異世界転生した私の話を聞いて貰っていいですか?

白黒にゃんこ

試験

食べた物を片付けて、書斎部屋に入る。

「さて、何から話そうか。」

「じゃあ、"試験"について聞きたいです。」

「そうだなぁ。うーん、どこから話せばいいのか・・・。」

カインさんは頭を抱え、唸っている。
シンさんは既に本を取り出していて、自分から説明する気は全然無いみたいだ。
そのまま本の内容に目を向け、面倒くさそうに言った。

「もう最初から全部話した方が良いんじゃない?」

「・・・それもそうだな。」

カインさんはコホンと一つ、咳払いをして説明を始めた。





まず試験って言うのは、筆記試験と実技試験に分かれてて・・・え、そこからじゃ無い?
痛っ!シン、叩くなよぉ、もー。

まぁ、何つーか、俺達は色んな事を学ぶ場所に居てな。
俺とシンはそこで出会ってなー。初めて会った時ー、って痛い痛い!マジ痛いから!!

分かった、分かった。真面目に説明するから、振り上げてるその本を下ろせ。頼む。
それで殴られたら俺死んじまうから。


えっと、さっき来てたオッサンが、その学ぶ所で結構偉い奴。
まぁ、ああいう奴ばっか居るから、あんま良い所とは言えないが・・・仕方ないからな。要は慣れだ。

そんで、試験!
これは今まで学んだ事の総仕上げと言うか、力試しと言うか・・・。
基本は指定された物の納品とか、お使いみたいな結構楽なのが多い。
でも、あの人の態度、見てたろ?

俺達を合格させる気なんて、全く無いんだ。

変な話になるんだが、俺達二人、問題児って奴でさ。いや、不真面目って訳じゃ無いぞ!・・・まぁ、この話は関係無いから置いといて。
俺達が気に食わない奴は、ああやって無理な事を押し付けて来る。
今回だってそうさ。合格させたく無いから、こんな・・・。

っと、弱気になったら駄目だな。うん。

試験内容は、「モンスター討伐」

俺達みたいな訓練生に、こんなのは普通回って来ない。
大体国の兵士とか、騎士とかがやる様なやつだ。


だって下手すりゃ死ぬし。

そんな事がありゃあ、学舎に批判非難殺到だ。


まぁつまり、そういう事だよ。
あわよくばモンスターを討伐。大方望まれてるのは、"戦死"だろうなー。

おっと、そんな顔すんなよー。
今の所は死ぬ予定ねーよ。
俺も、シンも、な。


んで、討伐するモンスターが・・・ほら、昼間に見たブンブン飛んでたやつ。

そうそう。
あれの親玉で、超デカイやつが今回の目標。
しかも、親玉は自分達が作った巣からは出てこないから、直接巣に行って討伐する必要がある。




どうだ、アイリ。

昼間のモンスターよりも大きい親玉を、たった二人で討伐、だぜ?
しかも、道中にはモンスターが沢山だ。


怖いだろ?

だからな、俺は話したく無かった。
元々、お前をこんな事に巻き込むつもりも無かったんだ。


今なら、まだ戻れる。


明日の朝、今日の事を全部忘れて帰るんだ。
今話した事も、俺達の事も、全部だ。
そうしたら何時も日常に帰れる。

あーっと、シアンさんの事は何とかなると思う。
あのおっさん、応援呼ぶって言ってたし。
探知魔法とか使える人を連れて来る筈だ。

孤児院の神父にも話をするだろうから、何か変な行動してたらすぐ分かるさ。


もし帰らないのなら、お前もそれ相応の"覚悟"が必要になる。
シアンさんを探したいって言うなら止めはしないが、常に危険が隣り合わせだ。
俺達が守ってやる事も出来ない。



だから、選んでくれ。




帰るのか、帰らないのか。




お前の選択で、俺も決心が着くよ。






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