ハルバード使いは異世界を謳歌するそうですよ

超究極キグルミ

24 拠点、機械兵器の話

「…ここがそうかな?」
「何というか…大きいですね」
「ここが私とムラちゃんとマスターのアワーベースになるんだね」

 式の翌日。宿に一枚の手紙が届いた。宛先はジャンヌダルク陛下からで、内容は「ちょうど余っている家があるのでぜひ使ってください」とのこと。早速ムラサキさんとアリスを誘って来てみた。ちなみにアリスは現在俺の借りている宿の同じ部屋の隅の方で寝ている。ベッドを貸そうかとも言ったが本人曰く「マスターが襲撃にあったら私がすぐに起きれないといけないから大丈夫」と言われた。…この辺の賊ならハルバードでワンパンだろうが。

「コウヨウさん、こんなお屋敷貰っていいんですかね?」

 貰った家はとてつもなく大きかった。規模としてはカグヤさんのお店と同じぐらいだろう。

「…断ったらジャンヌダルクさんに何言われるかわかったもんじゃないからありがたく貰おう」
「あ、あの時の…」
「二人とも何話してるのー?結婚の話?」
「いやいや、そんなわけないだろ?っていうかアリス、お前一応全部聞こえてただろ?」
「ばれた?」
「アリスさん!からかわないでください!」

 またいつもの茶番が始まった。これが始めると長くなる。

「ひとまず中を見てみましょう」
「はーい」

 無理矢理二人を止めて家に入る。

「…デカイ」
「内装まで豪華ですね、コウヨウさん」

 予想はしていたが内装も凄いことになっていた。

「マスター。この家凄いね。厨房もあるしリビングも広いし部屋が三つあるんだよ」
「早くね?どうやって知った?」
「秘密♪」
「じゃあ部屋割りするか」
「私、出来れば角部屋で」
「マスター、一番右の部屋がいい」

 なんか知らないうちにどんどん部屋が決まっていく。最終的には左から順にムラサキさん、俺 アリスの順だ。


「そういえばアリスって第壱号機だよな。カグヤさんの話だと全部で五台いるって聞いたけど…」
「あーその話カグヤから聞いたんだ。じゃあせっかくだし話しようかな。私達オリジナルの機械兵器の話とマスターを選んだ理由」

 今日の夕食を食べながらアリスは話始める。ちなみに今日の夕飯はキャベツみたいな食材で肉を巻いた料理だ。たまには野菜もね?

「まず世界戦争の話からしようかな。世界戦争はまぁ凄い戦いだった。何せこの世界全ての国が争ったわけだもん。事の発端はこの大陸の最南端にあるガルピポっていう村だったんだよ」
「村?」
「そう。ある日ガルピポ村に不思議な子供が産まれたんだって。その子の目を見ると何故か戦いたくてしょうがなくなるらしくて…」
「…それが伝染していって世界戦争って訳か」
「平たく言えばそう。で、私達機械兵器はその子供を止めるために作られた訳じゃなくて本来の目的は全ての国を見て周り、復興の手伝いをするはずだったの」
「アリスさん。はずだったってどういう?」
「…旅を開始してから一年たったある日、元マスターが急病で亡くなられたの。マスターがいない機械兵器なんてもはやただの歩く鉄屑でしかない。だから私達は各国まで歩いて誓いを立てて別れたんだ」
「誓い?」
「いつか新しいマスターを見つけて五人全員でそのマスターに仕えるっていうね」

 話を聞いたところ発端から終演までドタバタだった。

「で!その新しいマスターこそコウヨウ君なんだよ♪」

 急にハイテンションになるアリス。そのまま勢いで抱きついてくると思ったがうまくムラサキさんが止めてくれたらしい。

「じゃあ機械兵器のことも教えてくれ」
「いいよー。まず長女は私で主に広範囲での活動が得意」

 ヘーテルバンカーが広範囲攻撃だからだろう。

「次に次女のシラユキ。砂漠地帯にある国に水を提供するために水系統の魔法の魔方陣を展開するのが得意だった」

 水不足を補うための機械兵器か。もはや兵器じゃない気がする。

「三女のドロシーは凄いよ。辺境の国とかを整備するために変形するからね。二輪車とかクルーザーとか飛行機とか」

 某車が変形するアニメよろしくそんな能力まであるのか。機械兵器恐るべし。

「四女の名前はグレーテル。なんか変な板に乗りながら影に潜って移動したり物資運搬が得意」

 変な板?影に潜る?こいつが一番謎だ。

「最後に五男のブレーメン。ブレーメンは復興というよりも人の心の傷を癒す音楽を奏でる天才だったよ。元をたどればプログラムだけど」

 よりによって最後が男という。男女率がおかしいことになっている。

「皆色んな能力があるんですね。…というか今思ったんですけど、アリスさん達は新しいマスターを見つけたら合流するんですよね?」
「そうだけど…どうしたのムラちゃん?」
「それってこの家にあと四人機械兵器が来ることになりますよね?コウヨウさんが全員とマスター登録するとなると部屋が足りないんじゃ?」
「そういう問題もあるか…」

 機械兵器五台。全員揃ったらカオスになるだろうな。

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