告白

「あ、あの！。わ、私。アストさんに一目惚れしました！。もしよかったら、け、結婚を、ぜ、前提に、か、駆け落ちをしてください！」

そう言って俺に頭を下げた。

「…………えっ　︎」

俺はその言葉を聞いた瞬間、素っ頓狂な声を出して固まってしまった。

「いや、ちょっと待って。なんで俺と？」
「だからその～、私を救っていただいた時にアストさんがカッコよくてそれで一目惚れしました。どうせならあなたと一緒に居たいのです」

えーっと。これってどういう状況だ？。
目の前には顔を真っ赤にしているミリーナがいて隣には俺に無言の威圧を与えて来る国王がいる。
俺に何をしろと言うんだ。いやまぁ分かってるけどね。

「ふぅ～。まずは俺の話をしなくちゃいけないな。それから俺とどうしたいか決めてくれるか？」
「は、はい！。私はアストさんがどんな人でもこの想いは傾きませんよ」
「そうか、ありがとな。じゃあ話すぞ。俺は今回帝国に召喚された勇者の一人だ」

二人は俺のその言葉に目を見開いていた。多分、俺のことを帝国の諜報員とかって思ってんだろうな。いや、勇者を諜報員にすることはまずないか。

「だが、俺は国王の罠には引っかからない。ステータスを隠蔽して逃げてきた。その途中に殺されかけもしたが返り討ちにしてやった」

俺がそう言うと二人は安心していたが重要なのはここからだ。てか、なにに安心してんだ？。

「俺が逃げたのは国王から逃げることもあるがもう一つある。それは俺と一緒に召喚された奴らに復讐するためだ」

国王はさっき言ったから別にそこまで反応はしてないがミリーナは初耳だったからか凄い悲しそうな表情になった。

「どうして復讐なんか」
「そんなの簡単だ。前の世界で俺はアイツらに死ぬほど苦しいことをされて来た。反撃をしようにもその時の俺には力がなかった。でも、この世界に来る時、ある人達が俺に稽古をつけてくれた。復讐するための力をくれたんだ。それで俺はアイツらの誰よりも強くなった。だから俺はアイツらに復讐をするって決めたんだ」

俺がその言葉を言い終わった後、ミリーナが泣いていた。

「ど、どうしてミリーナが泣いてるんだ」
「だって、だって悲しいじゃないですか。復讐のために戦って何があるんですか」
「……何もない。ただ憎くて憎くて……復讐をするだけだ」
「でしたら……でしたら私があなたの支えになります。あなたの心を私が癒します。だから、復讐なんてやめてください」
「ミリーナ……すまない。これは俺の問題だ。最後までケジメをつけさせてくれ」
「アストさん……分かりました。でも、私もお手伝いをします」
「…………なぜ君は、そこまでしてくれるんだ」
「そんなの決まってますよ。あなたが好きだからです」

俺はその言葉を聞いた瞬間、何かが崩れた。そして俺の頬に一筋の光が走った。

「ありがとう。ありがとうミリーナ」
「いえいえ。アストさんが今まで一人で溜め込んだものをこれからは二人で解決していきましょう」
「ああ、そうだな。じゃあ国王。お前の娘さんを俺にくれないか」
「もともとそのつもりだ。ミリーナよ、お主はそれでいいんだな？」
「はい！。お父様、私はアストさんと一緒に居たいです」
「そういうことだアスト。少し迷惑になるかもしれないが一緒に居てやってほしい。」
「迷惑ってのは駆け落ちとか言うやつか？」
「ああ。ちょっとピッグ侯爵とトラブルがあってな」
「そうなのか。……その話、聞かせてくれないか？」
「ああ、儂もそのそのつもりだった」

この時の俺は、ミリーナの秘密の重要性を知ることになるとは一片たりとも思ってもいなかったのであった。