異世界落ちたら古龍と邪龍の戦いに巻き込まれまして・・・

風音Second

第8話 ちょっとした確認(ミキの告白と陛下の推測)

ちょっとした確認(ミキの告白と陛下の推測)

はぁ、やっぱりか。さっきは、気のせいかと思ったけど。喜ぶべきか、焦るべきか…いや 焦ることはないって思うのだけど。うん、やっぱり増えてる。っていうか 元の数に戻ってるっていうべきか。

そう悩むミキの前には、おにぎりが ところ狭しと並べられている。その数20個。20個ものおにぎりを どうしたの?って話なのだが。それ以前に 20個のおにぎり 誰が 食べるんだよって話だね。

「てっきり時間停止の効果のある、言わば アイテムバッグ?とかと思ったのだけれどそうじゃないのかな。もしかして 状態保存効果が 付与されていたとかかなぁ。」
「はぁ、このおにぎり どうしよ?他にも 考えなくちゃいけないことあるのに、え~ぃ!ままよ」
そう独りごちると 机の上の おにぎりを ぽい ぽいと リュックに戻すミキであった。

「さて、まずは 紙と印刷の技術についてだよね」
紙の作り方とかは、オフラインでも使える百科事典をタブレットPCに 落としているのがあるし、確か「紙の博物館」に出かけたときのデータも残ってるはず。確か……
「あった、あった これで なんとか いけるかな?うーん、魔法と絡めれば、ひょっとして工程をいくつか簡略化できるかな…出来るかもしれないよね?」
あとは、印刷の技術の方だけれど、なんか錬金術とかで こう なんていうかサクサクっていうのないのかなぁ?せっかく魔法のある世界なんだから。って、まぁ こっちはもう少しけんとうしてみるかな。さてっと、そろそろ 母さんの・陛下の執務室へ行かなくちゃだね



ミキが、陛下の執務室へ入ったときには 既に クラリッサと宰相のガストールがなにやら 熱く語っている様子。

「陛下、みなさん お待たせしました。で、お二人は 何を熱く語らっていらっしゃるのです?」

「「聞いてくださいな」」

仲いいなぁ、このふたり、「聞きましょう」

「いえね、新しい知識・技術でもって この停滞した世界を少しでも動かそう、新しい風を呼び込もうって会議が これから始まる訳でしょう。で そのメンバーで 行う会議の名前?を 何にするかっていうことで 話し合っていたら ちょっと熱くなってしまったというわけですよ」とガストール

「えぇ、その通りでございます」

「かぁ・陛下」

「いや、なかなかに 面白いのでね。止めるのをためらってしまった」
「そろそろ、最後の一人が現れる頃合いだ」

「入ります、よろしいですか」

「うむ、入って参れ」
そう言いながら、ミキに目配せをするエリステル陛下。どうやら この会議の進行役をミキに任せるようである。

ミキは?と言えば、仕方ないねとでもいうように 肩をすくめて

「はい、それでは 第一回 夜明けの風会議を始めたいと思います、皆さま よろしいでしょうか。始めに この会議の名称は かぁ・うん 陛下と 明け方近くまで話し合ったことが きっかけでこの会議をもつようになりました。で 陛下と朝食を ご一緒したときに この会議、また推進していくメンバーについての呼称をどうするかという話になりまして 僭越ながら 『夜明けの風』と名付けさせていただきました。」

「「「夜明けの風」」」、「「「うん、いいんじゃないかな」かしら」」

「あれ、ちょっと待ってくださいよ、では わたしたちが どんな呼び名にしようかって…」

「うむ、既に 決まっておったぞ、あまりにも 二人の会話が 面白くてな、許せ」

「「はぁ~」」とため息をつく、ガストールとクラリッサであった。

「では、まず 皆にも ミキのリュックというそうだが その袋の中に入っておった本を見てもらおうではないか。ミキ、よいかな」

「はい、こちらに」
「それぞれ、種類は 違いますが どうぞ手にとってお確かめください。終わりましたら次の方と、取り替えてください」

……

「う~ん」
「これは これは」
「美味しそう、それに キレイ」

なんだか最後の人だけ違ってるような気が…ぶれない クラリッサである。

「これが、ミキの世界の書物か。紙の質といい 装丁の素晴らしさ。なんともいえんな」
「この絵がいっぱい載ってる本、風景とかお花とかあとミキさまの世界の食べ物でしょうか、とっても素敵です」
「ここに書かれているのは、文字なのか?そして この精緻な図。察するになにがしかの文献のような気もするのだが」

「そうですね。クラリッサさんが いま手にしてらっしゃるのは、タウン誌といいまして、毎月一回発行、出版されている庶民にも手が届きやすい本ですね。で、リョージュンさん、ガストールさんが 手にしておられるのは、教科書と呼ばれる学生が 使う書物となっております。」
「一般教養と申しまして、大学という教育機関にて 専門的な内容とそれ以外にも知識を身につけようということで 行われる授業の際に用いられます」

「「「その大学、という教育機関?それは いったいどういったものなの」か」かの」

ここで、ミキは エリステル陛下に話した内容を少し簡略化して説明したのだが…

「なんと都合、十二年学んで その後四年から六年も学ぶというのか?」

「いや、ちょっとまて」
「ミキ、君は 確か大学へ 通っていたという話であったよな」

「ええ、そうですが」

「で、小学校というのに通うのが早ければ六歳からで、通常は 七歳から通うのであったな。であれば…」
どうやら 他のみんなも気がついたようで

って、「「「ええぇぇぇぇぇ~」」」

「ふむ、お主 こちらへ来て三年経つのであったな。今年で いくつになるのじゃ」

「もとのままだと二十二になりますね。ですが こちらへ 来たときに どうもいろいろと不思議なことが 起きましたようで 十二歳の頃まで、若返っておりました。ですので いま現在の年齢はといいますと、十五歳となります。」

「なんと、ミキ。お主 どうして そのような大事を いままで申さなかったのじゃ」
「ミキさま…」
「「…」」男二人は、あんぐりと固まっている様子

「いえ、これといって不都合も感じませんでしたし…ただ」

「ただ?」

「えぇ、わたし十五の頃の身長と比べると いささか低くなっております」

「あぁ~、それはの。それはの ミキ」
「お主に使った竜の命玉のせいやもしれぬ、竜はのおよそ人の生からすれば 永遠のような時間を生きる生物じゃ。それぞれの個体で 成長のかたちに 違いはあるもののな。そうして 我ら古竜と呼ばれる個体には、およそ寿命というものが存在せぬのではとも言われておる。そんな古竜種の命玉を 取り込んだお主の事じゃ。只人とは、成長のかたちが違っていても 不思議ではないのじゃ」

「…もしかして 寿命の方も?」

「うーむ、こればかりは 何ともいえぬが」

「なるほど、そうですか。では 考えてもしようがありませんね」

「「「ながした」」」

「ミキ…」

「どうされました?考えてもしようのないことは、考えるだけ無駄です 取りあえず おいときましょう。さて 先ほどの話に 戻りましょう」

いろいろと脱線しながら 会議は踊…会議は 進むのでした。




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