廃クラさんが通る
011 黒い閃光
「……なんということだ……まさかこんなことになろうとは……」「……どーすんの? これ?」「……」「う~ん……」「え? なに? どうして? 俺のパソコン……」
頭を抱える美麗さん。 呆れ果てる長田さん。 目の前の状況が飲み込めず思考停止する俺。 大きな胸ごと腕を抱え考え込むジル。 ……
俺たちはジャンクのグラボとメモリを買い、生徒会室に戻るとパソコンにそれを組み込んだ。 そして、そのパソコンに電源を入れたところ、「ぴこっ」という起動音とファンが回る音がしたかと思った後に「ぷしゅん」とすぐさま停止、その後いくらスイッチを押してもうんともすんとも言わないのだ。
「やっぱり俺のせい? 俺が選んだジャンクのグラボがいけなかったのかも……」「俺のパソコン……」「ああ、そうだろうな……いや! お前は悪くはない! たとえ仮にそうであったとしても、それを提案したのは私だ。責任があるとしたら私だ……」「俺の一万円……」「そうだよ、気にすることないよ。もともとこのパソコンは廃棄になる予定だったんだから、結局はこうなる運命だったんよ……」「俺のお金……」「ありがとう二人とも。そうだね、きっと寿命だったんだね。このパソコンも俺たち〝四人〟に看取られて天寿を全うできたんだからきっと幸せだったよね?」「……四人? え~と……? 俺は入ってるの……?」「そうだ、このパソコンは幸せ者だ。笑って送り出してやろうではないか」
美麗さんが顔を上げ提案する。
「うん、そうだね!」
俺はそれに賛同すると
「わっはっは」
と俺たちは一斉に笑う。
「俺のだから……俺のパソコンだから……直すのにお金を出したのも俺だから……」
何だろう? 俺たちの周りをさっきから目障りなものがちょろちょろとしている気がするけどたぶんきっと気のせいだ。
「う~ん……斜め45度……いや、60度くらい? こんな感じで……」
ジルが真剣な表情で何かを呟きつつ、指を真っ直ぐに揃えて二度、三度軽く腕を振っている。
「ちょっとそこどいて」「え? 何するの?」
ジルが俺たちを押しのけてパソコンの前で片膝をつく。 パソコン上面と側面の交わる角に手をあてると、それをゆっくりと上にあげる。
「はああぁぁぁ……」
と気合いを込め
「…」
一瞬息を止める。
「はっ!」
素早く手を振り下ろすと「たんっ」という音を残し、振り下ろす前の位置に手を戻す。
「ジル……叩いて直すっていつの時代の電化製品なんよ。そんなんで直るわけが……」
長田さんの文句を気にせずジルはパソコンのスイッチを入れと
「ぴこっ」
と起動音の後「ぶうぅーん」とファンが回る音が静かに響きわたる。
「えええ~~~!!!」「まじか…」「なん…だと…」
俺たちはそれに吃驚仰天。 なんという昭和時代的な修理方法。
「ね?」
こちらを向きにっこり微笑むジル。
「ありがとう、ジルちゃーん!」
と柏木がジルに抱きつこうとすると「ぶんっ」と豪快に投げられる。
「だんっ!」
と床に打ち付けられる柏木。 でも顔は笑顔だ。 パソコンを見ると上面端っこの角がちょっと凹んでる。 凹んでるといってもその部分を中心にひしゃげているとかではなく、手の側面の形のまま、その部分一点だけの痕となっていて、よく見るとわずかに煙が出ている。
「よかったね、柏木」
ジルのこの手刀を食らっていたら多分命はなかったよ?
頭を抱える美麗さん。 呆れ果てる長田さん。 目の前の状況が飲み込めず思考停止する俺。 大きな胸ごと腕を抱え考え込むジル。 ……
俺たちはジャンクのグラボとメモリを買い、生徒会室に戻るとパソコンにそれを組み込んだ。 そして、そのパソコンに電源を入れたところ、「ぴこっ」という起動音とファンが回る音がしたかと思った後に「ぷしゅん」とすぐさま停止、その後いくらスイッチを押してもうんともすんとも言わないのだ。
「やっぱり俺のせい? 俺が選んだジャンクのグラボがいけなかったのかも……」「俺のパソコン……」「ああ、そうだろうな……いや! お前は悪くはない! たとえ仮にそうであったとしても、それを提案したのは私だ。責任があるとしたら私だ……」「俺の一万円……」「そうだよ、気にすることないよ。もともとこのパソコンは廃棄になる予定だったんだから、結局はこうなる運命だったんよ……」「俺のお金……」「ありがとう二人とも。そうだね、きっと寿命だったんだね。このパソコンも俺たち〝四人〟に看取られて天寿を全うできたんだからきっと幸せだったよね?」「……四人? え~と……? 俺は入ってるの……?」「そうだ、このパソコンは幸せ者だ。笑って送り出してやろうではないか」
美麗さんが顔を上げ提案する。
「うん、そうだね!」
俺はそれに賛同すると
「わっはっは」
と俺たちは一斉に笑う。
「俺のだから……俺のパソコンだから……直すのにお金を出したのも俺だから……」
何だろう? 俺たちの周りをさっきから目障りなものがちょろちょろとしている気がするけどたぶんきっと気のせいだ。
「う~ん……斜め45度……いや、60度くらい? こんな感じで……」
ジルが真剣な表情で何かを呟きつつ、指を真っ直ぐに揃えて二度、三度軽く腕を振っている。
「ちょっとそこどいて」「え? 何するの?」
ジルが俺たちを押しのけてパソコンの前で片膝をつく。 パソコン上面と側面の交わる角に手をあてると、それをゆっくりと上にあげる。
「はああぁぁぁ……」
と気合いを込め
「…」
一瞬息を止める。
「はっ!」
素早く手を振り下ろすと「たんっ」という音を残し、振り下ろす前の位置に手を戻す。
「ジル……叩いて直すっていつの時代の電化製品なんよ。そんなんで直るわけが……」
長田さんの文句を気にせずジルはパソコンのスイッチを入れと
「ぴこっ」
と起動音の後「ぶうぅーん」とファンが回る音が静かに響きわたる。
「えええ~~~!!!」「まじか…」「なん…だと…」
俺たちはそれに吃驚仰天。 なんという昭和時代的な修理方法。
「ね?」
こちらを向きにっこり微笑むジル。
「ありがとう、ジルちゃーん!」
と柏木がジルに抱きつこうとすると「ぶんっ」と豪快に投げられる。
「だんっ!」
と床に打ち付けられる柏木。 でも顔は笑顔だ。 パソコンを見ると上面端っこの角がちょっと凹んでる。 凹んでるといってもその部分を中心にひしゃげているとかではなく、手の側面の形のまま、その部分一点だけの痕となっていて、よく見るとわずかに煙が出ている。
「よかったね、柏木」
ジルのこの手刀を食らっていたら多分命はなかったよ?
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