまでは私もわからないから、それまではお兄ちゃんが一番ってことにしといてあげる」
天使かな?
ここで「お父さんが一番、お兄ちゃんが二番」と言わないところが双葉らしい。
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