クラス転移したからクラスの奴に復讐します

Wrath

通学路にて

あれからまた一週間経って、今日は俺たちが通うことになる王立シルフレール学園の入学式だ。
正直言って最近になるまでこの学校の名前すら知らなかった。
知ったのはこの学園の制服が届いた時についていた学生証を見てやっとわかったのだ。

「ミリーナ。もう行くぞ」
「分かった」

あれからミリーナは俺に対して敬語をやめて普通に話せるようになった。
俺は変身を使ってミリーナに触れて学園の近くの人が寄り付かない路地裏に転移して学園に向かった。のだが……。

「このクソ尼がー!!」
「 ︎ミリーナ」
「うん。行ってみよ」

女性の悲鳴が聞こえミリーナに確認を取ったあと二人でそこに向かった。そこでは3人組の男とひ弱そうな女の子がいた。そして、その女の子は俺たちとおんなじ制服だった。

「どうしてくれんだよこれ。さっき新品を新調したばっかなんだぞ」

ニヤニヤ笑っている男が指差すところには何かがべっとりとついた軽く洗って整備しただけの古びた防具があった。明らかに新品とは嘘だとわかる。

「で、ですが、ぶつかって来たのはそちらで」

女の子はしどろもどろになりながらそう言っているがそんなの御構い無しに男は女の子に近寄った。

「そんなの知るか。お前、シルフレール学園のお嬢様なんだろ。だったら新しい防具を見繕ってくれるよなぁ。それができなかったらもう体で払ってもらうぜ」
「わ、私、平民出身で。お金が無くて。か、体を売ることもで、できません」

彼女はそう言って逃げようとするが残りの二人が退路を遮断し女の子を引っ叩いた。そして、転んだ女の子をまた違う取り巻きが引っ叩いて恐喝してる。女の子の顔にはいくつもの打撲や切り傷ができ泣きながら助けを叫んでいる。
周りの野次馬はそれを面白そうに見て、たまに助けに入ろうとする奴がいるが男の威圧に押されて誰も助けようとはしなかった。
俺はその光景に嫌気がさした。

「この街の奴はクズしかいないのか」

俺は街の人に怒りを覚え、いつのまにか口調を変えて殺気を女の子とミリーナ以外に放っていた。
すると男どもと街の人は全員白目をむいて泡を吹いて倒れ込んだ。

「ひっく、ひっく、あ、あれ」
「アスト、やりすぎだよ」
「ごめん。これからは気をつけるよ」

俺は口調を戻しミリーナにそう言って女の子に近寄った。

「すぐに回復してあげるよ『ハイヒール』」
「き、傷が。あ、ありがとうございます」
「気にしないで。女の子の顔に傷なんて似合わないしね」
「あ、ありがとう…ございます」

俺がそういうと女の子は顔を赤らめて下を向いてしまった。ミリーナは後ろで呆れている。俺、何かしただろうか。

「まぁいいや。とりあえず学校行かないとね。君も一緒に来る」
「は、はい」

そして俺は街の人に範囲版のヒール『キュアヒール』をミリーナに言われて仕方なくかけて回復させた後学校に向かった。 

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