少女と蛇神様

黒猫

龍神

「おーい!!りゅうくーん!!」ふくが空に向かって叫んだ。



数時間前.......
「じゃあちもちゃん!!りゅう君の所行こ!!」ふくがちもにそう言って歩き出した。
「.......あの…すぅさん…ふくの言っているりゅうさんって誰の事何ですか?」ちもが遠慮がちに蛇神に聞いた。
「ん?ああ、ここが高天原って事はふくに聞いて知ってるだろ?人間達が言ってる所じゃなくてもう1つ一番上に本当の神様達が居るんだよ。んでもってここには半人前の神様が沢山居るから問題が起きないように見守る神様が必要だろ?だからここには俺達をふくめた1人前の神様が4〜5人配属されているんだよ。」蛇神がちもに説明した。
「そうなんですか…教えて下さってありがとうございます。」ちもは蛇神にお礼を言うと考え始めた。
(だとしたら…蛇神様は恐らく高天原じゃない何処かかここにいる1人前の神様達の中に居るっていうことか…)ふくの声でちもは現実に戻ってきた。
「ちもちゃんはーやーくー!!置いてっちゃうよー!!」「ふくが早すぎるんだよ!!飛んでるし!!」ちもがふくに言うと、「…?…あっそっか!人間は飛べないんだった…あっすぅ君もか。」ふくがそう言いながら地面に降りた。
「でももうついたよちもちゃん。」ふくはそう言うと、空に向かって叫んだ。
「おーい!!りゅうくーん!!」ふくが空に向かって叫ぶと龍が空から降りてきた。
(龍…神たしか龍神と蛇神様は対になる存在だったはずなら…蛇神様は必ず高天原に居る!!)そうちもが考えていると龍神は地上に降り立った途端蛇神と同じ年の青年に変わった。
「なんだよふく…せっかく人が気持ちよく寝てたって言うのに。」龍神は機嫌が悪そうに言った。
「ごめんね、りゅう君。ちもちゃんの事紹介しておきたくて。」そうふくは言うとちもの事を手短に龍神に紹介した。
(龍神がいるなら近くに蛇神様も居るのかな…いたら…いたら…どうしよ…いや、でもそもそも神様って殺せるのか?!いやでも…訓練とか受けたし…うーんなにか大切な事を忘れているような…忘れていないような…なんだろ…この不思議な感覚…忘れちゃいけない何かを忘れているような…何か大切な…)「も…ちも!!大丈夫か?」ちもが考え込んでいると蛇神がちもの目を覗き込んだ。
「ふえっ…あ…はい大丈夫です…」ちもがそう言うと、蛇神は安心したような顔をした。
「ちもちゃん…ちーちゃん…ちもちゃん!!」ふくがちもに呼びかける。
「あっ…は…はい!!」びくっとしてちもが返事をした。
「ちもちゃんってどうして高天原に迷い込んだの?」ふくがちもに聞くとちもは首をかしげた。
「ええっと…(蛇神様殺しに来ましたなんて言えないよね…うーん)よく覚えてないんだ…その前のことはちゃんと覚えてるんだけど…」(適当にはぐらかして置いた方がいいよね…うっ…罪悪感がいやいやいやいやいやこれから神様殺すひとが何言ってんのさ!!しっかりしろ!!独無ちも!!)ちもがそう言うとふく達が少し困ったような顔をした。
「そっか…すぅ君ちょっと耳貸してちもちゃん達はそこで待っててね!!」そう言うとふくは蛇神を連れてその場を離れた。
「「………………………………………………」」ふく達がいなくなるとその場を沈黙が包んだ。
(龍神に蛇神様の事聞いてみようか…いやでも怪しまれたら後々面倒だし…どうしたものか…)そうちもが考え込んでいると龍神から声がかかった。
「なあ、独無ちも…」「あっ…ちもでいいです。えっと…」「じゃあ俺の事もりゅうで良い。」「あ…わかりました。りゅう…さん」「…なんかさん付けされんの歯がゆいからやめろ。」「え…じゃありゅう…様?」「…だから普通にりゅうで良いって…」「?…えっと…じゃありゅう…君…でいいですか?」「ああ、それでいい。」
ちもがくすりと笑った。
「?どうかしたのか?」「いえ、神様ってもっとこう偉そうなのかと思っていたのでさん付けで慣れていないなんて不思議だなあと思って。」「ふうん…まあ…どーでもいいけどな。」「あ、えっと…りゅう君…あの聞いてもいいですか?」「?ああ別にいいんじゃねーの」「えっと…りゅう君は蛇神様の事知ってますか?」「…んでだ…」「え…?」「何で人間のお前があいつのこと気にするんだよ」(…?若干キレてる?)「誰かが、ここに蛇神様を殺しに来た。と言ったら…りゅう君はどうしますか?もし…その人が蛇神様に家族を殺された人だとしたら…りゅう君は…どうしますか…」「…殺す…」「そうですか。」「何でだ?」「いえ、別に…何となく気になっただけですから…忘れてください。」「それがもしお前だとしたら、どうするんだ。」「…殺します…たとえどんな方法を使ったとしてもこの手を…血に染めることになったとしても…絶対に私は蛇神様を…」チュッ「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」龍神がちもにキスをした。「…お前が俺の立場だったらどうする?」「……バシッ…命令は遂行します。でも蛇神様をまもろうとは思いません。時と場合によります。」「ふーん…まあいいか。そろそろあいつら帰ってくるぞ。」(……なんだかはぐらかされた気分…)ズガン…「…え?ええええええええ!!ふく何やってるの?!」ふくが龍神にドロップキックをかまして卍固めをかけていた。
「???」「おーい大丈夫か?ちも。」後から走ってきた蛇神がちもに聞いた。
「え?あ、はい大丈夫です。」「大丈夫じゃないよ!!すぅ君!!りゅう君ってばちもちゃんにキスしたんだよ!!」ふくが叫ぶ。
「…」「え…おいすぅ…」「…」「いや何黙ってんだよこええよ。」「…」蛇神が龍神を殴ろうとしたのでちもはあいだに割って入った。
「ちょ…ストップです2人とも!!りゅう君死んじゃいますよ!!」「…良いのよちもちゃん…こいつは1度地獄に落ちた方が身のためだわ。」「ふく怖い事言わないで!!」「指詰める覚悟くらいは出来てんだろうなありゅう。」「ちょ…」「そうだよ、ちもちゃんの唇を奪ったからにはいくらりゅう君だろうと1日地獄に落ちた方が良いよ。」「2人とも…」「閻魔様に舌を抜かれてしまいなさい!!」「……人の話を…聞けー!!!!!!」ちもは蛇神にアッパーカットを食らわせふくはみぞおちを殴った。
「「うぐっな…何で…」」「2人とも人の話を聞かないからです!!反省しなさい!!」ちもはそう言って2人が回復するまで待ったあと家に帰っていった。



「…なあ、蛇神よ…お前が人間に恋なんてしないように細心を払ってたつもりだったんだけど…あれは無理だわ俺でも惚れる」そう言うと龍神は何故かちもの笑顔を思い出して顔を真っ赤にした。
「あーこりゃ俺もちもに惚れたな……長老になんて報告すればいいんだ…」1人龍神は頭を抱えた。

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コメント

  • 病んでる砂糖

    更新ありがとうございます、最近見始めたのですが、凄く面白いです!りゅうくんが何気に好きです

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