廃クラさんが通る

おまえ

024 裸の付き合い

 ごし、ごし、ごし……。 ジャージを脱ぎ体操着に短パン姿の俺はデッキブラシを使い風呂場の床を掃除している。 風呂場はこの前掃除に来た半年前に使用して以来特に汚れた様子はないのだが一応全体をくまなく掃除する。 半年間放置していたので蜘蛛の巣が張っていたりもしていた。 閉め切っているはずなのにどこから入ったものだろう? としばらく疑問に思っていたが、何気なく上を見上げたときに換気口があったのでなるほどそこから入ったんだろうなと納得した。 シャワーを手に取ると反対の手で蛇口を捻る。 しゃああああ……と、温度を調整しつつ水をまく。 しばらくすると床にまかれた水から湯気が立ち上ってきた。 俺もシャワーに手をかざし直に触って確認すと…。うん、ちゃんと温かいお湯が出ているようだ。 特に汚れていたわけでもないし綺麗になったかどうかもわからないがこんなものだろう。 次に壁のタイルをスポンジで掃除する。 デッキブラシは体重をかけるだけでそれなりに床を強くこすることが出来たが、壁のタイルを磨くには力を込めないといけないから骨が折れる。 目地に所々黒い汚れのようなものがあるのだが、カビの根が侵食しきっているものだろうと思うので今更落とせるものなのかもどうかも怪しい。 こういうものは落とそうとしても無理だ。 前にも落とそうと格闘したこともあるがそれは無駄な努力に終わった。 こういうカビや手の届かない上の方までは無理として手の届く範囲内のタイルを磨き上げる。 半年前にも掃除して以来使用してはいないんだし、タイル自体は見た目にも汚れているところは見当たらないんだからそれほど念入りにやらなくてもいいだろう。 最後に浴槽の掃除だ。 俺は浴槽の中に入り内側をスポンジで磨き上げる。 ここも見た目は汚れていないんだし洗剤を軽くまき全体を軽くこすったところでシャワーで洗い流す。 よし、掃除は完了。 後は湯を溜めて頃合いになったらジルを呼んで風呂に入らせよう。 こんな狭い浴室でも全体を掃除をするのは重労働だ。 体操着がびっしょりになってしまったが、掃除をする際にシャワーの水を浴びたからだけではない。 俺が汗をかいたからだ。 湯が張れるまで10分くらいかな? 汗もかいたことだしその間に俺もシャワーくらい浴びとくか。 俺は一旦浴室から出ると着ているものを脱ぎ脱衣所の籠に入れる。 再び浴室に戻りシャワーを手に取り蛇口を捻り温水を浴びる。 労働した後のシャワーは気持ちが良い。 最近こんな感覚は味わったことがなかったな。 部活動もしていない俺は体を動かすのは体育の時くらいだしその後にシャワーを浴びたりはないし。
「スカイー。草全部ゴミ袋に入れたし地面も平らにしといたよ」
 扉の外からジルの声が聞こえる。
「ありがとう、ジル。今浴槽にお湯張ってて、俺もシャワー浴びてるからもうちょっと待ってて」「うん、わかった」
 浴槽を確認するとまだ半分も湯が溜まっていない。 ――もうちょっとシャワー浴びてても大丈夫だな。 てかちゃんと体も洗っておくか。 俺は垢擦りタオルを手に取りボディソープを少量垂らして泡立てる。 十分泡だったことを確認すると俺はそれで体をこする。
「あー、スカイさっきお風呂狭いって言ってたけどこの大きさだとうちと一緒に入れないね」「うん、ジル体大きいから。普通の人なら向かい合わせでなんとか二人くらい一緒には入れるんだけど……」
 ……って? なんでジルの声? なんで風呂の大きさがわかるの? ってか声が近いし浴室に反響している!? 俺は勢いよく振り返る。
「ッッッッ!!!!!」
<a href="//24076.mitemin.net/i302772/" target="_blank"><img src="//24076.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i302772/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
 俺は目の前のありえない光景に驚きのあまり大声を出しそうになったが必死に堪えた。 俺の視線の上にはジルの笑顔。 そしてその笑顔の下には何ひとつ身につけてはいない。 そう、全裸だ。 服の上からでも巨大におおきく見えたその胸は、何も覆うものがなくなった現在いま、圧倒的な存在感を示しつつ俺の目に飛び込んできた。 巨大でおおきくはあるが一分の無駄のないそれは、重力にも負けずにわずかに外側と上を向いた綺麗な円形を保っている。 その褐色の中央部には今まで見ることのできなかった綺麗なピンク色。 巨大おおきな胸の中央にありながら、大きすぎず小さすぎず絶妙なバランスでその色の部分だけぷっくりとわずかに盛り上がり、さらにその中央にはかわいらしい突起がツンと上を向いていた。 俺は視線を下に落とす。 ……色がちょっと濃い。 ジルの髪は綺麗な金髪ブロンドなのにここ・・はそれよりも色が濃い茶色ブラウンだ。 いや、それよりもこの・・部分、周りの肌が白い。 下着ぱんつか水着の形にその部分だけ白くなっている。 しかもこの部分、必要最低限なだけのずいぶんと面積の小さいきわどい形だし、横は多分紐かなにかでものすごく細い。 そんなことは置いておいて、そうか、ジルのこの褐色の肌は元々のものではなく日焼けによるものだったんだな。 そういえばそうだよな。 スティーブさんは普通に色の白い白人の人だったし、母親も日本人とか言ってたっけか。 でも下に日焼け跡があるのにうえにないのはどういうことだ? まさかトップレスで日焼けをしたってことなのか? しかし局部パーツだけ見ても規格外のジルなのだが全体を見るとさらにそれが際立っている。 大きな体なのに全体のバランスが一切崩れてはいない。 そこらのグラビアアイドルが裸足で逃げ出し、鼻で笑われるような見事な肢体プロポーションだ。 おそらく海の向こうの本場の女優プレイメイトにだって負けてはいないだろう。
「お風呂、入ってもええのかな?」
 笑顔で俺に聞くジル。 自分が裸だと言うことをまったく意識しておらず、いかにも普段俺と接するように、なにひとつ、いつもとまったく変わらない様子で。
「え、え、え~と。入るにはまだちょっとお湯が少ないかも……」
 俺は釘付けでそらすことの出来なかった目を浴槽に移す。 そして高鳴る心臓を押さえつつ息を整え、自分に言い聞かせる。
「冷静になれ」
 と。 そう必死に自分に言い聞かせ、頭に昇る血の気を無理矢理押さえつけると、血の流れが頭とは逆方向へ流れ込む感覚に気づいた。
「ッッ!!」
 そうだ! 俺も全裸なんだ! 俺はソレが怒張しきおおきくなる前にタオルで必死に前を隠す。 ジルが普段と全く変わらない様子なのに普段とは違ういきりたったソレを見せることなんて出来はしない。 そもそも普段の姿ソレすら見せたことはないっていうのに……。 タオルで隠す前でも泡で隠れていたからジルからは見えなかったはず……だと思う。
「大丈夫だよ、このくらいでも。うち体大きいから少なくても平気やし、入ってる間もお湯出してればええから」
 ジルは浴槽の手前の縁と向こう側の縁にそれぞれ手をかけ、俺とは背を向ける形で前屈みとなる。
「ッッッッ!!!!!」
 ジルの尻が俺の前へと突き出される。 お尻ヒップも非常に形が良い。 適度な大きさ、丁度良い肉付きで綺麗な円を描いており、乳房と同じくやはりやや上を向いていた。 そして手前の縁をまたぐためにジルが片足を
「よいしょ」
 と上げると……
「ぶはっっ!!」
 ……見えてしまった……。 ジルの中心部が……。 脚をあげて降ろし、もう片方の脚をあげて降ろすまでの間、ものすごく短い間だったが、その時間は永遠に感じられるほど、俺にとってはその一瞬が激しく目に焼き付いた。
「ねーねー、ほら、すっぽり。うちと丁度良い大きさだよ」
 浴槽に浸かりはしゃぐジル。 一人だと比較的ゆったりとしたスペースなのだが、確かにジルが入るとその隙間がなく丁度収まっている。
「う、うん、そうだね……」
 俺は前を隠しつつシャワーで体についた泡を流す。
「スカイも一緒に入れるんじゃない?」「いや、俺は無理でしょ?」「ほら、うちの上にのればええし、一緒に入ろうよ。スカイ」
 と、自分の腿の辺りを指差すジル。
「ッッ!! ……いや、俺もうあがるから」
 ……想像してしまった。 浴槽の中で裸のジルに裸の俺が乗っかり密着する姿を。 ジルに乗っかった俺はおそらくいつもの如く後ろからジルに抱きかかえられる形になるのであろう。 俺の肌とジルの肌が触れ合うということ、ジルのあの豊満な重量感ボリュームのある乳房に直に挟まれるということを想像してしまった俺はいよいよ正面の一部分が限界を迎えそうになる。
「あれ? スカイ、ひょこひょこ歩いてどこか痛いの?」
 前屈みになりタオルで股間を押さえ、ジルの言うように内股でひょこひょこと歩き浴室から出ようとする俺。
「い、痛くないよ。…い、いや、ちょっと痛いかな…? で、でも大丈夫だから。 ジルが気にするほどじゃないから……」
 かろうじて扉にたどり着きそれに手をかける。
「スカイ、これってどうやってお湯の温度上げるの?」「ぬるかった? その正面にある左側のレバー、それ捻ると温かいお湯が出るよ」「うん、わかった」
 俺は風呂場を出てようやく脱衣所にたどり着けた。 早くここを出ないと。 みんなに俺とジルが一緒に風呂場にいるこの場面を見つかったらやばいことになる。 特にお姉ちゃんに見つかったら大変だな……。
「あれ?」
 俺が体を拭いていると風呂場からジルの声。
「どうしたの?」「お尻、抜けない……」「え? ちょっと待って! ジル! 無理に抜こうとしないでね?」
 ジルが無理矢理力ずくで解決しようとしたら浴槽が壊れてしまうかもしれない。
「スカイー! 助けてー! 早くー!」「ジル! 待ってて、今みんな呼んでくるから! 絶対に動かないでね!」
 俺がジルを直接助けるわけにもいかない。 だってジルは裸なんだから。 そして俺も今、裸だ。 こんな状態でジルを助けている場面をみんなに見られたら……。 早く何か着て助けを呼びに行かないと……。

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