廃クラさんが通る
018 憧憬の対象
「で? このあと柏木んちの家族が誰か来るんだよね?」
放課後、パソコンを簡単に梱包し、柏木の家族がそれを引き取りに来校するのを生徒会室で待つ俺たち。
「う~んと、お父ちゃんに放課後に車で来て貰うように言ったんだけど…」
なら柏木を信じて待つか。 他のみんなは携帯電話をそれぞれ操作している。 真剣な目つきの長田さんと美麗さんはおそらくTFLOのアプリで市場を覗いているのであろう。 笑顔のジルはまたせかちゃんあたりでも見ているのかな?
「ぴろりん!」
と、長田さんの携帯電話が鳴る。 携帯電話を操作しその通知を確認する長田さん。
「柏木んちの家族がパソコン取りに来たって、ももちーから」「よ~し、これ持って行こう」
ジルが立ち上がる。
「長田さん、百川先生と連絡取り合ってるの?」「あくまで会長としてだから。メッセージが来たのも今回が初めてだし、個人的なやりとりをしたことはないよ」
そこは公私は分けてるんだな。 長田さんが私的な会話をするとしたら、あの先生とどんな会話をするのかも気になるけど。
教職員や来客者用の玄関まで来た俺たち。 パソコンを梱包した段ボール箱を抱えるジル。 それなりに重いはずだけど、ジルが持つとそれほど重量があるようには見えない。 玄関には百川先生と割烹着を着て大きなサングラスをかける女性。 麦わら帽子をかぶり長い茶髪を後ろで束ねている。 ……あれ? 柏木は「お父ちゃん」に頼んだとか言ってなかったっけ? 「お母ちゃん」の方なのかな? 俺たちに気づくその女性と百川先生。
「ちょっ! 姉ちゃん! なんで来たの?」
柏木が驚きの声を上げてその女性に近寄る。
「あん? アタシが来たら何かまずいことでもあるん?」
ちょっとドスのきいた声で柏木に迫り、ヘッドロックをかける。
「…やばいって。バレたらどうするんだよ…」
小声でなにやら話す。
「…大丈夫だって。ほら、バレてねーべ?」
柏木にヘッドロックをかけたまま俺たちを見回すその女性。 それを呆気にとられキョトンと見つめる俺たち。 はっと気づき、柏木を解放すると
「失礼しました。柏木の姉です。この度はこの馬鹿のためにわざわざこんな大層なものを本当にありがとうございます。…ほら! あんたも頭を下げる!」
丁寧に頭を下げる女性と、その女性に頭を押さえつけられて無理矢理頭を下げさせられる柏木。
「いえ、もともと捨てるものでしたので、むしろ引き取っていただけてありがたいくらいです」
女性に答える美麗さん。 さらにパソコンをいじくることもできたし、美麗さんとしてはそっちの方が大きなポイントなんだろうけど。
「あなたが会長の長田さんですね? こんな馬鹿ですが、どうぞこき使ってやってください」
美麗さんの手をとる女性。
「いや、私は副会長だ。会長はこっちの…」
と困った顔で長田さんの方を見る。 長田さんは目と口を大きく開いてなにやら驚いた表情をしている。
「ごめんなさい! 大変失礼をしました! 私はてっきり…」
美麗さんから手を離すと、隣の長田さんの手をとる
「~~~~~ッ!!」
長田さんは声にならない声を上げ、片手を口に当てる。 何かに驚いているようにも見えるけど…。
「あ、あの……」
長田さんが何かを言いかけると、女性が長田さんの耳元に口を寄せ何かを囁く。 すると、首をぶんぶんと縦に振って頷く長田さん。 なんだ? いったい何を言われたんだ? 長田さんはこの女性のことを何か知っていたりするのかな?
放課後、パソコンを簡単に梱包し、柏木の家族がそれを引き取りに来校するのを生徒会室で待つ俺たち。
「う~んと、お父ちゃんに放課後に車で来て貰うように言ったんだけど…」
なら柏木を信じて待つか。 他のみんなは携帯電話をそれぞれ操作している。 真剣な目つきの長田さんと美麗さんはおそらくTFLOのアプリで市場を覗いているのであろう。 笑顔のジルはまたせかちゃんあたりでも見ているのかな?
「ぴろりん!」
と、長田さんの携帯電話が鳴る。 携帯電話を操作しその通知を確認する長田さん。
「柏木んちの家族がパソコン取りに来たって、ももちーから」「よ~し、これ持って行こう」
ジルが立ち上がる。
「長田さん、百川先生と連絡取り合ってるの?」「あくまで会長としてだから。メッセージが来たのも今回が初めてだし、個人的なやりとりをしたことはないよ」
そこは公私は分けてるんだな。 長田さんが私的な会話をするとしたら、あの先生とどんな会話をするのかも気になるけど。
教職員や来客者用の玄関まで来た俺たち。 パソコンを梱包した段ボール箱を抱えるジル。 それなりに重いはずだけど、ジルが持つとそれほど重量があるようには見えない。 玄関には百川先生と割烹着を着て大きなサングラスをかける女性。 麦わら帽子をかぶり長い茶髪を後ろで束ねている。 ……あれ? 柏木は「お父ちゃん」に頼んだとか言ってなかったっけ? 「お母ちゃん」の方なのかな? 俺たちに気づくその女性と百川先生。
「ちょっ! 姉ちゃん! なんで来たの?」
柏木が驚きの声を上げてその女性に近寄る。
「あん? アタシが来たら何かまずいことでもあるん?」
ちょっとドスのきいた声で柏木に迫り、ヘッドロックをかける。
「…やばいって。バレたらどうするんだよ…」
小声でなにやら話す。
「…大丈夫だって。ほら、バレてねーべ?」
柏木にヘッドロックをかけたまま俺たちを見回すその女性。 それを呆気にとられキョトンと見つめる俺たち。 はっと気づき、柏木を解放すると
「失礼しました。柏木の姉です。この度はこの馬鹿のためにわざわざこんな大層なものを本当にありがとうございます。…ほら! あんたも頭を下げる!」
丁寧に頭を下げる女性と、その女性に頭を押さえつけられて無理矢理頭を下げさせられる柏木。
「いえ、もともと捨てるものでしたので、むしろ引き取っていただけてありがたいくらいです」
女性に答える美麗さん。 さらにパソコンをいじくることもできたし、美麗さんとしてはそっちの方が大きなポイントなんだろうけど。
「あなたが会長の長田さんですね? こんな馬鹿ですが、どうぞこき使ってやってください」
美麗さんの手をとる女性。
「いや、私は副会長だ。会長はこっちの…」
と困った顔で長田さんの方を見る。 長田さんは目と口を大きく開いてなにやら驚いた表情をしている。
「ごめんなさい! 大変失礼をしました! 私はてっきり…」
美麗さんから手を離すと、隣の長田さんの手をとる
「~~~~~ッ!!」
長田さんは声にならない声を上げ、片手を口に当てる。 何かに驚いているようにも見えるけど…。
「あ、あの……」
長田さんが何かを言いかけると、女性が長田さんの耳元に口を寄せ何かを囁く。 すると、首をぶんぶんと縦に振って頷く長田さん。 なんだ? いったい何を言われたんだ? 長田さんはこの女性のことを何か知っていたりするのかな?
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